子供の頃、祖母に連れられて菊人形を見にいった。
その菊人形が怖くて、祖母の袖を引っ張っていた記憶がある。
1月1日、3月3日、5月5日、7月7日、そして9月9日。
奇数は吉数とされている。最も大きい吉数の「9」が重なる9月9日(旧暦)は、
たいそうめでたい日だといわれている。
9月9日は重陽(ちょうよう)の節句。
酒盃に菊の葉を浮かべた菊酒を神仏に供えて、家族の健康や安全を祈願する。
沖縄の首里では地域によっては、自分が生まれた集落の井戸や御嶽での健康祈願を
今でもおこなっているそうだ。
菊は昔から、目や肝臓の働きをよくするなど、さまざまな効能のある漢方薬として
重宝されていたという。その力を借りて健康を願っていたのだろう。
菊の花は、たくさんの花びらが内側を向いていることから「和合」の象徴ともいわれ
古くから縁起の良い植物とされている。
沖縄の黄金言葉に「指はどっちに向いている?指は内側にしか曲がらない。」
というのがある。この言葉に込められているのは、人の手も、菊の花のように指を
内側に向けてグッと握れば力が湧いてくるということ。
「内側」は「家族」も意味し、家族が向かい合って調和すれば
何事にも負けない強い力が湧いてくるという教えである。
夜の農道を車で走っていると畑の中にネオンのような明かりが見えてくる。
電照菊栽培で沖縄は菊の栽培が日本一である。