安藤先生の月刊ブログ 「きらめき」

何気ない毎日に"きらめき"を感じていますか?

きらめく星

2008年11月04日 | 月刊ブログ
 そろそろ葉っぱが色づきはじめ、秋も深まってきました。
昨夜は新月にあたり、星が一番きれいに見えて月夜のように明るくなる「星月夜」だと新聞に書いてありました。
同じ欄に、正岡子規の短歌、「真砂なす 数なき星の 其中に 吾に向かひて 光る星あり」という詩も載せてありました。夜空に光る無数の星の中に自分に向かって光っている星があるという意味ですが、大宇宙の中でそのただ一つの星は、その人に希望の光を運んでくれるのかもしれません。
 先日、授業の中で、「生かされて今を生きる」というタイトルのDVDを学生たちと一緒に見ました。
 DVDでは、詩人の星野富弘さんと、90歳というご高齢でありながら、現役で医療活動や命についての講演活動をなさっている日野原重明さんの対談が行われていました。星野富弘さんは、20代の時に事故で首から下の機能が麻痺して動かなくなり、寝たきりの状態を余儀なくされました。しかし、ある日、もらった励ましの手紙に返事を書きたいと思ったことをきっかけに、口でペンをくわえ字を書き始めたそうです。現在では、自然をモチーフに詩人、画家として活躍をされるまでになられています。それはとてつもなく大きな努力と強い意志と不屈な精神力、そして周りの人からの励ましや支えがあったからだろうと思います。草花や自然の様子に目を向け、そこに気づきや驚き、そしてその感動を文字や絵で表現されています。
 学生の中には、星野富弘さんの絵を初めて見た人もいましたが、回覧した『花よりも小さく』の本を見て、「あんなに温かい絵を描けるなんてすごい!」と感想を述べていました。  また、「画集を見て、温かさの他に人間的な残酷さ等、本当に人間味溢れる感情が感じられて、ページをめくるにつれ、泣きそうになりました。」「私も、小さなことでも何かやってみようと思って動くと、ああ自分は生きているんだなと感じることがあります。夢中になってやっているときは、とても満たされた感じがします。ちゃんと生きるためには大切なことだと思っています。」「『生かされて今を生きる』という言葉は、身の周りの多くのものに感謝しながら生きるということかなと思った。」「なにかやりたいことを探してみたり、今の少し後ろ向きな考えを変えてみようと思います。」「本の中に『痛いと感じたり苦しいと感じたり、でもそれが生きているということ』とあって、私自身を振り返り、キツイことや嫌なことから目を背けてばかりの自分を、これからは逃げずに生きていけたら素敵だなと思いました。」など、学生の感想は、反対に私の心を感動させてくれました。
 先の正岡子規も、星野富弘さんも、ベッドから窓越しに自然の様子や四季の花や空を見て美しさを愛で、「生かされている」ことに逆らわず、今に向き合うことで生きがいを見つけ、体の分も心を動かしていたのではないかと思います。
 学生たちにも、この秋の澄み切った空に輝く無数の星の中にその人だけに光を放つ希望の光があることを、「生きる」ということを通して感じてもらいたいなと思いました。

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