田んぼのあぜ道に、きちんと一列に曼殊沙華が並んでいます。透き通るクールな空の青色にエネルギッシュな赤い色は、対照的なのに、秋の始まりの様相を私たちに届けてくれます。今年は、珍しい白い曼殊沙華も多く見られています。
まだ残暑が厳しい日もありますが、秋は、読書、芸術、食欲、スポーツなどあれやこれやと好奇心が刺激を受けます。
よく、スポーツは自己との戦いと言われますが、このところ話題の陸上競技は、記録が全てです。100分の1の記録に挑みます。
男子100メートル競技では、10秒を切ることが目標だと、先のオリンピック代表の桐生選手はずっと言ってきました。風の強さ、競技場のコンディション、もちろん自己の体調が、0.01秒の記録を左右してくるのだそうです。
先月、日本学生陸上競技選手権大会(日本インカレ)男子100m決勝が行われ、桐生祥秀選手が、とうとう、公認記録で日本人初となる9秒98の日本新記録、日本学生新記録を樹立することができました。
「今年のロンドン世界選手権では、世界の舞台にたてなかったので、9秒台を出してやっと世界のスタートラインに立てたのかなと思う」とコメント。「もちろん9秒台を出して嬉しかったが、そこからまた再度スタートを切っていきたいと思う」と答えていました。
「9秒台を先に出したからといって、来年の日本選手権で優勝を狙うことに変わりはない。そこに甘えることなく練習していきたい。」と、それでも喜びを隠すことなく、最上段までの観衆に感謝の挨拶をしていました。
学校では、公務員試験の1次合格の知らせが続々と届いてきています。まだこの先、人物を評価する2次試験が待っていますが、ひとまずはおめでとう、です。就職内定というゴールまで、まだこれからいくつものハードルを乗り越えなければなりません。気を緩めることなく、準備を進めていきたいと思います。
先日、新聞の本の紹介の欄で目に入ったのは、「自分思考」という言葉でした。
谷川真理さんの『「自分思考」のすすめ』という著書です。谷川さんは、自衛隊の臨床心理士として、自分らしく生きることの唯一のメソッドとして「自分思考」を提唱し、多くの隊員の心を救ってこられたそうです。
落ち込み、イライラ、憂鬱、不安・・・、日々のいろいろなことや、気分が上下するのは当たり前のこと。この「イヤな気分」は私たちを蝕む、意外と厄介な感情です。
その感情は、辛い気持ちや悲しい気持ちというものではなく、他者からの言動、リアクションや、物事の捉え方からくる不快な感情のことです。私たちは、他人の言動に振り回されエネルギーが次第に失われ、病を患ったりすることもあると述べています。
谷川さんは、「イヤな気分」を解消する唯一の方法は、他者からの評価を気にして思考・行動する「他者思考」から、自分がどうしたいかを基準に考えて選択・行動する「自分思考」に視点をスイッチすることだと述べています。このことを「自分思考の生き方」と呼んでいます。
目の前のやらなければならないことに一心不乱になることができれば、おのずと「自分思考」に繋がるのではないかと思います。
先の桐生選手は、ひたすらに自己と向き合い、記録の更新に全力で取り組んできた結果が、10秒を切るという新記録を打ち立てることができました。目標をしっかりと見据えて取り組むことも「自分思考」の結果ではないかと思います。
今、学校で、未来のための就職試験に取り組んでいる学生たちにも、自分がどうしたいのかをしっかりと選択・行動してほしいと思います。周りで内定の声がいち早く聞こえても、他者に振り回されることなく、勇気をもって、自分のゴールを目指して、あと一踏ん張りです。
私たちは、ただ、ひたすらに、応援していきます。
今月の花は、かわいらしいベゴニアです。名前の由来は、なんとフランス17世紀ルイ14世時代の総督に由来しているそうです。長い歴史の中で、私たちを楽しませてくれてきたのですね。
Photo by mizutani