安藤先生の月刊ブログ 「きらめき」

何気ない毎日に"きらめき"を感じていますか?

時を越えた贈り物

2009年08月03日 | 月刊ブログ
 長い梅雨の時期をやっと抜け出し、猛暑がやってきました。
 毎月、このブログに花の写真を提供してくれているのは、当校の副理事長です。花そのものの素材を生かしたみずみずしい写真には、きっと隠れたファンもいらっしゃるのではないかと思います。
 今月の花は、熊本県山鹿の古代蓮(大賀蓮)だそうです。
 つい一月ほど前、たまたま新聞で紹介された古代蓮の記事を読んで、私は、2000年も前の種子が蘇り、古代と同じ花をこの現代に咲かせるというその神秘さに感動してしまいました。大輪の美しさはもちろんのこと、蓮の花は早朝にしか開花せず、また咲き始めてからわずか4日間でその花をすべて散らせてしまうことに命のはかなさも感じます。その瞬間に全身全霊を掛けて後世へつなぐエネルギーは、人間だけでなく植物の世界でも同じなのですね。生命のロマンを感じます。
 古代といえば、今、私が一番行ってみたい所が、九州国立博物館で開催されている阿修羅展です。興福寺の創建1300年記念で東京についで福岡でも開催されています。普段は前面からしか見ることができないお像を四方から見ることができるよう設置されているそうです。三面のお顔は次第に緩やかに穏やかな表情になり、振り上げている両の手は最後に合掌の形になっています。作った人は、見る人に何を伝えようとしているのでしょうか。阿修羅像は天平6年(734)に造像して以来、戦乱や大火など幾つもの災難を乗り越えてきました。1300年の時を超えて大切に守り伝えられた、日本の文化といにしえの人々の心がどのようなものか、自分の目で確かめたいと思いました。
 人の寿命は長くても100歳を越えることは稀ですが、こうやって古代の形が1000年を越えて伝えられるというのは、そのものを大切に扱い守ってきた何代もの人たちがいたからでしょう。長い歴史の中では、人の一生は本当に短いものですが、現に何千年も前の文化を受けついできたのはその価値を認め敬い守った、人の力です。 
 現在、日本のしきたりとして伝えられたいろんな文化は、時を経て少しずつ変化しています。しかし婚礼や葬祭の儀式はあまり変わることなくそのまま受け継がれているのではないかと思います。
 当長崎デュアルシステム専門学校では、その婚礼と葬祭の文化を受け継ぐ学生を育成しています。現在まで何百年も続いたしきたりを、この私たちの時代でなくしてしまうわけにはいきません。
今日は、長崎校のオープンキャンパスでした。それぞれのコースで2年生の学生が模擬披露宴と納棺の儀を行いました。後世に伝えられるほど完璧ではありませんでしたが、一生懸命なその姿からは、冠婚葬祭の仕事に携わりたいという熱意を十分に感じとることができました。
 古代の人たちも愛でた2000年前の美しい蓮、どのような意図で創作されたのか想像もつかない荘厳な阿修羅像は、歴史の向こう側から私たちへの贈り物だろうと思います。
 今、私たちが生きているこの時代に受け継がれたものや新しく作られた形あるものや無形の文化は、何百年後に生きる未来の人たちへ、贈り物として必ず残していかなければならないものばかりです。 

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