3月も中旬になりました。この2,3日、夜中の突然の雷と豪雨に驚かされています。春の嵐が通り過ぎないと本格的な「春」は訪れないのですね。
3月11日は祈りの一日となりました。8年前、突然の大地震によって生活のすべてが一変し、悲しみ、失望、恐怖などの体験が、地域の助け合いの気持ち、感謝の心、一筋の希望によって、復興への年月が過ぎていきました。そのような日々を過ごしてきた方々の手記やインタビューが、いろいろなメディアで取り上げられていました。
何気なく見ていたテレビ番組で、被災した直後、ある小学校の卒業式で「タイムカプセル」を埋めていたものを、二十歳になったこの3.11の日に掘り起こして、それぞれが「8年後の私へ」と自分に書いた手紙を読んでいました。
大きな災害のあと、生存したその時の小学生の中から、現在、自衛官になった人、警察官になった人、消防官になった人、そして人々を助ける看護師や介護士になった人たちがいました。
あの災害で、自分たちを一生懸命救助してくれた方々を目の当たりにして、まだ小学生だった子供たちが、人のために役に立つ仕事をしたいと志し、そして夢を叶えたのでした。紹介された若者たちの、自信に満ちた満面の笑顔に、私は胸を打たれました。
まだ完全な復興は途上段階ですが、あの災害が子供たちの心に残こした大きな傷によって、これからの一生の職業を選択していった過程に感動を覚えました。
さて、学校では、長崎校、佐世保校ともに卒業式が無事に終了し、私たち職員もやっと一息ついているところです。が、新入生を迎える準備も取り掛からなければなりません。
今、私は、来年度用の『公務員合格者、喜びの声』の冊子を作成しています。総合パンフレット内に掲載していたその年度の合格者の写真とコメントを別冊子にして、皆さんに見ていただこうという企画です。
今年度は、夜間講座の高校生やその保護者の方にもアンケートをお願いして、合格までの道のりを書いていただきました。また、本科の学生の保護者の方々も快くお受けいただいて、その文章から子供を支える家族の願いを、強く感じ取ることができました。
「親としては、本当に応援するしか手立てはなく、ベストな状態で受験できるよう、健康面を考えながら食事やお弁当を作ってあげることをやっていました。」「夜間講座の迎えぐらいしかできませんでした。」「内定を知った時は、本当に嬉しくて、子供が頑張ってくれたことに感謝をしました。」
卒業式、祝賀会にご出席いただいた保護者の方は、「こんなうれしいことはありませんでした。この合格アンケートを書かせてくれた息子に感謝します。」と声を詰まらせながらも笑顔でおっしゃっていました。
本校についても、感謝の言葉をたくさんいただきました。こちらこそ、この喜びを共有させていただいて感謝の気持ちでいっぱいです。
子供が一人前になるということは、学校に入学したり卒業したりすることではなく、本当に嬉しいのは就職が決まったときなのだと、自分の経験も踏まえて、そう確信しました。
卒業式はゴールではなく、これから新しい場所で新しい仕事について新しい生活が始まるスタート地点でもあります。さらに社会人としての勉強の毎日となることでしょう。人間関係や、仕事に対する難易度に根を挙げたくなることもあると思います。これからの長い仕事人生、そうやって苦しみを乗り越え、乗り越えて成功した時の喜びや達成感を、たまにでも感じることができれば、楽しい人生を送ることができるのではないかと思います。
ある雑誌の記事に、「やり残したこと」というアンケートの結果が年代別に載せられていました。「やり残したこと」は、「これからやりたいこと」の裏返しであることがわかります。20代〜40代の人は、現在の仕事や生活の向上を、60代以降の人は、第2の人生を有意義に送るための健康や趣味、ずっと思っていたけどやれなかったこと、などが答えでした。
その時その時で、やり残したことはたくさんあると思います。しかし、やり残したことを次に繋げ目標とすることで、それをやり遂げたときの満足感が、次へ進む原動力となるのです。
悔いのない人生など、そう多くはないと思います。後悔すること、やり残したと感じることが、次の目標となるのではないでしょうか。
私も、これまでで「やり残したこと」を残された人生の日々で一つでも実現していきたいと思います。まずは、隣の席の小学生に負けないように、書道教室10級からスタートです。
今月の写真は、「葉鶏頭(ハゲイトウ)」です。葉が雄鶏のトサカのように赤くなることにちなむといわれます。花言葉の「不老不死」は、色づいた葉の寿命が長いことにちなむといわれます。熱帯アジア原産の植物で、これから春にタネをまくと、この写真のように、晩秋の低温で葉色はさらに深く鮮やかになり見頃を迎えます。ちょうど今度の入学生の公務員合格が出るころです。楽しみです。
Photo by mizutani