安藤先生の月刊ブログ 「きらめき」

何気ない毎日に"きらめき"を感じていますか?

秋の一日

2018年10月16日 | 月刊ブログ

 秋晴れの清々しい季節になりました。毎週のように押し寄せていた台風は、日本列島を暴風と豪雨に巻き込んでいき、各地から被害の報告がなされると、またかと悔しい気持ちになります。そして、一雨ごとに秋が本格化してきました。

 店先には、栗や柿など秋の食べ物が並んでいます。どちらかというと、私の中では「食欲の秋」が先行しますが、秋の夜長には、編み物でもしようかな、なんて季節ごとの空気を楽しんでいます。

 

 学校では、初級の公務員一次試験の合格が続々と届いています。本科の学生だけではなく、夜間講座や夏期講座からの合格の知らせも予想以上にたくさん届きました。

 今は、すぐに行われる二次面接試験の練習に追われて、学生も私たちもうれしい悲鳴を上げています。

 

 先日、数十年ぶりで高校の時の友人と再会しました。私のこのブログを見てくれて、懐かしく思ってくれて、学校に電話をくれたのです。

 卒業以来なのでお互いにどれだけ変わっているか、再会した時にわかるのかな、などあれこれ考えながら待ち合わせ場所に行きましたが、不安は一蹴され、高校時代の面影が残っているその笑顔に、すっかり時の流れを超えることができました。

 お互いにそれぞれの進路を選択し就職先を決定し、家庭を持って長い歴史を紡いできた時間は、知る由もないのですが、今この場所にいる友人は、あの時のままのように感じました。

 自分では忘れてしまっていることも、ああだったね、こうだったね、などと話が進んで行くと、その人の人生の歴史にほんの一部でも自分がかかわって何らかの影響を与えていたことに、驚きと感動を覚えました。

 時間は瞬く間に過ぎていって、懐かしい時間も、現実の喧騒へと消えていきました。

 長い人生は、そのような出会いが絡み合って積み上げられて成り立っているのでしょう。

 今いる自分には多くの人がかかわって、成長させてくれたのだと、歳を重ねるということを考えてしまいました。

 

 二次試験の面接練習では、事前にまとめた志望の動機や自己紹介文を私たち面接官役の前で質問に答えるという場面設定で行っていきます。丸暗記は、決して相手の心を動かすことはできません。アドリブでもカミカミでも自分の心から思ったことを述べる方が、面接官の心を突き動かすことができるのです。覚えていることを「述べる」ではなく、「伝える」という気持ちで話しなさい、とそれぞれにアドバイスします。

 面接の練習を引き受けることで、学生との距離はグッと近くなります。そして、自分をさらけ出して何回も何回も練習を重ねることで、その合格の知らせは何十倍もの喜びに変わるのです。お互いに頑張った甲斐があったね。そんな秋の一日です。

 

 書店に行くと、来年のカレンダーが、早々とディスプレイしてあります。カレンダー売り場に行くと、私は毎年、星野富弘さんの大ぶりの花の絵のカレンダーをめくります。友人にプレゼントで贈ったこともありますが、ふた月ごとにめくる「詩と花の絵」は捨てるのがもったいないくらい美しくて、別の場所にその絵の部分をいつまでも貼っていました。

 来年のカレンダーの最後のページには、珍しく風景画が描かれていて、一字一句は覚えていないのですが、「向こうの景色がきれいだったので行ってみたら、振り返ると元いたところがもっときれいだった。」このような内容でした。

 なぜか心打たれました。

 不慮の事故で、身体が不自由になり、入院中枕元に活けてある花の美しさに、口で筆をくわえて、花の絵と詩を書かれて、もう40年くらいになるのではないでしょうか。先日見たカレンダーの絵も文字も、初期のころからすると随分と美しく文字も正確に描かれていて驚きました。しかし、それでも星野さんのやわらかい感性は、きちんとした文字の中にもうかがい知ることができました。

 

 恵まれている自分の環境に感謝する機会はなかなかなく、目の前の小さな不満や憤りに振り回されることも度々です。

 しかし、過去から繋がってきた、今ここにある自分に、そして自分の周りの人たちに、感謝の心を持ち続けることを忘れてはいけないと思いました。

 

 今月の写真は「ヒペリカム」の実です。夏に鮮やかな黄色の長い雄しべと花びらが特徴の花を咲かせます。このブログと同じ、花言葉「きらめき」は、その輝くような花姿にちなむといわれています。

 

 Photo by mizutani


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