安藤先生の月刊ブログ 「きらめき」

何気ない毎日に"きらめき"を感じていますか?

未来志向

2018年11月13日 | 月刊ブログ

 暦の上では立冬を迎えましたが、今年もまた短かった秋に、私はまだ酔いしれています。学校近くの公園脇を通るとキンモクセイの香りが漂ってきます。小春日和の中、サラリーマンらしき男性がベンチでお弁当を食べたり、幼い子供連れのお母さんが日向ぼっこをしていたり、近くのおじいちゃんがゆっくりとたばこを吹かせたり、のどかな光景に心安らぎます。ここ佐世保でも少しずつ紅葉が進んできています。

 学校では、公務員試験も終盤を迎え、面接の練習と同時に、最終合格のうれしい知らせが届いています。

 

 新聞を見ていると、今年6月に民法が改正されて、2022年4月から18歳で大人になることが決まったという記事がありました。世界の国々ではその9割以上が18歳で大人になる制度を採っています。世の中の流れでは当然のことかもしれません。

 民法が変わると、18歳でスマートフォンの契約ができるようになったり、クレジットカードでの買い物ができたりします。これまで保護者の庇護の下、固く守られてきた若者が、すべてが自己責任となり、犯罪に巻き込まれたり、罪を犯した場合正当に罰則を受けたりするのです。これからは、学校でも主権者教育や、自ら身を守る社会人としての勉強も必要となります。

 結婚についても、現行は男性18歳以上、女性16歳以上ですが、今後は男女とも18歳からできるようになり男女の差別もなくなります。しかし、飲酒と喫煙は、体に良くないという理由から、今と同じ20歳からのままだということです。

 18歳は、ほとんどの人が高校3年生で迎えます。きれいな着物を着て、新たに大人になるお祝いの儀式「成人式」は、いつ開催されるのでしょうか。今の日程では大学入試の時期と重なるため、いろいろと問題が出てきそうです。高校生だったら夏休みに、制服で出席するというのも、ありそうですね。

 ひとつの法律の改正で、受け継がれてきた文化や日本古来の伝統が一挙に失われていくのは仕方のないことでしょうか。

 

 秋の深まりとともに各地で、「芸術・スポーツの秋」だよりが聞こえてきます。

 佐世保では、11月には文化マンスというイベントが開催されています。地域文化を担う人材を育てようと実行委員会と佐世保市が毎年開き、今年で7回目です。

 私も、日曜日の午後、秋晴れに誘われて、イベント会場へ足を運びました。ちょうどその時間は、「あのころ僕たちは若かった」と題して懐かしのフォークソングを地元のアマチアバンドが聴かせてくれていました。「あの頃若かった市民」が会場いっぱいにあふれて、みな手拍子で大盛り上がりでした。

 地元に伝わる民話「じんねみどん」の朗読会では、小学生から80代までの市民約40人が生き生きとした佐世保弁を披露しています。NPO法人の企画で方言の特徴を楽しみながら子どもたちに表現力を磨いてもらおうというものです。

 佐世保を舞台とした映画の上映会や、美術館では絵画鑑賞と同時にミュージアムコンサートが催されたりしました。佐世保の五つの女子高校生合同の書道パフォーマンス、佐世保で世界へ向けて育つことを願って、子供たちによる、「ネクストジェネレーションによる佐世保スタイルファッションと歌」も披露されていました。

 

 この日に向けてどれだけの練習を重ねてきたのだろうかと、私はいつも思います。人前で何かを披露するには、そこまでのレベルに到達する必要があるのではないでしょうか。個々によってその要求水準は違うと思いますが、ある程度の形ができるまでには相当の準備をしてきたに違いありません。

 しかし、一鑑賞者として参加をするたびに、私はいつも感じます。発表者の何と楽しそうなことか。それだったら、私もできることなら演奏者やパフォーマーで参加したいと思うようになりました。

 

 小さなことですが、歴史の浅い佐世保では、市民の手で、文化や伝統が少しずつ作り上げられていっているような気がします。「よさこい祭り」はもうしっかりと佐世保の文化として根付いています。

 受け継がれてきた伝統ある文化でも、月日の流れのなかで、形を変えたり、薄れたりするのは当然のことなのかもしれません。しかし、新しい文化も、若い世代から生まれ育っていっているのは確かです。

 次の世代の、未来に向ける志向とエネルギーに期待して、心理学者ユングの言う「人生の正午」を迎えた小人は、過去を振り返り、懐かしいフォークソングに涙するのです。

 

 今月の花は「クレオメ」です。熱帯アメリカ原産で、美しい花を咲かせます。和名「フウチョウソウ(風蝶草)」は、この特徴的な花姿を、蝶が風に舞う姿に見立てたものだそうです。秋空の透明なブルーに、よく映えています。花言葉の「秘密のひととき」は、クレオメの花が夕方から咲き始め、翌日の昼頃にはしおれてしまう一日花であることに由来するといわれます。

 

 Photo by mizutani


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