安藤先生の月刊ブログ 「きらめき」

何気ない毎日に"きらめき"を感じていますか?

祈り

2011年05月06日 | 月刊ブログ
 さわやかな風が肌に心地よく吹いています。新緑の季節になりました。
今月の写真は、藤の花です。佐世保には、藤山神社という、それはそれは藤の花でいっぱいの神社があります。
「手も触れで惜しむかひなく藤の花 底にうつれば浪ぞ折りける」凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)の歌にもあるように、その色合いや手に触れるのがもったいないようなやわらかく、また、豪華な花々に感動して、昔の人もこのように歌を詠んだのでしょう。

 東日本大震災の影響のため、一月半遅れで、フィギアスケートの世界選手権が開催されました。
 銀板の上の華麗で力強い舞には、いつも感動させられます。優勝した安藤美姫選手は、インタビューで、「自分のためだけではなく、日本で被災されている方々に笑顔を届けたいと思って滑りました。それが自分にできることだと思うから。」
 他の選手たちが、1点でも高い得点を狙った、自分のスケートのことだけを考えたコメントを発していたのに対して、安藤選手は、ショートプログラムのときも、フリーの演技のときも、このことを述べていました。
 
 先日、私は出張先の長崎から帰ったばかりの佐世保駅で、昨年から受講している講座で知り合った40代の保健師の方とばったり会いました。その友人は、福岡に住んでいるのですが、出張で佐世保に来ていて、本当に偶然で会うことができたのです。その友人とちょっとだけでもお茶を飲もうと、お店に入ってすぐに、友人は「私、来週から仙台に行ってくるから・・・」と突然言ったのです。
「えっ?東北の?」とびっくりして尋ねると、「もう、地震があった次の日には決めていた。」と話してくれました。「幸いなことに、私には、今のところ仕事も一段落したから時間はある。そして家族も了解してくれている。そんな風に考えたら、行かない理由がないのよ。」と、さも当然のことのように、コーヒーを飲みながら、笑顔でさらりと答えました。
 彼女が持っている保健師としての資格と知識技術をボランティアとして、被災したかたがたのために活かしたいと、言葉には出さなかったのですが、そのように考えていることは、私にも十分伝わってきました。
 まだ、余震が続いている中、大丈夫?と尋ねても、「うん。気をつけて行って来るから」と、なんだかその表情は輝いて見えました。
 私は、彼女の決意もすばらしいし、家族の理解もうらやましいと思いました。そして、彼女が持っている保健師としての知識や技術も、こんなときに役立たせることができることに羨望のまなざしで話を聞いていました。
 私の長男も、津波の被害をテレビで見ていて、「何か自分にできることはないかと、ずっと考えていた。でも、今の自分にはこの佐世保で募金をしたり、復興を願うしかできないことがわかった」とも言っていました。
 この日本を襲った災害で、日本の国全体が同じ気持ちで、復興を願っている様子は、行動を起こす人も、動けない人も、心の中は同じではないかと思いました。
 スポーツや音楽を通してだけではなく、被災された方々を元気にさせたいと思う気持ちは、子供も若い人も高齢の方も一緒に共有して、今のこのときを少しずつ乗り越えていってほしいと思っているのかなと思います。
 きっと、その思いは伝わることと思います。
 自分のこととして、被災の現状を考えると、どんなに大変だろうと想像の域を超えていますが、どうぞ、平穏な日常が一日も早く訪れますようにと祈るしかありません。
 予定では、もうすぐ友人が帰ってきます。
 その勇気と行動力に心から「お疲れ様でした」と敬意を表したいと思います。

photo by mizutani

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