安藤先生の月刊ブログ 「きらめき」

何気ない毎日に"きらめき"を感じていますか?

一瞬の

2008年09月02日 | 月刊ブログ
 ある日を境にしたように、朝夕の風が急に涼しくなりました。
 世界中を注目させた北京オリンピックが閉幕し、その感動の余韻がまださめやらないうちに、9月になりました。夕暮れになると赤とんぼが舞っています。ぎらぎらとした太陽は、少しだけ銀色に色を変えてきています。
 オリンピックで特に感動したのが、見事3位に入り脚光を浴びた水泳のメドレーリレーでした。その中で、個人では予選で敗退していた選手が自由形でアンカーをつとめ、世界の強豪たちとこの国の名誉と自身の誇りを掛けて泳ぎ、3位というメダルの位置を守り抜くことができました。どの選手もそうですが、特にその選手のことを思うと、相当に大きなプレッシャーの中で、自分の全実力を出し切ることができたことに感動を覚えずにはいられませんでした。もし、接戦の中、4位でゴールをすることになったら・・・。その選手のことを思うと、その0.1秒の世界の記録を競うことに、畏怖の念さえ覚えてしまいます。本当によかった、心からおめでとうと言いたいです。
 このような一瞬の勝敗を見ると、私が学生の頃の弓道の試合を思い出します。弓道の団体戦は、女子は3人一組で、順番に矢を1本ずつ射て一人4本、合計12本で競うのですが、私は真ん中の立ち位置でした。その試合では、誰も1本も外さずに3本目の矢を打つ番がきました。その時は緊張しながらも全員的中しました。それから先頭の同期の子が4本目の、つまりチームでは10本目を引き始めました。場内はしーんと静まりかえりこの私たちの記録的な競技に注目していました。女子の場合、全部の矢が命中するというのは珍しく、だいたいは6割くらいで競うことが多いのです。弓から矢を放つ瞬間は無心になり、なおかつ集中して勢いよく放たなければなりません。しかし、この状況で、頭の中にはいろんな雑念が入ってきて、もしはずしたら、という思いばかりが渦巻いてきます。
10本目が的中し、私の番になりました。弓を大きく引き分け放つばかりになったとき、一瞬怖くなり放せなくなりました。今でもこのときの震えるような緊張感をはっきりと覚えています。
 一瞬の集中力や思い切りが、勝敗を決めることになるということを、身をもって経験しました。その場面では、緊張というよりは恐怖と表現した方が適切かもしれません。
 もちろんその時の弓道の試合は、12本全部的中し、会場からは大きな拍手を浴び、全九州大会で優勝しました。しかし、数十年経った今でも、夢でうなされそうな体験でした。
 私たちの日常では、このような瞬間に出会うことはまれですが、これから先は、就職試験や面接や、そして仕事上でも、緊張の一瞬を乗り越えなければならないときがくると思います。
 雑念やプレッシャーに負けず、その場を乗り切ることができれば、それは、その人にとってその後の人生の大きな財産になることでしょう。しかし、その時乗り越えられなくても、その体験をしたことは、同じ立場の人の気持ちをわかってあげられる人になります。若いときのいろんな経験は、どんな些細なことでもその後の人生を過ごしていくための、貴重な要素、エッセンスになること、間違いなしです。
 当校では、夏休みを終えた学生が学校に戻ってきました。活気あふれるエネルギーと笑い声でIBAは今震えています。

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