その1
『私とスパイの物語』著者「孫崎享」と近藤大介の対談<2025・01・31
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/4e028ae638edd4954d8fbdb85d497a6c
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
現代ビジネス 2025.01.28
『『私とスパイの物語』対談 近藤大介×孫崎享「世界はスパイが動かしている」』
https://gendai.media/articles/-/145856?page=10
長く外交官を経験された方だけあって、非常に面白いです。
しかし、誤解してほしくないのは、孫崎享氏が語っているのは、実際にご自分で見たり「人から聞いたり」したことです。
その場面に実際に自分が、居たケースは少ないでしょう。
10ページ目
「交わされた衝撃の密約」
ここで相当、強引にストーリーを展開しています。
(1)ホメイニ師が、亡命先のパリで米CIAに極秘に接触したという部分です。
その後・・・
「ホメイニ師が死去して27年後の2016年になって、英BBCが『1月の2週間:アメリカのホメイニとの秘密接触』と題した記事で、このことを暴露しました。」
CIAと接触したのは事実なのだろうと思います。
「ところがホメイニ師はパリでアメリカと、イラン革命を成功させてくれれば反米政権にしないという密約を交わそうとしていたのです。」
この部分は、噂であって確認したのではないと思います。
確認のしようもないですね。
(2)あるパーティで、女性の参加者からこう囁(ささや)かれたんです。
「1979年のアメリカ大使館占拠事件の日、私もデモに参加していましたが、(生活苦を訴える)普通のデモでした。デモに疲れたので、2時間くらい映画を見て、外へ出たら、デモが『アメリカ帝国主義反対』に急変していた。誰が流れを変えたのか不思議です」
デモの性格が急変するのは、誰かがデモ隊をそう仕向けたことを示しています。デモを主導したりコントロールするノウハウは、大昔からあってそれほど難しいことではありません。頑丈なサクラを必要数デモ隊に紛れ込ませアジテーターを適当な数配置してスローガンを叫べば、大体その方向に動きます。
最初から意図していれば平和的なデモが、先鋭化するのは普通に起きることです。
だから、この部分は特に不思議はありません。
「 ホメイニ師は、イランをイスラム法の統治国家にしたかったのであって、それは別に反米でなくてもできた。実際、アメリカ大使館占拠は、イスラムの宗教家たちが扇動したものではなく、学生たちが衝動的に行ったものです。
つまり、アメリカとイランが決定的に対立してほしいと思う勢力の手が入ったと見るべきなのです。それはモサドです。」
この部分は事実誤認(または言い間違い)と推測が入っています。
普通の平和的なデモが、いきなりアメリカ大使館占拠事件にまで過激化することは、通常考えられません。誰かが最初から仕組んだことです。
『学生たちが衝動的に行ったものです』と言うのは、事実誤認です。または不明です、確認できません。
その後の部分と矛盾しているでしょう❓
「アメリカとイランが決定的に対立してほしいと思う勢力の手が入ったと見るべき」と言っています。
特に重要なのは、結論の部分です。
イスラエルのモサドだと決めつけています。
証拠はありません。その可能性がある・と言うだけです。
革命で追放された国王
「モハンマド・レザー・パフラヴィー」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%9E%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%AC%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%91%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%BC
イラン革命を起こした勢力は、実は二つあります。
ホメイニ師を中心とするイスラム法学者グループです。
もう一つは、旧ソ連を後ろ立てとするモジャーヘディーネ・ハルグやイラン共産党(トゥーデ党)などの左翼グループです。
だから、デモを過激化させてアメリカ大使館占拠事件にまで持っていったグループと勢力は、三つ考えられます。
①孫崎説⇒(イスラエルのモサド)
②反アメリカを主張するイスラム過激派、追放されたパーレビ国王は親アメリカです。
③ソ連の影響を受けた左派のどこか
①に決めつけてしまえば、陰謀論になります。
①~③の可能性を示して、やっと陰謀論でなく過去の大きな事件の推測になります。
※もっとも、孫崎享氏にはモサドだと考える書かない事情を知っているのかもしれません。この部分は孫崎享氏しか知らないことです。
時事問題や国際情勢の記事や資料を読むには、この程度の慎重さが必要です。
経験のある人や知識のある人ですら、全部本当であるとは限りません。
どこかに間違いや一方的な決めつけが入っている場合は、当然にあります。
孫崎氏は、外交官と言う職業柄、やはり人から仕入れた情報が多いです。
学者ならその情報の裏付けを慎重に行うでしょう。
あるいは、私が書いたように可能性を示すと思います。
中々難しいかもしれませんが、日ごろからニュースや情報を読むのに根拠を探す癖を付ければ、自然に話の筋道と根拠を探すようになります。
プロパガンダと情報統制や捏造ニュース(フェイクニュース)には必ずと言っていいほど、どこかに辻褄の合わない部分や、筋道の通らない部分があります。
そういう話は、自分で調べなければなりません。
ただし、孫崎氏は長い外交官時代に優秀な外交官しか得られない体験や知識を話してくれます。これは、とても貴重です。孫崎氏以外に書けないことだからです。
何事も完全なものは無いという意味で、少し重箱の隅を突いてみただけです。
話自体は、すごく貴重なものです。
※関連日記目次
項目「ヨーロッパ」の目次③
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/70484af7010580642c91d2a502a7002d