「北の山・じろう」日記

内容は主に時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

トルコ外交がNATOの未来を左右する<2023年10月

2023-10-28 15:45:01 | NATOとアメリカ

トルコ大統領「ハマスはテロ組織でない」、イスラエル寄りの西側を批判
2023年10月25日午後 10:27 GMT+939分前更新
https://jp.reuters.com/world/security/IHVXGDOD3FPW7AKGAM6MDUPX2I-2023-10-25/

以前、この日記でも書きました。併せてお読みください。
2023年10月13日 18:04
『トルコの今後の外交<2023年10月』
https://smcb.jp/diaries/9150284

ハマス事件の発生後、トルコの態度は一貫していますし過激とも言えます。今回は、「ハマスはテロ組織でない」と明確に発言しました。
「ハマスはテロ組織ではなく解放集団で土地と人々を守るための戦う『ムジャヒディン(聖戦戦士)』である」
とも発言しています。

アメリカとNATOとは、正反対の意見を表明し西側を批判しました。

トルコがNATOに加盟しているのは、旧ソ連の時代はソ連の脅威を感じていたと思います。そしてNATOにとっても南の要に当たるトルコは、絶対にNATOの一員にしておく必要がありました。ロシアと友好関係の出来たトルコには、安全保障面からはNATO加盟の必要は、なくなりました。

それでもトルコがNATOに加盟しているのは、EU加盟を長年希望してきたからです。EUは理由を付けて、加盟を拒否しています。もう一つトルコの希望は、アメリカのF-16戦闘機を購入したいからです。アメリカは、まだトルコへの売却を許可していません。

EU加盟の方は最近エルドアン大統領は諦めたようです。無理だと判断したのでしょうね。F-16戦闘機をロシアの戦闘機に変更すれば?

トルコがNATOに加盟し西側にいる理由はなくなります。そしてアメリカのトルコに対する対応は、まるで敵国に対応しているように見えます。NATOの同盟国に対する対応には見えません。トルコで軍事クーデター未遂事件がありました。その首謀者とされる人物をアメリカは、かくまっています。そしてアメリカ議会には、かなり強い反トルコ・ロビーがあります。これが何かにつけて、トルコを妨害します。

ワールド
2021年4月25日2:27 午後Updated 3年前
『米が虐殺と認定、オスマン帝国のアルメニア人殺害 トルコ反発』
https://jp.reuters.com/article/turkey-usa-armenia-idJPKBN2CC03J

歴代のアメリカ大統領は、トルコに対する外交的配慮からこの問題を避けてきました。

バイデン大統領は、アルメニアロビーと反トルコ・ロビーの人気取りに、この件を認定しました。

そして今回のハマス事件では、トルコは決定的に欧米と対立したと言えます。トルコは、元々パレスチナ問題ではイスラムの同胞として行動してきました。イラク戦争でもトルコ国会は、イラク攻撃のためのトルコ領内の空軍基地の使用を拒否する決議をしています。

今回のハマス・ガザ問題では、大統領もトルコ議会も激怒していると思います。

アメリカがこれほどトルコに不利益な対応をし無礼ともいえる態度をとるなら?

エルドアン大統領は決断するかもしれません。トルコ議会は、ほぼ全員一致で賛成すると思います。

何を決断するのか?
もう無用になったNATO離脱です。

私の目から見てもトルコがNATOに加盟しているメリットはないですし、不愉快なだけでしょう。トルコ外交を制約される部分も多いです。むしろ中東の大国として外交のフリーハンドを持つメリットの方が、今となっては遥かに大きいと思います。

欧米以外の国々から嫌われているか毛嫌いされている欧米の側にいること自体が、トルコにとっては大きなデメリットと言えます。

最近のエルドアン大統領の発言を聞き写真を見ると、もう決断しているような気がします。タイミング待ちのような気がします。NATO離脱は、大きな政治的決断ですからやるなら国内基盤の強いエルドアン大統領がするべきです。エルドアン大統領もかなり年老いてきた印象を受けます。だから自分に政治権力があるうちに、自分が元気であるうちにすると思います。

タイミングは来ていると思います。離脱の大義名分もあります。イスラムの同胞に害をなすNATOとは組めないという理由です。

ハマス問題のおかげでNATOは、エルドアン大統領に絶好の大義名分を与えてしまいました。

エルドアン大統領が、そうするのかどうかは不明です。

しかし、もしトルコがNATOを離脱したら?

NATOは南の要の地域の大国を失います。NATOにトルコが加盟して以降、トルコが旧ソ連今のロシアの南進を防ぐ砦でした。NATOは地理的にロシアを封じ込める手段を失います。ロシアはイランと友好国です。トルコもロシアと友好的です。

コーカサスのアゼルバイジャンの隣は、イランです。トルコがそうすればアゼルバイジャンも従います。そうするとロシア・トルコ・アゼルバイジャン・イランの緩やかな連合体が出来上がります。それが何を意味するか分からない人は、地図で確認したら分かります。

中東に欧米が入り込む余地は、なくなります=排除されます。そうなれば、欧米の同盟国的な国はイスラエルしかありません。そうなるのが、欧米の望みなのでしょうね?

欧米は、21世紀の中東の運命の扉を開いてしまったように見えます。トルコが決断すれば、そうなります。

当然ながらそこには資金や経済的に中国も加わります。欧米が何としても抑え込もうとしていた中国は、抑え込まれるどころか羽ばたきます。

外交音痴の欧米の招き寄せるかもしれない中東の未来は、欧米にとっては暗いものかもしれません。しかし、これまで欧米が行ってきた悪行の数々を思うなら、それも当然の報いと言えます。

※ヨルダン王妃は、分かりやすく明確に指摘しています。
CNN
『ヨルダン王妃、西側は「明らかな二重基準」 イスラエルとハマスの戦争で』
2023.10.25 Wed posted at 11:26 JST
https://www.cnn.co.jp/world/35210690.html

まさにその通りでしょう?
その報いは、必ず来ると思います。

※具体的にそれが何を意味するのか?

中国・北朝鮮・ロシア・中央アジア・パキスタン・アフガン・アゼルバイジャン・トルコ・イラン・カタール

ここまでは確実にゆるやかな政治的経済的連合体に加盟すると思います。そうなれば、アラブやイスラムの国も参加を希望するでしょうね?
アフリカにも反欧米・親ロシアか中国の国が多いです。植民地支配への反感がかなりあるからです。

上記の緩やかな連合体にアフリカ諸国を半分加えると、どんな地図が見えますか?

ヨーロッパとインドを除くユーラシア大陸とアフリカ大陸の広い地域を含むゆるやかな政治的経済的連合体が形成されます。

残っているのは、どこですか?
ヨーロッパ、北アメリカ、インド、オーストラリア
面積的に広いのは、この程度ですね?

「トルコ外交がNATOの未来を左右する」と言うのは、このような事を指しています。私が21世紀は新しい世紀と言う意味もこれに近いです。

※日本もアメリカに尻尾を振ってばかりいないで、中国にも同じ程度(多い方がいいですね?アメリカ10中国20くらい?)に尻尾を振らないと?
カス!=欧米の仲間になります。
中国に逆らうなど、亡国を招く愚かなことだと分かるでしょう?
欧米の時代は、既に終わっているのです。


トルコのエルドアン大統領がスウエーデンのNATO加盟を認めた深い理由と地政学上の激変<2023年7月

2023-07-18 18:52:28 | NATOとアメリカ

前の記事では、どちらかと言うとスウエーデン側から書きました。
しかし、それは刺身のツマにすぎません。
要は、終わった話でトルコにとってはどっちでも良かったんです。

その前にヨーロッパの地政学を激変させるような事が起きています。

今回のNATOの首脳会談の前に、ある出来事がありました。
トルコのエルドアン大統領が誰かを(多分、非公式に)招きました。

ウクライナのゼレンスキー大統領です。
会談後、エルドアン大統領はウクライナ支持と将来のウクライナのNATO加盟を支持する事を明確にしました。

これまでトルコは、ロシアとウクライナに対して中立に近い立場でした。エルドアン大統領とプーチン大統領は親しい間柄です。これまでトルコは、両国の仲介者として振舞ってきました。

トルコが、ウクライナのNATO加盟を認めて支持する事はロシアにとっては、最大の裏切り行為です。トルコが反対すればウクライナは、NATOに加盟できません。それがプーチン大統領の願望であったと思います。何としてもウクライナのNATO加盟だけは、阻止したかったでしょう。それは、あっさりと覆されました。

更に、おまけがあります。
トルコは、アゾフ連隊の捕虜を戦争終了までトルコ国内に留める・と言う約束事の下にトルコ国内に引き取り保護していました。その約束を一部反故にしてアゾフ連隊の幹部5人を、ウクライナに引き渡し5人はゼレンスキー大統領の帰国の飛行機に同乗してウクライナに帰国を果たしました。

アゾフ連隊には、毀誉褒貶があります。しかし、ウクライナでは国の誇りと言うべき英雄部隊です。その幹部5人をわざわざ、ゼレンスキー大統領とともに帰国させたのは、ロシアに対する最大の嫌味です。国の英雄が帰国すれば、ウクライナ国民は大喜びしますし、一層団結心が高まるでしょう。

つまり、この時点でスウエーデンンのNATO加盟はトルコにとって、どっちでもよい問題になっていたのです。

これまで、あやふやな態度をとっていたトルコは明確にNATOの一員であることを宣言し、ウクライナ支持を打ち出しました。トルコは、ロシアと親しい関係にあるが今後は仲間ではない!と明確に宣言しました。

ウクライナ支持とウクライナの将来のNATO加盟支持からスウエーデンンのNATO加盟承認までは、72時間の間に起こりました。

そのきっかけとなった事件は?
ワグネルの武装蜂起とその後のロシア政府のあいまいな対応です。

つまり、トルコの大統領はプーチン氏が政治権力を失いつつあると判断してロシアを見限ったことになります。見限る以上は、NATOの一員であることを明確に宣言する必要があります。そうであるなら過去の怨念を捨ててスウエーデンンのNATO加盟を認めなければ、なりません。その後は、条件闘争するだけです。

こうしてヨーロッパの地政学は、大激変しました。
バルト海は、NATOの海となり・・
NATOの南のかなめのトルコは、NATOの一員に戻りました。ロシアは、南と北からNATOによりしっかりと封じ込められました。戦争が終われば更にウクライナがNATOに加盟することも既定路線です。ロシアの「最大の!」悪夢が完成した瞬間でした。プーチン氏の夢物語(大ロシア圏の再興)の結末は、ロシアの「最大の!」悪夢として完結しました。

その原因となったのは、ワグネルの武装蜂起事件です。
ワグネルの武装蜂起を鎮圧できずに裏取引で胡麻化したことは、ロシアの対外的な信用を大きく傷つけました。

※ネタ記事
エルドアンの賛成でNATOまた拡大、見限られたプーチン
2023年7月12日(水)18時10分
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/07/nato-70_1.php
※ほぼ、パクリでしたけれど?面白かったでしょう?


スウエーデンのNATO加盟問題とは?<2023年7月

2023-07-17 12:55:17 | NATOとアメリカ

元々、スウエーデンの反イスラムデモを見ても分かる通り、トルコとスウエーデンは、非常に仲が悪いです。これまでは、北と南に分かれているから、いがみ合うだけで済んできました。

NATO加盟問題が出てくるとトルコの長年の怒りが爆発しました。
「絶対!認めない!」
NATO加盟には、全加盟国の批准が必要ですからトルコの批准がないと、スウエーデンのNATO加盟は実現しません。これが、スウエーデンのNATO加盟問題です。

一方、同時にNATO加盟を申請したフィンランドの方は、今年のトルコ大統領選挙の前に批准して選挙後の混乱を事前に回避しました。

今回、やっとトルコがスウエーデンのNATO加盟を承認する運びとなりました。

何故?頑なに拒んでいたトルコが折り合ったのか?
そこら辺を推測してみると、トルコの国内問題に行きつきます。

トルコのエルドアン大統領は、去年「インフレを鎮圧するのに金融緩和をもってする」と言う特殊な持論により金融緩和を継続しました。
一時期は、年率180%を超えるようなハイパーインフレになってしまいました。
ワールド
2023年6月6日12:00 午後Updated 1ヶ月前
アングル:窮状のトルコ経済、新財務相で「脱超インフレ」に期待
https://jp.reuters.com/article/analysis-turkey-cabinet-idJPKBN2XS04L

流石に高金利政策に戻り、インフレは去年のひどい時よりは収まりました。しかし、まだ高インフレ状態にあります。何より、これによりトルコ経済はガタガタになりました。加えてトルコ大地震の復興事業があります。

欧米諸国からの資金援助がないと、どうにもならない経済状況です。

しかし、「金で転んだ」と言われては、反スウエーデンのトルコ国民から「総すかん」を食うのは、分かり切っています。

そこで小さい方のご褒美を表に出しました。
ワールド
2023年7月11日4:56 午後10時間前更新
米大統領、トルコにF16供与の意向 議会と協議へ
https://jp.reuters.com/article/nato-summit-sullivan-idJPKBN2YR0EM

「念願のF16戦闘機をGet!したんだから、お手柄だろ!」
と言う訳です。

しかし、実際には裏に隠している経済援助の方が「デカイ!」ご褒美ではないか・と推測します。しかし、それが本当だとしても国民への聞こえが悪いから隠していると思います。

ご褒美は、私の推測では二つあると思います。


ウクライナのNATO加盟への道筋<2023年7月

2023-07-17 12:52:46 | NATOとアメリカ

ワールド
2023年7月12日12:31 午前Updated 5時間前
ウクライナの未来はNATOに、首脳ら合意 加盟期限は設けず
https://jp.reuters.com/article/nato-summit-ukraine-decemeber-idJPKBN2YR15O

今回のNATO首脳会合で合意したのは・・
「ウクライナの未来はNATOにある」
(これは総論です)
「同盟国が同意し条件が整えば、NATOはウクライナの加盟に向け招待することができる」

(同時に、ウクライナに求める加盟行動計画(MAP)を履行する要件を排除し、加盟に向けたハードルを事実上取り除いた。)
「NATO加盟は常に条件付きで、期限は設けられていない」
(これが各論です)

「招待する」の意味は、ウクライナが加盟申請すれば認めるという意味です。
「条件が整えば」の意味は、戦争が終結したら・の意味です。
「期限は設けられていない」の意味は、いつまでも有効だという意味です。

全部、総合すると・・
「ウクライナ紛争終結後、ウクライナがNATO加盟申請をすれば(事実上)無条件に加盟を認める。その申請は、いつまででも出来る。」

つまり、戦後のウクライナのNATO加盟は事実上決定したという意味です。

これは、先例になると思います。ロシアの脅威に怯える国は、他にもあります。加盟行動計画(MAP)を履行する要件のために加盟できていない国が二か国あります。
ジョージアとモルドバです。この二か国にも加盟の道が開かれると思います。


米国の機密文書・外部大量漏えい事件その後<2023・4・14

2023-04-16 16:40:56 | NATOとアメリカ

米情報管理の「穴」が露呈、21歳の下級兵士が機密情報にアクセス
Peter Martin、Courtney McBride
2023年4月14日 15:10 JST
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-04-14/RT2VX2T0G1KW01

どうやら、機密情報にアメリカ軍内部から簡単にアクセスでき情報の持ち出しもそれほどチェックをする仕組みがなかったようです。
スパイすら不要な米国の機密文書のゆるゆる管理の現状が事件の起きた理由のようです。アメリカ軍内部にいれば誰でもアクセスでき、誰でも持ち出せる管理の緩さです。ダメを通り越して、何というべきか分かりません。

この前の記事でアメリカ社会の何らかの変調を指摘しましたが、同じことがほかの分野でも起きているようです。

何というのか?
普通に考えると?恥ずかしいことでは、あります。
中国との覇権争いに不安を覚えた国は、多いかもしれません。

米機密文書の流出、容疑者の空軍州兵を逮捕
2023.04.14 Fri posted at 06:32 JST
https://www.cnn.co.jp/usa/35202596.html
BBC(今日)
21歳の空軍州兵を逮捕、米国防総省の機密文書流出
https://www.bbc.com/japanese/65271731


フィンランドのNATO加盟に対するロシアの反応<2023・4・8>

2023-04-13 09:27:20 | NATOとアメリカ

ロシア、フィンランドのNATO加盟を痛烈批判
2023.04.05 Wed posted at 10:57 JST
https://www.cnn.co.jp/world/35202167.html

ほぼ、ボロクソに言っています。
要するに、それだけ困っているという意味です。
どうしてくれるんだ!

今更、遅いです。ロシアのウクライナへの軍事侵略が、フィンランド国民の意識を一気に変化させ、NATO加盟支持になりました。

旧ソ連時代から、フィンランドをロシアよりの中立地帯にしておくのが、外交政策であり安全保障政策です。つまり、それを台無しにした訳です。

そもそも、フィンランドは長い準備期間のうちにロシアの影響力を弱め国防を強化してきました。原発を導入したのも、ロシアのガスに依存するのを止めるためです。ロシアのガスにどっぷり浸かり切ってきたドイツのメルケルとは正反対です。

仮想敵国はロシアですので、フィンランドの軍事力はウクライナを除けばヨーロッパ最強と言えるほどに強力です。それを敵側(NATO)に追いやったのは、ロシアにとって外交的大失敗であり、ロシアの悪夢と言える状況を自ら生み出しました。

フィンランドとロシアの国境線は、1300kmに及びます。つまり、ロシアとNATOの国境線も自動的に北に1300km延長されました。

その意味は?
おそらくフィンランドが中立政策を取っていた時は、国境に配備されていたロシア側の国境警備要員や兵士は、ごく少なかったと思います。今後は、普通にNATOとの国境であることを意識して国境警備要員や兵士を配備する必要が出てきます。装備や兵器についても同様です。

ロシアの困る気持ちは、十分理解できます。しかし、それに同情する国は、周辺には皆無でしょう。
内心(良かった!)と思う国が、ほとんどだと思います。

つまり、以下のような問題がすでに発生しています。

「ロシアは兵士の確保で問題」、西側当局者が指摘
2023.04.06 Thu posted at 07:09 JST
https://www.cnn.co.jp/world/35202225.html

ロシアにとって不都合なことに、ロシアが困るほど喜ぶ周辺国が多すぎることです。そういう立場に、自分で自分を追い込みました。独裁者は、自分の都合に良いようにしか物事を考えません。世の中の常として、思い通りにはならないケースは、沢山あります。失敗した場合の対応策が、ありません。ひたすら、失敗を続けるしかありません。ロシア国民も、いい加減に考えるべきでしょう。独裁国家が自爆した後の国民の不幸を知るべきだと思います。

旧ソ連崩壊の後に、1回経験しているんですけれどね?


イギリスが環太平洋パートナーシップ(CPTTP)に加盟<2023・4・1

2023-04-11 16:00:05 | NATOとアメリカ

TPP、イギリスの加盟で合意 英経済への影響はわずかか
2023年3月31日
https://www.bbc.com/japanese/65135829

イギリスは、ボリス・ジョンソンを筆頭にするユーロ離脱派が煽りまくり国民投票の結果、僅差でユーロ離脱を決めました。今もイギリス国内には、賛否両論があります。
新首相のスナク首相は、現実的なビジネスマンのような政治家です。事実政治家になる前は大成功したビジネスマンで資産家です。まずは、ユーロ諸国との関係改善に動きました、イギリスのチャールズ新国王の最初の訪問先は、ドイツでした。これが、スナク首相の最初の外交です。

次にTPP加入を決めました。
すぐ、イギリスに利益がある話では、ありません。
将来を見据えた長い目での外交です。
イギリスは、インドや香港、日本とも旧知の間柄です。
シンガポールとも関係は、悪くないでしょう。スナク首相は、インド系イギリス人です。当然、インドにも人脈があるでしょう。イギリスにとっては、昔の自分のエリアに戻ってきたような意味合いもあります。

TPPは、世界の総生産の13%を占め、5億人規模の市場を有しています。そしてこれから成長していく地域です。だから、イギリスにとっては、ここで経済活動に参加すれば将来的には、大きなリターンを見込めるでしょう。今、日本とは次世代戦闘機の共同開発を決定し、これから具体的な作業が始まります。世界第3位の経済大国とのパイプを作り経済関係を深めていくことは、イギリスにとってはメリットが大きいです。イギリスの製造業は、衰えました。日本の製造業の資本参加を求めて現地生産方式の工場を誘致できれば、イギリスの製造業の復活にメリットがあるのは間違いありません。

香港、シンガポールと金融センターの面で協力関係を築ければ、おそらく世界最大の3局型金融センターに発展させていくことも可能です。

短期的なメリットは、少ないですが長期的には大きなメリットに変化していく可能性があります。TPPに参加することによりアメリカとも違った意味で関係を強化できるでしょう。

ユーロの一員であるより、イギリスにとってはユーロを離脱して世界との関係を強めた方が、将来的に大きなメリットを得る可能性があるのです。

落ち目のヨーロッパとこれから発展していく東南アジア・太平洋地域とを比較したら、どちらとの関係を強化するのは、長期的に有利かの問題です。

とにかく、サイコロは振られました。決定した以上は、そのチャンスを生かすのは、今後のイギリス国民の努力次第です。日本にとっても有利です。イギリスが日本のパートナー国であれば、ヨーロッパ・アフリカ・中東でのビジネス展開に有利です。

アラブでよく言われることですが・
日本は、技術があるのにプレゼンテーションが下手!
イギリスは、プレゼンテーションは上手いが技術がない!
協力すると、良い結果が得られると思います。


2023・3・31NATO>フィンランドのNATO加盟が決定

2023-04-11 15:55:37 | NATOとアメリカ

ワールド
2023年3月28日9:15 午前3日前更新
ハンガリー、フィンランドのNATO加盟承認
https://jp.reuters.com/article/nato-nordics-hungary-finland-idJPKBN2VU007

ワールド
2023年3月31日6:22 午前17分前更新
トルコ議会、フィンランドのNATO加盟を承認
https://jp.reuters.com/article/nato-nordics-turkey-finland-idJPKBN2VW20M

隣国のスエエーデンも加盟を申請していますが、上記両国の承認が得られません。ハンガリーはNATO加盟国であるのに首相が親ロシアです。大統領と議会は、ユーロ派と言う組み合わせで、首相はフィンランドについても批准に反対していましたが、議会が承認しました。

トルコは、スエエーデンとは折り合いが悪いです。中立政策に時代にトルコのクルド人過激派を、国内にかくまい活動を許していました。その件もあり、トルコが感情的になっていて、承認のめどは立っていません。

しかし、フィンランドのNATO加盟が決定したことにより、ロシアにとり悪夢が実現しました。南はトルコから北は、フィンランドに至るまで長大なNATOとの国境が生じました。フィンランドとロシアの国境は、1300kmです。しかも、フィンランド国防軍は、ウクライナを除けば現在ヨーロッパ最強であろうと目されるほど強力です。

ソ連は、長年こうしないために精一杯の外交努力をしてきました。フィンランド国民は、NATO加盟反対の意見の方が多かったのです。だから、これまでは中立でした。しかし、ロシアのウクライナ軍事侵略で一気に国論が変化して、すぐNATO加盟申請をしました。

北極圏でも、西側とロシアの鬩ぎあいがあります。ここにも影響があります。

NATO諸国の団結も生み出しました。強力な経済制裁が発動され、これは戦争が終わった後も簡単には解除されないと思います。ウクライナに対する損害賠償と戦争犯罪の責任を問われるからです。

この戦争が終わったときには、ロシア陸軍はズタズタになり、誰も恐れなくなると思います。この戦争でロシア軍が失った装備や兵器は、膨大でありそれを再建するためには、長い年月が必要でしょう。西側の経済制裁を受けたままでは、不可能に近いことです。

そして、主に西側諸国とそれに近い自由主義国家からの信用を完全に失いました。これらの国は、ロシアを完全なる敵性国家としています。NATOがロシアを敵性国家に指定したのは、去年です。それまでは、NATOにとってロシアは敵性国家でなかったのです。NATOも寝ぼけていたというしかありません。2014年のクリミア侵略がありながら、形式的な経済制裁でお茶を濁し、ロシアの資源やエネルギーとロシアマネーとロシアビジネスに群がっていました。ロシアのウクライナ軍事侵攻を招き寄せたのは、このようなNATO諸国のロシアに甘い態度です。(甘いというより、摺りよりですね。ロシア旦那~スリスリ・・・一番ひどかったのが、ドイツのメルケル!)

だから、ロシアはウクライナに軍事侵略してもNATOの対応は、腰砕けだろうと予測したわけです。アメリカの大統領など最悪でした。最初から、アメリカは軍事的な対応はしないと明確に発言していました。もし、アメリカが軍事介入もありうるし侵略に対して断固たる対応をする!と宣言していれば、どうです?ロシアは、侵略を中止してウクライナと交渉したかもしれません。

ウクライナの当時出していた条件は、その当時の現状を認めユーロやNATO加盟は放棄して中立を保つという内容です。それだけでも、ロシアにとっては外交的大勝利でしょう。

しかし、ロシアの独裁者は情報機関から誤った分析を報告されていました。首都キーウは3日で陥落し2週間もあればウクライナは屈服するという内容です。どうやら、独裁者は本気でそれを信じていたようです。

「首都キーウは3日で陥落し2週間もあればウクライナは屈服する」
ロシアから流されたプロパガンダでしたが、どうやら独裁者は本気で信じ込んでいたようです。だから、ウクライナの提示した和平案を蹴り、軍事侵略を実行したようです。

色々なことが起きました。
フィンランドのNATO加盟が決定が、その一定の帰結です。ロシア包囲網が完成してしまえば、もうロシアがヨーロッパに手出しする事は、事実上不可能でしょう。NATO諸国を団結させ、何より眠れる軍事大国ドイツを目覚めさせました。

旧ソ連時代から長いこと続けてきた外交努力を、全部一気に破壊したのが、ロシアの軍事侵略です。ロシアは、ほぼ永遠にヨーロッパ諸国から危険な敵性国家とみられるでしょう。ヨーロッパ以外の周辺諸国も同じだと思います。

まともな国家指導者であれば、絶対にしない又しては、ならない事を平然と行った跳ね返りは、大きなものがあります。政治的に気が狂っているとしか言いようが、ありません。

ロシアは、自らの行いで招いた罪の償いをこれから長い年月をかけて償わなければなりません。

ドイツは今でも時々批判されます。日本だって、同じでしょう。今も周辺諸国から批判されることがあります。同じことを、これからロシアはしていかなければならないのです。

ウクライナ人道危機救援金 - 日本赤十字社
https://www.jrc.or.jp/contribute/help/ukraine/


ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本優勝<2023・3・22>

2023-04-08 17:09:37 | NATOとアメリカ

3-2の僅差でしたが、アメリカに競り勝って優勝しました。サッカーの盛り上がりとは、正反対ですが・・
今回は、日本はメジャーでプレーする選手も参加して、オールジャパンでした。
アメリカの方も打者は、オールアメリカでした。投手は大物は、控えたようです(調整の関係で)。
半分、本気のアメリカに勝ちましたから今回の優勝が一番価値があります。

アメリカの打者が参加したのは、大谷翔平君のチームメイトである、メジャーのスーパースターであるマイク・トラウト選手が出場したので他の強打者も参加してきました。

これも大谷翔平君効果かもしれません。
マイク・トラウト選手は、こんな機会でないと大谷翔平君と対戦できないですからね?「翔平に、一発かませてやろう!」・と思ったのかもしれません。とても、仲がいいんですよ。翔平君がアメリカに行ってから、親切に面倒を見てくれたアメリカの良き先輩です。また、翔平君のバッターとしてのお手本でもあります。

大会MVPは、当然・翔平君でした。


スロバキア、ウクライナにミグ29戦闘機13機供与&フィンランド<2023・3・18ウクライナ紛争>

2023-04-07 17:41:56 | NATOとアメリカ

ポーランド、ウクライナに戦闘機供与へ 数日中にまず4機
2023.03.17 Fri posted at 06:28 JST
https://www.cnn.co.jp/world/35201409.html

こうすると、次はどうなるか?

スロバキア、ウクライナにミグ29戦闘機13機供与へ ロシア反発
2023年3月17日 20:57 発信地:ブラチスラバ/スロバキア [ スロバキア ウクライナ ロシア ロシア・CIS ポーランド ヨーロッパ ]
https://www.afpbb.com/articles/-/3456172?cx_part=top_category&cx_position=3

こうなります。
実は、スロバキアはロシアに機体のメンテナンスを丸投げしていました。そこでポーランドとチェコは、ロシア人を追い払うようスロバキアを、そそのかしました。ロシア人を追放してしまうと、機体のメンテナンスが出来ないのでスロバキアのミグ29戦闘機は、強制退役になりました。スロバキアは、アメリカのF-16戦闘機を発注しており、これが届くのが2024年です。
その間、スロバキアの防空はポーランド空軍とチェコ空軍が行うことになっています。
今回、供与されるのは強制退役させた分です。

もちろん、ポーランドは最初からウクライナに供与することを前提にそうさせたわけです。
当然、ポーランドにもまだミグ29戦闘機は、あります。メンテナンスが完了すれば、全部引き渡すでしょう。

ポーランドが、韓国から戦闘機を買い付けたのは、そのためです。韓国の戦闘機はベースがF-16ですから十分、アメリカのFー16の代わりの戦闘機として運用できます。
アメリカのFー16戦闘機は、大人気で納機が、だいぶ遅くなります。そのような理由で、ポーランドはすぐ納機が出来る韓国製戦闘機を買い付けました。

全部、合計すると30機以上になると思います。
今、戦闘機が少なくなっているウクライナ空軍には、まとまった機数がすぐ入手できることは、ありがたい話なんです。古いですけれど現在、ウクライナ空軍が使っている機種と同じですから、すぐ実戦投入できます。古くたって数が多ければ戦力になります。

☆さてフィンランドの話。
ワールド
2023年3月18日1:14 午前7時間前更新
トルコ、フィンランドのNATO加盟批准手続き開始へ=大統領
https://jp.reuters.com/article/nato-nordics-turkey-finland-idJPKBN2VJ160

トルコも今回のトルコ大地震では、世界から支援や援助を受けました。5月は大統領選挙になってしまいますから、早めに批准手続きを、しようと言う運びになりました。

ハンガリー議会も今月批准する予定です。

この両国が批准すると、フィンランドのNATO加盟が決定します。他の28か国は既に批准済みです。
スウエーデンについては、トルコの次の大統領が決まってからの話になるでしょう。

ウクライナ人道危機救援金 - 日本赤十字社
https://www.jrc.or.jp/contribute/help/ukraine/


ドイツ・シュルツ首相の変化<2023・3・17ウクライナ紛争>

2023-04-07 17:38:41 | NATOとアメリカ

この戦争で大きな変化を見せた人は、二人います。
一人は、ウクライナの大統領です。戦争前の2021年ごろの写真を見ると頼りないにやけたニイチャンに見えます。
戦争発生後は、だんだん顔つきが変わり、今では別人のように見えます。戦争が、戦時の大統領に変化することを求めました。見事にその使命を果たしていると思います。

もう一人は、ドイツのシュルツ首相です。
去年の開戦後は、困っているおじさんに見えました。
何しろ政権基盤が、いんちき3党連立政権です。立場も弱いしドイツ国内も混乱しました。
その主な理由は、ロシアとの関係をどうするかの問題です。従来のドイツの外交政策は、100%親ロシアです。
ロシアから、大量のエネルギーを(格安で)購入し、ロシアに経済進出して、ロシアビジネスで稼ぐ経済構造が出来上がっていました。それを作り上げたのが、前首相のメルケルです。当然、ドイツ国内にはロシア人脈がガッチリ!残っています。

だから、ドイツには簡単にロシアと縁切りできない理由がありました。だから、最初はシュルツ首相は、ウクライナ問題とロシアとの関係について、あいまいな立場を取るしかありませんでした。
ついには?
「ドイツはまた、歴史の誤った側に立つのか!」
と、まで言われてしまいました。
そうこうしているうちに、ロシアに対する経済制裁がどんどん決まっていき、ドイツは?
「ロシアの踏み絵を試されました」
(ロシアの仲間か?NATOの仲間か?)
結果、踏み絵を踏んだドイツは、徐々にロシアとの関係を薄めていきます。決定的だったのは、ロシアのガスを購入しないことを決めたことでしょうね。おかげでドイツは大変なことになりました。スポット市場でガスを買いまくり液化天然ガスの受け入れ施設を突貫工事で建設し、暖冬のおかげもあり何とか冬を乗り切りました。

一方で、ロシアと手切れを決めるなら取引の相手先を変更しなくては、なりません。去年は、中国を訪問し経済的な関係を強化しました。

そのころから、シュルツ首相の顔つきが変わってきました。頼りないおじさんから、ドイツの首相らしい顔つきに変わりつつありました。

完全に変化したのは、今年1月にドイツ製戦車のウクライナへの供与を決め、転売を認めた後です。
(それを過去の傷などチクチクつつきながら煽りまくったのは、ポーランドです。過去の、借りを返せや・思い出したくないドイツの過去です・・歴史の被害者にはそれを言う権利があります・・シュルツ首相もブチ切れて!エ~イ!と覚悟を決めたわけです=まとめて面倒見ます!全部、ドイツにお任せください!⇒すごく分かりやすいでしょう?だから、ロシアは向こう200年くらいはウクライナ侵略の非を問われ続けるでしょう。既に「歴史の誤った側に、自ら立っています。ロシアの戦争犯罪は、これから問われ続けます。」
勝てば官軍方式でロシアは、これまでやってきました。負ければ賊軍・・これからロシアはそれを体験するでしょう・・)

その後、完全にゲルマン魂になりました。
それは、顔を見れば分かります。
ドイツの国家のために覚悟を決めたのでしょうね。
完全にロシアと手切れをして対決することを決意したのでしょうね。もう、後には戻れません。
こうして、ロシアは戦後の長い(隠れ)同盟国を失いました。ゲルマン魂になったシュルツ首相は、徹底的なウクライナ支援とバルト3国防衛を宣言します。

ロシアビジネスを捨てた以上は、他に貿易相手や取引相手を開拓しなければなりません。去年の中国訪問も、その中での動きです。

日独、経済安保で連携模索 18日政府間協議初開催
2023年03月17日16時19分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023031700749&g=int

ドイツ政府の内閣が一式来ています。
つまり、今後はドイツは東南アジアとの関係を深め、活路をそこに求めると言うことです。
次世代戦闘機開発では、イギリスに上手いことやられましたからね。ドイツだって、一枚かみたいでしょう。
他にも協力できる分野は沢山あると思います。

情けなく思うこと・・
G7の首脳は、6か国はウクライナを訪問しウクライナとの連帯を示しました。
1か国だけ、びびって行かない国があります。
(あのなあ?ロシアのミサイルが命中して死んだって、名誉の戦死なんだから?びびるな!)

ウクライナ人道危機救援金 - 日本赤十字社
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ネット社会の怖さを教えてくれたシリコンバレー銀行(SVB)の経営破たん

2023-04-07 17:31:22 | NATOとアメリカ

2023年3月16日 14:52 

シリコンバレー銀を破綻に追い込んだ現代の取り付け騒ぎ、ツイッターがパニックあおる
2023.03.15 Wed posted at 18:41 JST
https://www.cnn.co.jp/tech/35201318.html

破綻したシリコンバレーバンク、従業員はCEOに怒り 「極めて愚か」と内部関係者
2023.03.14 Tue posted at 20:20 JST
https://www.cnn.co.jp/business/35201277.html

グレッグ・ベッカー最高経営責任者(CEO)の情報公開のやり方にも確かに、愚かな部分はあります。言わなくてもいいことを、まとめて2つ情報公開したのが、発端です。銀行の中身自体には問題は、なかったのです。

「あの銀行は危ない!」
と、言う者がいてそれが、ほぼ瞬間的に拡散しました。
ネット空間でほぼヒステリー状態の取り付け騒ぎに発展してしまいました。ネット上で取引できるのですから、多分秒単位で出金され、「9日だけで420億ドル(約5兆6000億円)をを引き出した。」
「同営業日の終わりには、SVBは約9億5800万ドルの債務超過に陥っていた。」

経営的には何の問題がなかった銀行が、たった1日の取り付け騒ぎが原因でその日の終わりに倒産しました。

シリコンバレー銀行(SVB)は、ネット銀行ではありませんが、こんなことが起きてしまいました。

今はやりのネット銀行。全部、このようなリスクを内蔵しています。経営不安のうわさを流せば、場合によっては瞬時にそれが拡散してしまうかもしれません。預金者がオンラインで預金の引き出しに殺到すれば、同じことが起きてしまいます。
預金保護の上限は、1000万円。
利用するなら、その限度内にしておいた方が無難ですね。

クレジットカードの不正使用とか、世の中便利になるほど犯罪もしやすくなるし、今までなかったようなリスクも発生します。


フィンランドとスウエーデンのNATO加盟問題<2023・3・15>

2023-04-07 11:06:03 | NATOとアメリカ
 

長年中立政策を取ってきた、スウエーデン。
戦後、対ロシア融和的中立政策を取ってきたフィンランド。

ロシアのウクライナ侵略は、この2か国の外交政策を激変させました。

フィンランドは、侵略後と侵略前では国民の意識が大きく変化しました。侵略前は、中立を支持する国民の方が多数でした。侵略後は、フィンランド国民の意識は一気に変化しNATO加盟に賛成する国民が増えました。
スウエーデンも事情は同じです。長年の中立政策を、大変更してフィンランドとともにNATO加盟を申請しました。

フィンランドとスウエーデンには複雑な歴史があります。フィンランドは、極寒の北欧の小国です。
古い時代には、キエフ大公国の一部でした。

その後、スウエーデン王国とロシア帝国の戦争の舞台になりました。勝ったほうがフィンランドを支配する構図です。
ロシア帝国で起きた共産主義革命を利用して、フィンランドは独立を果たします。

第二次世界大戦のとき、ソ連はフィンランドの軍事侵略を実行します。それが冬戦争です。
冬戦争 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%AC%E6%88%A6%E4%BA%89

この時、西側諸国もナチスドイツとの戦争中で民主主義国家であるフィンランドへの支援は、ありませんでした。フィンランドは、独力で戦争を戦うしかありませんでした。しかし、この時陰に日向にフィンランドを支えたのが、当時のスウエーデンです。実質的にフィンランドの後方支援基地の役割を果たしました。フィンランドの子供たちの多くは、スウエーデンに疎開しました。

フィンランドがソ連との冬戦争に勝てたのは、このような隠れたスウエーデンの大きな支援があったからです。スウエーデンにも打算は、あります。フィンランドがソ連に屈すれば、次はスウエーデンです。

しかし、この出来事が戦後、フィンランドとスウエーデンの親しい関係を作り出しました。今では、北欧の姉妹国家と言えるような関係です。

フィンランドは、スウエーデンにとって盾のような国家であるわけです。当然にフィンランドの仮想敵国は、ロシアです。戦後の長いときを経て、フィンランドは現在ヨーロッパ最強ともいえる陸軍を作り上げました。だから、フィンランドが軍事的に弱いからNATOに加盟申請したわけではありません。独力でもロシアと戦える軍事力は保有しています。それを、より強固なものにするためにNATOに加盟申請しました。

スウエーデンとほぼ同じ時期に加盟申請したのは、姉妹国家だからです。「一緒に行動しようね」と言うことです。

ところが、トルコが特にスウエーデンに対して拒否反応が強いです。トルコの憎むトルコ内クルド人過激派のメンバーを、スウエーデンは匿いトルコに批判的な態度を取ってきたからです。加えて、去年デンマークの過激右翼がスウエーデン国内でトルコやイスラム圏を激怒させるような事件を起こしました。

ブルガリアは、国内が割れており親ロシア派の首相と親ユーロ派の大統領と議会があります。しかし、議会が両国のNATO加盟を認める決議をする流れになっています。

NATO加盟には、加盟国全部の批准が必要です。

残るは、トルコ1国のみとなりました。
トルコは、フィンランドには特にわだかまりはありません。スウエーデンに大きなわだかまりを持っています。

これまで両国は、NATOの同時加盟のために外交的努力を継続してきました。しかし、トルコとの関係を考えると長くなります。そこでフィンランドの先行加盟を先に実現しようという動きになってきました。

フィンランド先行「可能性高まる」 NATO加盟でスウェーデン首相
2023年03月14日20時22分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023031401068&g=int

スウェーデン首相の方から、そう言ってもらわないとフィンランドは、そう出来ないわけです。スウェーデン首相が、そう言ってくれれば、とりあえず先行してフィンランドのNATO先行加盟が実現します。

地図を見れば分かりますが、ロシアと1300kmに及ぶ国境線を有しているのは、フィンランドです。ノルウエーもNATO加盟国です。だから、フィンランドのNATO加盟がNATOにとっても、重要です。フィンランドの強力な国防力と、1300kmに及ぶ長い国境線はスカンジナビア半島へのロシアの軍事的圧力を大きく減らします。そして今、北極圏でのNATOとロシアの競り合いがあります。これにも、フィンランドのNATO加盟は大きな意味を持ちます。

そのため、フィンランドの先行加盟をスウエーデンが発言したわけです。とにかく、先に対ロシア包囲網を完成させようと言うことです。それが、完成してしまえばロシアがスウエーデンに軍事的圧力をかけるのは、事実上不可能になります。

南はトルコから北はフィンランドに至る長大で強力な対ロシア包囲網が完成してしまえば、ロシアが軍事的な影響力をヨーロッパに及ぼすのは、事実上不可能になります。

今、一番弱い立場にあるのがバルト3国です。どれも小国でロシアかロシアのポチのベラルーシと国境を接しています。その北のフィンランドがNATOに加盟すれば、ここにもロシアは手出ししにくくなります。
そして眠れる軍事大国ドイツは、バルト3国の防衛を宣言しました。具体的には、ドイツ国防軍のバルト3国の駐留兵力が増えます。これまでは、大隊規模でした。旅団規模のドイツ軍を常駐させると宣言しました。5000人規模の機甲部隊や機械化部隊その他一式の戦争道具を備えた部隊です。

もう、この辺りにはロシアが手出しするのは、不可能です。

ウクライナに気軽に火遊びを仕掛けたばかりに?
ロシアにとって悪夢の対ロシア包囲網が、ほぼ完成してしまいました。これは、最悪の最悪と言えます。こうしないために長年ソ連は、色いろ努力してきました。
おまけに平和ボケで眠りこけていた、ドイツ国防軍の「枕」を蹴飛ばして無理やり叩き起こしたようなものです。ドイツのゲルマン魂に火が付きました。
つまり、「絶対、こうするな!」と言う長年ソ連が努力してきたことを、全部某プーチンは、やり遂げてしまいました。

ドイツは、とことん整備が終わり次第レオパルト戦車をウクライナに送り込むでしょう。
ロシアの戦車は、今ウクライナの戦場にある分だけで、あとは倉庫に眠っている?ウンと!古いT-55?戦車しかないと思います。これは、50年以上前の旧式戦車です。整備するだけで大変でしょう。

要は、ロシアに有利な部分はないと言うことです。
訓練も装備もない素人兵士の頭数が多いだけです。
それが、ドイツの戦車と戦うのですよ?

北朝鮮とイランのお情けにすがっても、大したことはしてもらえないと思います。
中国に頼むには、ガス田や油田の権益と引き換えでないと無理でしょう。それやるとロシアの稼ぎがなくなります。


ドイツ製戦車・レオパルト2<2013・3・14ウクライナ紛争>

2023-04-07 11:04:50 | NATOとアメリカ

激戦のバフムトは、現在比較的安定した状況のようです。衛生兵の話では、2~3週間前が戦闘のピークだったようです。丁度、ウクライナ陸軍(最高)司令官が最初に現地入りしたころですね。そのため陸軍司令官が直接視察して、防衛を続行するか撤退するかを判断したのであろうと思います。撤退もありうるような噂をリークしつつ、結局今のところ撤退していません。

ワールド
2023年3月14日2:18 午後7時間前更新
レオパルト2訓練でウクライナ兵が好成績、近く実戦投入へ
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-germany-tanks-idJPKBN2VG086
ウクライナ兵の戦車訓練、第1陣が週内にも完了 スペイン国防省
2023.03.14 Tue posted at 13:19 JST
https://www.cnn.co.jp/world/35201246.html
ウクライナ軍兵士4000人超、米国や同盟国で訓練
2023.03.01 Wed posted at 11:34 JST
https://www.cnn.co.jp/usa/35200665.html

さて、ドイツ製戦車・レオパルト2の話です。これは、現在NATOの最新型戦車です。当然、ウクライナ軍の主力戦車のTー64より格段に優れています。T-64は40~50年前の超オンボロ戦車です。
そして、旧ソ連製の戦車には、新しい型式のTー90まで含めて共通の弱点があります。戦車砲の装填システムにより極端に砲塔部分の被弾に弱いことです。砲弾でも歩兵のミサイルでも命中すれば、即座に砲塔部分が吹き飛びます。

ドイツ製戦車・レオパルト2は、それと比較して戦車の装甲も強力ですし、様々優れた点があります。歩兵戦闘車や歩兵と組み合わせると、強力な攻撃力を発揮します。

ポーランドは、戦車兵の訓練も終えていて、14両引き渡し済みです。ドイツも大体戦車兵の訓練は終了段階にあり月内に18両引き渡し出来る予定です。
今、スペインでも訓練中で3~4両引き渡される予定です。カナダからも4両来るでしょう。

4月の段階で最低、40両は実戦配備できる見込みです。
その他、ドイツから供与予定の歩兵戦闘車やアメリカから供与予定の歩兵戦闘車と装甲兵員輸送車については、ニュースがないので分かりません。アメリカからくる分は、数が多いですからメンテナンスに時間は、かかると思います。
兵員の訓練も4000人1グループで実施しているようです。士官の訓練もしているようでした。

大体、旅団を編成するくらいの武器と兵員は、ほぼ揃っています。旅団とは、5000人規模の部隊です。

どのように新しい武器と人員を運用するのかは、ウクライナ軍の決めることであり、まだ不明です。

春になり、地面が固まれば、これらの部隊は実戦配備されるでしょう。

戦車については、これが最初の供与分でありメンテナンスが終わり次第、順次追加されると思います。ドイツがデンマークなど3か国と共同で100両追加する予定です。他にも何だかんだあって、フランスの話では、最終的に供与される戦車は、300両になるだろうという話でした。

あとウクライナ軍の問題は、戦車砲弾やりゅう弾砲弾の補給です。今、アメリカとNATOが増産に動いていますから、やがてもう少し供給量が増えると思います。

春の戦いに向けたウクライナ軍の準備は、アメリカとNATO諸国の全面的な協力を得て、着々と進行中のようです。

春までロシア軍が、ちんたらバフムトで消耗戦なんかやっていたら、どうなるか分かるでしょう?
スラビャンスク方面から、機甲部隊と機械化部隊が相当なスピードで南下してきます。挟み撃ちにされれば?全滅・・

つまり?
バフムトのロシア軍の運命は、その前にバフクトを制圧できず、春までウロウロしていたら、多分挟撃されて壊滅です。ウクライナの増援部隊は、スリャビャンスク方面から進撃してくると思います。ここが、ウクライナ軍にとって一番危ないんだから増援部隊は、ここに来るでしょう。そして、それはロシア軍の勝利のプロパガンダを否定することにもなります。ショックは大きいでしょう。唯一ロシア軍が勝っていたと思われていた、バフムトでロシア軍が壊滅しました・・・
ロシア国内への影響は、どうなります・・・

ウクライナ人道危機救援金 - 日本赤十字社
https://www.jrc.or.jp/contribute/help/ukraine/


NATOの意思決定システムの変化<2023年2月23日 6:30

2023-04-01 19:30:00 | NATOとアメリカ

これまでは、主にフランスとドイツの決めたことに他の国も従うような仕組みでした。
ところが、これらの国はロシアのウクライナ軍事侵略では、何の役にも立ちませんでした。それどころか、NATOの足を引っ張ったと言えます。プーチンと接触するフランス。ウクライナ支援を渋るドイツ。

ロシアのウクライナ軍事侵略に脅威を感じる国々が、NATOの意思決定を主導するようになりました。
「明日は我が身」を皮膚感覚で実感できる国々の団結は、素早かったです。そして、ウクライナへの軍事支援の実行も早かったです。最後まで、戦車を出し渋ったドイツとは正反対でした。

米、中東欧の防衛強化で合意 ポーランドで首脳会合
2023年2月23日 5:45 発信地:ワルシャワ/ポーランド [ ポーランド ヨーロッパ 米国 北米 ウクライナ ロシア・CIS ]
https://www.afpbb.com/articles/-/3452590?cx_part=top_topstory&cx_position=2

会合に参加したのは・・
ジョー・バイデン米大統領
NATOのイエンス・ストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)事務総長
ブルガリア、チェコ、エストニア、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、ポーランド、ルーマニア、スロバキア

全部、鉄のカーテンの時代に東側にいた国々です。
ドイツやフランスには、それが分からないのですね。
それどころか、まだロシアビジネスに未練を持っているでしょう。
お金の問題ではなく!命の問題だ!
参加していませんが、イギリスも同じ考えです。

アメリカは、バルト3国への派兵している兵力を増やすでしょう。当然、この地域に優先的に武器の売却も進めると思います。

ブッシュJr元アメリカ大統領の言ったことを、覚えていますか?
頭の弱いカウボーイでした。
しかし、本質は理解していました。
西ヨーロッパを古いヨーロッパと切り捨て・
東ヨーロッパを新しいヨーロッパと持ち上げました。
今、ヨーロッパの危機に際して、正にその通りになりました。古いヨーロッパと切り捨てられた代表は、ドイツの前首相のメルケルです。その時代の対ロシア外交が、今回のロシアの軍事侵略を招いたことに対し、半分は責任があると思います。今思い返すと、半分ロシアの工作員だったようにも見えます。

ポーランドは、NATOの合意を前提にF-16戦闘機のウクライナへの供与を表明しています。
イギリスは、ウクライナ空軍のパイロットの訓練をすでに始めています。やがては、ウクライナへのF-16戦闘機の供与もNATOの合意事項になると思います。

今、モルドバもロシアに内政干渉を受けて、政権が危うくなっています。ロシアをウクライナで止めなければ、東ヨーロッパ全体が、そうなると言うことです。

ワールド
2023年2月23日5:55 午前36分前更新
モルドバ大統領、バイデン氏を招待 ロシアとの関係緊迫下で
https://jp.reuters.com/article/moldova-politics-sandu-biden-idJPKBN2UW1OL

日本政府も、今回の教訓を学ぶべきでしょう。
太平洋にも火種は、あります。
今、協力すれば困ったときに援助を期待できるでしょう。
あるいは、火種のうちに拡大を防ぐことが出来るかもしれません。

火種を放置したから、ヨーロッパでは火災が起きました。
だから、せっせこ消火活動をしているわけです。