旅とエッセイ 胡蝶の夢

横浜在住。世界、50ヵ国以上は行った。最近は、日本の南の島々に興味がある。

 日本人嘆

2016年02月13日 19時21分03秒 | エッセイ
  日本人嘆

 高校の時、人嘆(ジンタン)というグループ名で演奏をしている連中がいた。しょーもないフォークソングを歌っていたが、その事はどうでも良い。彼らが演奏会のポスターを貼り出したんだ。『本日、人嘆の演奏会がーーー』それを見た国語、古典の先生がこう読んだ。嗚呼、日本人嘆!
今から半世紀近く前のことだ。日本人の劣化は今に始まったんじゃあ無いんだ。とにかくスケールが小さくなったよね。ヒーローはスポーツの世界にしかいないんだろうか。スポーツの英雄は人々に感動を与え、誇りを持たせる。しかし何といっても仮想空間のようなものだ。でも変な話だが、東北の大震災の時に人々のとった、冷静で忍耐強い対応は世界の人を驚かせた。これほど救援に値する人達はいない、と報道されていた。
 海外に出て、金儲けの為でなく人に尽くす日本人がいる。ブータンで蕎麦を植えたり、様々な野菜を試行錯誤して育て、鱒の養殖にも挑戦する老人。アフリカで孤児院を運営する夫婦、自費で病院を建て何十年も診療と手術を続けている先生。中東でマングローブの再生に挑戦する人。染色の技術、文化財の保護、昔話の収集等、世界各地で人知れず活躍する日本女性。書き上げればキリがない。カンボジアの奥地にある早期クメールの遺跡でも保全に努める日本の学生がいた。
 志のある人、勇気のある若者はまだまだいるんだ。まあ途上国で一番欲しいものは、自由は別にして、食料・医療・教育じゃあないかな。医者は欲しい。けれども先端医療をいきなり途上国に持っていっても、定着するわけないさ。ネパールで鍼灸の技術を教えた盲目の青年がいた。これならお金をかからない。
 日本だって江戸の飢饉の時に、ジャガイモとサツマイモの普及によって多くの人命が救われた。東南アジアではキャッサバが栽培されているが、土地によってもっと合う穀物が見つけられたら良い。タイだったか、梅干しの栽培と加工の技術を何年もかけて教えた日本人がいた。今では立派な地域産業に発展し、村の貴重な現金収入になっている。
 いやー世の中捨てたもんじゃあ無い。日本人やるじゃん。自分もいつかミャンマーかラオスで何らかの貢献が出来たらいいな、と思う。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿