古森病院@福岡市博多区 です。
管理人は精神科医でも脳神経外科医でも神経内科医でもないのですが
当院に入職してから 認知症の方と日々濃厚に接し、「一応」講習を受けて
認知症相談医なるものにもなっております。
抗認知症薬も一時使用していましたが、外来でも内服管理ができないとか
認知症が進行すると、薬効云々以前に なかなか効果を実感することがありません。
少し前ですが、抗認知症薬がフランスの保険から「効果が今一つ」ということで
外れたというニュースがありました。
以下引用。
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抗認知症薬の効果「不十分」 仏、4種類を保険適用外に 朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASL6N6TW4L6NULZU013.html
水戸部六美、編集委員・田村建二
2018年6月23日18時12分
認知症の治療に日本でも使われている4種類の薬が、フランスで8月から医療保険の適用対象から外されることになった。副作用の割に効果が高くなく、薬の有用性が不十分だと当局が判断した。日本で適用対象から外される動きはないが、効果の限界を指摘する声は国内でもあり、論議を呼びそうだ。
仏連帯・保健省の発表によると、対象はドネペジル(日本での商品名アリセプト)、ガランタミン(同レミニール)、リバスチグミン(同イクセロン、リバスタッチ)、メマンチン(同メマリー)。アルツハイマー型認知症の治療薬として、これまで薬剤費の15%が保険で支払われていたが、8月からは全額が自己負担になる。
東京大の五十嵐中(あたる)特任准教授(医薬政策学)によると、フランスは薬の有用性に応じて価格や保険で支払われる割合を随時見直している。今回の薬は7年前にも専門機関から「薬を使わない場合と比べた有用性が低い」との評価を受け、保険で支払われる割合が引き下げられた。機関は2016年にさらに低い「不十分」と評価し、今回の決定につながった。
4種類の抗認知症薬は病気の症状が進むのを抑えるが、病気自体はくい止められない。効果は各国で実施された臨床研究で科学的に確認されている。とはいえ薬から得られる恩恵は「控えめ」(米精神医学会のガイドライン)だ。また、下痢や吐き気、めまいといった副作用がある。
日本でアリセプトに続いて実施された3種類の薬の治験では、認知機能の指標では効果があったものの、日常生活動作を含む指標では効果が確認されなかった。それでも承認されたのは、アリセプトだけでは薬の選択肢が限られるなどの理由からだ。
東京都医学総合研究所の奥村泰之主席研究員らの調査では、日本では15年4月~16年3月にかけて、85歳以上の高齢者の17%が抗認知症薬の処方を受けた。処方された量はオーストラリアと比べ、少なくとも5倍多いという。
兵庫県立ひょうごこころの医療センターの小田陽彦(はるひこ)・認知症疾患医療センター長は「欧米はケアやリハビリをより重視する。日本では安易に抗認知症薬が使われている印象だ」と話す。
ただ、薬を自己判断でやめると症状が悪化する恐れがある。日本老年精神医学会理事長の新井平伊(へいい)・順天堂大教授は「抗認知症薬は病気の進行を1年ほど遅らせることができ、薬がなかった以前と比べればそれなりの価値はある。薬をどう使うかは主治医とよく相談してほしい」という。(水戸部六美、編集委員・田村建二)
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引用終わり。
昨今「あの人認知症だと思うわ、早く専門医のところに行って薬出してもらわなきゃ」
という雰囲気が医療介護関係者の間に蔓延しており、上記4つの薬のうちのいずれかを出してもらって「よかった~」と
何か事が片付いたかのような気がしたのもつかの間、問題行動はあまり変わらず、今度は施設入所検討ないし
精神科で強めの薬を処方され、食事も歩行もままならなくなり・・・・という展開を見かけます。
ただ患者さんの運が良ければ環境設定に色んな人が協力し
何とか認知症の方が抗精神病薬使用以外あるいは軽めの抗精神病薬投与でとりあえず落ち着く場面も
以前よりも増えてまいりました。これは認知症の対応教育普及の賜物と思います。
管理人の経験上は、認知症の周辺症状は家族の余力があれば まずは家庭の環境設定(介護保険申請を含める)。
不眠などは内服(普通の睡眠薬では効果ないことも多々あり。精神科の薬の内服でないと厳しいことが多いです)で
食事がとれる程度の内服量での対応。ご家族には家族会や認知症カフェなどをさらっと紹介(行きたくない人もいます)。
デイサービスやショートステイなどを利用しつつ、日常生活を支えていく。
そのうち 何かが起こってロングステイ。
という感じで、正直 抗認知症薬がどこまで役に立っているのか立ってないのか不明だなあ
と思っております。認知症の型が何型かということは 研究上は重要ですが日常生活上はあまり関係ありません。
劇的に症状が改善する慢性硬膜下血腫だけは除外しないといけないので 頭部CTだけは取らないといけませんが
後はあまり医学の出番はないなあ・・と思う今日この頃であります。加齢に伴う病気なので
致し方ないのですが、iPS細胞などで若い脳細胞を移植できる時代がくればまた違うのかもしれません。
定期的に院内で多職種認知症カンファを行っており トライ&エラーですが 色々な工夫を試みつつ
少しでも快適に過ごして頂けたらと思っているところです。
http://komori-hp.cloud-line.com/
管理人は精神科医でも脳神経外科医でも神経内科医でもないのですが
当院に入職してから 認知症の方と日々濃厚に接し、「一応」講習を受けて
認知症相談医なるものにもなっております。
抗認知症薬も一時使用していましたが、外来でも内服管理ができないとか
認知症が進行すると、薬効云々以前に なかなか効果を実感することがありません。
少し前ですが、抗認知症薬がフランスの保険から「効果が今一つ」ということで
外れたというニュースがありました。
以下引用。
************************************************************
抗認知症薬の効果「不十分」 仏、4種類を保険適用外に 朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASL6N6TW4L6NULZU013.html
水戸部六美、編集委員・田村建二
2018年6月23日18時12分
認知症の治療に日本でも使われている4種類の薬が、フランスで8月から医療保険の適用対象から外されることになった。副作用の割に効果が高くなく、薬の有用性が不十分だと当局が判断した。日本で適用対象から外される動きはないが、効果の限界を指摘する声は国内でもあり、論議を呼びそうだ。
仏連帯・保健省の発表によると、対象はドネペジル(日本での商品名アリセプト)、ガランタミン(同レミニール)、リバスチグミン(同イクセロン、リバスタッチ)、メマンチン(同メマリー)。アルツハイマー型認知症の治療薬として、これまで薬剤費の15%が保険で支払われていたが、8月からは全額が自己負担になる。
東京大の五十嵐中(あたる)特任准教授(医薬政策学)によると、フランスは薬の有用性に応じて価格や保険で支払われる割合を随時見直している。今回の薬は7年前にも専門機関から「薬を使わない場合と比べた有用性が低い」との評価を受け、保険で支払われる割合が引き下げられた。機関は2016年にさらに低い「不十分」と評価し、今回の決定につながった。
4種類の抗認知症薬は病気の症状が進むのを抑えるが、病気自体はくい止められない。効果は各国で実施された臨床研究で科学的に確認されている。とはいえ薬から得られる恩恵は「控えめ」(米精神医学会のガイドライン)だ。また、下痢や吐き気、めまいといった副作用がある。
日本でアリセプトに続いて実施された3種類の薬の治験では、認知機能の指標では効果があったものの、日常生活動作を含む指標では効果が確認されなかった。それでも承認されたのは、アリセプトだけでは薬の選択肢が限られるなどの理由からだ。
東京都医学総合研究所の奥村泰之主席研究員らの調査では、日本では15年4月~16年3月にかけて、85歳以上の高齢者の17%が抗認知症薬の処方を受けた。処方された量はオーストラリアと比べ、少なくとも5倍多いという。
兵庫県立ひょうごこころの医療センターの小田陽彦(はるひこ)・認知症疾患医療センター長は「欧米はケアやリハビリをより重視する。日本では安易に抗認知症薬が使われている印象だ」と話す。
ただ、薬を自己判断でやめると症状が悪化する恐れがある。日本老年精神医学会理事長の新井平伊(へいい)・順天堂大教授は「抗認知症薬は病気の進行を1年ほど遅らせることができ、薬がなかった以前と比べればそれなりの価値はある。薬をどう使うかは主治医とよく相談してほしい」という。(水戸部六美、編集委員・田村建二)
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引用終わり。
昨今「あの人認知症だと思うわ、早く専門医のところに行って薬出してもらわなきゃ」
という雰囲気が医療介護関係者の間に蔓延しており、上記4つの薬のうちのいずれかを出してもらって「よかった~」と
何か事が片付いたかのような気がしたのもつかの間、問題行動はあまり変わらず、今度は施設入所検討ないし
精神科で強めの薬を処方され、食事も歩行もままならなくなり・・・・という展開を見かけます。
ただ患者さんの運が良ければ環境設定に色んな人が協力し
何とか認知症の方が抗精神病薬使用以外あるいは軽めの抗精神病薬投与でとりあえず落ち着く場面も
以前よりも増えてまいりました。これは認知症の対応教育普及の賜物と思います。
管理人の経験上は、認知症の周辺症状は家族の余力があれば まずは家庭の環境設定(介護保険申請を含める)。
不眠などは内服(普通の睡眠薬では効果ないことも多々あり。精神科の薬の内服でないと厳しいことが多いです)で
食事がとれる程度の内服量での対応。ご家族には家族会や認知症カフェなどをさらっと紹介(行きたくない人もいます)。
デイサービスやショートステイなどを利用しつつ、日常生活を支えていく。
そのうち 何かが起こってロングステイ。
という感じで、正直 抗認知症薬がどこまで役に立っているのか立ってないのか不明だなあ
と思っております。認知症の型が何型かということは 研究上は重要ですが日常生活上はあまり関係ありません。
劇的に症状が改善する慢性硬膜下血腫だけは除外しないといけないので 頭部CTだけは取らないといけませんが
後はあまり医学の出番はないなあ・・と思う今日この頃であります。加齢に伴う病気なので
致し方ないのですが、iPS細胞などで若い脳細胞を移植できる時代がくればまた違うのかもしれません。
定期的に院内で多職種認知症カンファを行っており トライ&エラーですが 色々な工夫を試みつつ
少しでも快適に過ごして頂けたらと思っているところです。
http://komori-hp.cloud-line.com/