読書物語335

もどりました

悪人

2008-09-07 10:47:54 | 面白い・好みの本

  

読書ブログのcoco2さんに教えてもらった本。

昨日一気に読んでしまいました。

 

この人の本は「パークライフ」を読んだのですが

あまりに面白くなくて飛ばし読みして終了。

UPもしませんでした。

 

でも、この本は文句なく面白い。

 

著者は、九州の出会い系サイトでの殺人事件を題材に

実際に佐賀・長崎を車でめぐって書いたらしいです。

 

石橋佳乃は、ある日恋人増尾圭吾(彼女自称)と

会いにいくといって、そのまま帰らず、

人気のない三瀬峠で遺体となって発見されます。

犯人探しというより、両親・友人等からみた彼女が語られ、

同時に犯人についても語られます。

出会い系サイトでの接点だから、本当に一瞬の出会い

だったのに、殺人に発展した背景。

 

法では殺人者が悪人。でも本当の悪人は誰なのか?

著者は問いかけます。

 

心の中の虚無感ってみんなあると思います。

この描写もすごくわかって心が痛かった。

石橋佳乃の父が、東野に言った言葉、考えさせられました。

「今の世の中大切な人がおらん人間が多すぎったい。

大切な人がおらん人間は何でもできると思いこむ。

自分には失うもんがなかっち、それで自分が強ウなった

気になっとる。失うものもなければ、欲しいものもない。

だけんやろ、自分を余裕のある人間っち思いこんで、

失ったり、欲しがったり一喜一憂する人間を馬鹿にした眼で

眺めとる。そうじゃなかとよ。それじゃ駄目なんじゃ」