前回のBlogの投稿と入違いに、仲間のAS450/600混成機が浸水したとの情報が入った。
私にとっては初耳の、ショッキングな事例なので、取急ぎ紹介して諸兄にも注意を促したい。
スタータケースの新たな亀裂
浸水個所はスタータ/高圧部だ。始動ロープの戻りが悪くなってきたので、フライホイルと噛み合う爪が異常ではないかと考えて分解したら、浸水していたという。
当人はケース縁を入念に点検したが亀裂がないから、Oリングがらみと考えた。そこで純正品Oリングと私的交換部品表(Blog第26回)記載の互換品との微妙な寸法差を比較したり、私の状況をたずねたりしていた。もちろん高圧ケーブルの差込部も点検した。実はこのケースの取り付けブラケットにはすでに亀裂が走っているので、エポキシ接着剤で割れが進行しないように抑えてある。私は接着剤が本当に効くのか不安で、クリップで補強しているが、当人によればしっかりしているようだ。
ところで、AS600型以前の機種には高圧部のアルミ本体にねじ孔があり、そこから圧力を掛けて水密性を検査できるようになっている。Blog第13回ですでに紹介した写真の再掲:


そこで、面倒臭がる当人に是非とも再組立をして水中で圧力検査するよう奨めておいた。
するとすぐ翌日には驚くべき写真が送られて来た。圧力検査したらOリング周りではなく、ケースの先のほうから気泡が発生しているではないか。


さては先端のオイル(水)シールが劣化したのかと、慌ててロープリールなどを外して分解してみた。
オイルシールは悪い状態ではないように見えたが交換すべく取外した。抑えバネ=ガータースプリングは以前錆び切れていたものと違い、ステンレス系らしくしっかりしていた。

リップ部は一部乱れているようだが、そもそもこの部分は始動時のみ回転する軸が当たるだけなので、劣化は少ない筈


いずれにしろ新品と交換しようと、周りの油汚れを拭取ったところ、何とケース先端孔から大きく亀裂が走っていた。真鍮?の軸受/ブッシングが嵌めてある、そこが割れている。写真で亀裂が白く見えるのは、拭取った時にシリコーングリスが押込まれてしまったからだ。


これで浸水個所ははっきりした。しかしこの亀裂はなぜ発生したか?
現実にロープを引くときに最も力が掛かる部分なので、起きて当然かもしれない。しかし私がいつも参照している現地イタリアのフォーラム PescaSub Apnea ではこんな亀裂の情報は無かったと思う。
このスタータケースは10年程は経っているものだが、考えづらい亀裂だ。ほかの例を見ていても単に経年劣化で亀裂ということは考えられないし、当人は本機のベテランで、ぶつけたり、バカ力を発揮する者でもない。
まあ、一つの可能性としては中心のブッシングが錆びて膨張しプラスチックを押し割ったということがあるか?その辺は今後この部分を切断したりなどでの確認結果を待ちたい。
上記第13回では、AS650型の高圧部に検査用の孔を設ける(復活させる)可能性を述べたが、何だか現実味を帯びたような感がある。
前回はキャブレタのアクセル軸のパッキング?からの浸水を取上げたが、今回は以上の如き不具合だ。いつもいつもグチってしまうが、果てしない故障続出のこんな道具の、替りになる素晴らしい製品は創られないものだろうか。
以上、私の心情としては、急ぎで「新たな?」故障発生可能個所を紹介した。こんな故障は既に経験済みという場合もあるだろうが、殆どの方には初耳だと思う。追加情報が得られたら次回に紹介する。
Blog 第43回 スタータケース先端の亀裂で浸水 終り =小坂夏樹=
私にとっては初耳の、ショッキングな事例なので、取急ぎ紹介して諸兄にも注意を促したい。
スタータケースの新たな亀裂
浸水個所はスタータ/高圧部だ。始動ロープの戻りが悪くなってきたので、フライホイルと噛み合う爪が異常ではないかと考えて分解したら、浸水していたという。
当人はケース縁を入念に点検したが亀裂がないから、Oリングがらみと考えた。そこで純正品Oリングと私的交換部品表(Blog第26回)記載の互換品との微妙な寸法差を比較したり、私の状況をたずねたりしていた。もちろん高圧ケーブルの差込部も点検した。実はこのケースの取り付けブラケットにはすでに亀裂が走っているので、エポキシ接着剤で割れが進行しないように抑えてある。私は接着剤が本当に効くのか不安で、クリップで補強しているが、当人によればしっかりしているようだ。
ところで、AS600型以前の機種には高圧部のアルミ本体にねじ孔があり、そこから圧力を掛けて水密性を検査できるようになっている。Blog第13回ですでに紹介した写真の再掲:


そこで、面倒臭がる当人に是非とも再組立をして水中で圧力検査するよう奨めておいた。
するとすぐ翌日には驚くべき写真が送られて来た。圧力検査したらOリング周りではなく、ケースの先のほうから気泡が発生しているではないか。


さては先端のオイル(水)シールが劣化したのかと、慌ててロープリールなどを外して分解してみた。
オイルシールは悪い状態ではないように見えたが交換すべく取外した。抑えバネ=ガータースプリングは以前錆び切れていたものと違い、ステンレス系らしくしっかりしていた。

リップ部は一部乱れているようだが、そもそもこの部分は始動時のみ回転する軸が当たるだけなので、劣化は少ない筈


いずれにしろ新品と交換しようと、周りの油汚れを拭取ったところ、何とケース先端孔から大きく亀裂が走っていた。真鍮?の軸受/ブッシングが嵌めてある、そこが割れている。写真で亀裂が白く見えるのは、拭取った時にシリコーングリスが押込まれてしまったからだ。


これで浸水個所ははっきりした。しかしこの亀裂はなぜ発生したか?
現実にロープを引くときに最も力が掛かる部分なので、起きて当然かもしれない。しかし私がいつも参照している現地イタリアのフォーラム PescaSub Apnea ではこんな亀裂の情報は無かったと思う。
このスタータケースは10年程は経っているものだが、考えづらい亀裂だ。ほかの例を見ていても単に経年劣化で亀裂ということは考えられないし、当人は本機のベテランで、ぶつけたり、バカ力を発揮する者でもない。
まあ、一つの可能性としては中心のブッシングが錆びて膨張しプラスチックを押し割ったということがあるか?その辺は今後この部分を切断したりなどでの確認結果を待ちたい。
上記第13回では、AS650型の高圧部に検査用の孔を設ける(復活させる)可能性を述べたが、何だか現実味を帯びたような感がある。
前回はキャブレタのアクセル軸のパッキング?からの浸水を取上げたが、今回は以上の如き不具合だ。いつもいつもグチってしまうが、果てしない故障続出のこんな道具の、替りになる素晴らしい製品は創られないものだろうか。
以上、私の心情としては、急ぎで「新たな?」故障発生可能個所を紹介した。こんな故障は既に経験済みという場合もあるだろうが、殆どの方には初耳だと思う。追加情報が得られたら次回に紹介する。
Blog 第43回 スタータケース先端の亀裂で浸水 終り =小坂夏樹=