Aquascooter Maintenance for Spearfishing アクアスクーターで魚突き 全76回

使いこなそう、アクアスクーター整備ノートby KosakaNatsuki

**全76回で終了済み**

Blog 第48回 スーパーマグナムのトラブル情報追加 スタータ軸=小坂夏樹=Starter Axle Slip

2017年02月15日 | マニュアル
スーパーマグナム(別品)のスタータ軸不良
前回は新品処女航海時のトラブルを紹介したが、それとは別の、こちらは半年ほど経過した(まだ十分新しい!)物の深刻なトラブルを記載し忘れていた。取急ぎ追加として紹介します。

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最近離島の仲間が、沖の根から戻ってきて、岸近くで急に再始動が出来なくなったという。購入してまだ半年、始動等は至って快調だったスーパーマグナムだ。
始動ロープを引くと、ゴロゴロという音と感触があるのだが、さっぱり始動できない。遠い沖でなくて幸いだった。
上陸後の点検でも始動せず、ロープを引く時の感触が妙だ。他には特段悪い点はない。プラグを抜いてロープを引いてみると普通にピストンも上下している。プロペラを抑へて引いてみたりあれこれやって、これはスタータの異変だろうということになった。
そして分解してみて、驚くべき不良が判明・・・・

スタータ駆動軸(スタータアクスル)に完全に固定されている筈の、爪付の樹脂円盤が緩んでずれ動いてしまうのだ。次の写真は動画の一部だが、一人がプライヤで軸を固定し、もう一人が爪部をねじると円盤全体が回ってしまうではないか。この爪はフライホイルの爪に噛み合う部分で、相当の負荷が掛かるが、水中では水の抵抗も加わる。これでガンとロープを引けば、駆動軸だけが空回りすることになる。

私はイタリアの PescaSubApnea フォーラムでもこんな事例は見た事がない。


プレス機でこのスタータ軸を抜き取ってみたところ、軸にはギザギザの刻みがあり、余程過大な負荷を掛けぬ限り、樹脂部品とずれる筈のない構造だ。

このギザギザでゴロゴロという音・感触があったのだろう。

第44回で紹介した如く、スタータケース先端の割れも有ったし、ブラケットの割れも有る。一体Comer社のプラスチック成型品質はどうなっているのだろうか。呆れるしかない。私の新品にしても同じことが起きないという保証はないし、自動車の世界ならリコールものではないのか?!
いつも離島で長距離のポイントへ移動している身としては、怖い話だ。

まあ多少なりとも用心するとすれば、始動時は内部の爪が噛み合うまで少し引き、ロープの遊びをとり、そこからガンと引くようにする。爪や軸に急激な負荷を掛けぬようにするのだが、気休めの感も無い訳ではない。

以上、こんなトラブルも発生し得ると云う事を諸兄にも理解して欲しくて急遽追加する次第です。

Blog 第48回 スーパーマグナムのトラブル情報追加 スタータ軸 終り =小坂夏樹=