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宮内庁が密かに頭を悩ます 浩宮が即位したら、「皇太子」がいなくなる 秋篠宮も愛子さまも悠仁さまも、皇太子にはなれない 〔賢者の知恵 週刊現代 2014.11.28〕

2016-08-08 19:18:33 | 昭和天皇 平成天皇 天皇制

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/41195より転載

賢者の知恵
2014年11月28日(金) 週刊現代

宮内庁が密かに頭を悩ます 浩宮が即位したら、「皇太子」がいなくなる 秋篠宮も愛子さまも悠仁さまも、皇太子にはなれない

週刊現代
 
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〔PHOTO〕gettyimages

12月23日に81歳を迎える今上天皇は、かねてよりご自身の陵墓案など「その日」を視野に入れた活動をされてきた。だが皇族の身分を規定する『皇室典範』には、代替わりについての大きな穴があった—。

「皇太弟」に「皇太甥」

「えっ、そうなんですか?皇太子という存在は必ずいるものだと思ってました。皇太子がいない状況というのは、神話とかそのあとの時代ぐらいなのかと」(漫画家・倉田真由美氏)

おそらく大多数の人が倉田氏と同じ思いを抱くだろう。今上天皇が代替わりし、現皇太子の浩宮徳仁親王が皇位に就いたとき、皇室には「次の天皇(皇嗣)」たる権利を持つ「皇太子」がいなくなってしまうのだ。

そんな話があるか、秋篠宮文仁親王も悠仁親王もいらっしゃるではないかという反論が返ってくるだろう。確かに皇位継承権を持つ皇族男子は存在する。けれども、お二人は「皇太子」にはなれない。『皇室典範』が定めている皇太子の条件に合致しないからだ。

皇室典範が定める皇太子の定義にはこうある。

〈第八条 皇嗣たる皇子を皇太子という。皇太子のないときは、皇嗣たる皇孫を皇太孫という〉

ここに出てくる「皇子」とは、天皇の息子を意味する。だから現在、皇太子の地位には、今上天皇の長子である浩宮がついている。

では、浩宮が即位して天皇となった場合はどうなるのか。浩宮には娘(愛子内親王)はいるが、息子(皇子)はいない。皇室典範第一条には〈皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する〉とあるので、息子がいない以上、「男系男子」の孫(皇太孫)も当然いない。

「現皇太子が即位した時点で、皇位第一継承者は弟宮の秋篠宮文仁親王になります。ただ、秋篠宮は『皇嗣たる皇子』ではないから、皇太子にはなりません。歴史上の表記でいえば、〝皇太弟〟ということになる。悠仁親王はどうか。たとえば、父である秋篠宮が兄の天皇より先に亡くなった場合、悠仁親王が皇位第一継承者になるわけですが、悠仁親王は皇太孫ではなく、天皇の甥なので、やはり皇太子にはなりません」(ノンフィクション作家・保阪正康氏)

皇太子不在を、それほど問題にする必要はないという意見もある。近現代史研究家の浅見雅男氏は言う。

「歴代の天皇家において、皇太子が空位だったことは決して珍しいことではありません。皇室典範が穴だらけなのはそのとおりですが、むしろそれによって皇位継承は、昔から融通無碍におこなわれてきた。世継ぎの方に対して、皇太子という呼び方を絶対にしなければいけないという決まり自体がないのです。もし、浩宮在位中に悠仁親王が皇位継承第一位になった場合は、『皇太甥』とするのが、一番自然ということになるでしょう」

今の世に皇太甥と書いて「こうたいせい」と読める人がはたしてどれだけいるだろうか—。

「東宮職」もなくなる

皇室ジャーナリストの山下晋司氏が語る。

「皇太子がいなくなれば、宮内庁法第六条によって〈皇太子に関する事務をつかさどる〉とされる『東宮職』がなくなります。東宮職は、現在約50名。ほかに料理人や運転手などの管理部の職員もあわせると六十数名の居場所がなくなります。解雇できませんので人事異動で対応するしかありませんが、それだけの人数を異動させるとなると大変です。宮内庁には頭の痛い問題でしょう」

皇太子としての公務を誰が担うのか、という問題も、当然出てくる。

「皇太子殿下が即位されれば、皇位継承順位第一位の秋篠宮殿下が、今の皇太子殿下の職務を引き継がれるでしょう。そうすると、宮家皇族としてこれまで秋篠宮殿下がやってこられた公務はどうなるのかという問題が出てきます。

外国交際の面でも、悩ましい問題が生まれるでしょう。事実上の皇太子ではあるが、法的には一宮家の親王という場合、外国に対してクラウンプリンス(皇太子)という言葉を使うのか、それともただのプリンスとするのか。当然、次期皇位継承者ということでクラウンプリンスとして活動していただいたほうが日本の国益にはなるでしょう。国内と海外で使い分けをするという可能性もあります」(前出・山下氏)

 

東宮家と宮家では、公的な活動の内容も大きく違ってくる。宮家皇族は公益法人など各種団体の名誉職に就いて活動できるが、皇太子・皇太子妃は、天皇・皇后と一緒で、原則的には団体の名誉総裁には就かない。秋篠宮は、現在、世界自然保護基金ジャパン名誉総裁や日蘭協会名誉総裁など多くの名誉職に就いているが、皇太子の職務を引き継いだ場合、これら名誉職や、その活動はどうするのかもはっきりしない。実際問題として、宮家皇族としての公務と皇太子の公務を兼任するというのは難しいだろう。

 

もっと大きな問題もある。「生活費」の問題だ。

 

皇族には「内廷皇族」(皇后・皇太后・皇太子・皇太子妃など)と、内廷から独立して一家をかまえている「宮家皇族」の2種がある。ちなみに特別な存在である天皇は、内廷皇族にも宮家皇族にも含まれない。

 

国が支出する費用は、内廷皇族と宮家皇族ではまるで違う。天皇および内廷皇族に支出される「内廷費」は、平成26年度は年額3億2400万円。現在の状態のまま天皇が代替わりすると仮定すれば、内廷皇族は美智子皇太后、雅子皇后、愛子内親王の3方。天皇を加えて4方の世帯ということになる。仮に愛子内親王が結婚して皇籍を離脱し、3方になったとしても、金額は同じだ。

 

他方、宮家皇族に支出される「皇族費」は、親王で3050万円、親王妃がその半額というように、頭数ごとに皇室経済法で定められているが、内廷費と比べると極端に少ない。

 

秋篠宮、あるいは悠仁親王が、事実上、皇太子の役割を担う場合も、現行法では内廷費の対象にはならないので、すべて皇族費でやりくりしなければならないという事態になるのだ。

 

内廷費と皇族費は、いわば皇室のプライベートのお金だが、それとは別に、内廷諸費以外の宮廷諸費に充てるための「宮廷費」というものがある。宮内庁が経理を担当する公金で、平成26年度の予算は55億6304万円。この宮廷費も、支出内容によっては、内廷皇族は使うことができる。たとえば、愛子内親王の学費・教育費は、宮廷費から支出されている。

 

「将来の天皇なのだから、悠仁さまの学費もオモテの金である宮廷費から出しましょうという話があったんです。でも、これは実現せず、悠仁さまの学費は、従来どおり秋篠宮家の皇族費から出されたと聞いています」(宮内庁関係者)

 

「次の天皇=皇太子」の違和感

 

このように、皇太子の不在により多くの問題が噴出してくる。そもそもなぜこんなことになっているのか。

 

「今の皇室典範、皇室経済法という法律も、宮内庁という組織も、皇位は親子継承しか前提にしていない。だからこんな問題が生じてきたのです。確かに今までは親子継承が6代も続いてきた。しかし、そのほうが日本の歴史上から見れば珍しいのです」(前出・保阪氏)

 

愛子内親王を皇太子とすれば、これらの問題は回避できる。けれども、この方法は無理だろうと言うのは、宮内庁担当記者だ。

 

「愛子さまを皇太子にするということは、『女系・女帝』を容認するということです。でも、これは国論を二分しかねない大変革で、宮内庁はもちろん、政府も手をつけたくないでしょう」

 

では、どうすればいいのか。皇室典範にある皇太子の定義を変えるという案が、宮内庁でひそかに検討されているという。

 

「現行の第八条の条文を、『皇位継承順位第一位の皇族を皇太子という』に改正する方法があります。そうすれば、皇太子殿下が即位された時点で秋篠宮殿下は皇太子となります。皇太孫に関する部分を削除する必要はありますが、この皇太子の定義を変えるだけで、内廷費・皇族費のことや東宮職のことなどの問題は解決します」(前出・山下氏)

 

だがそれでは、従来「天皇の息子」だったはずの皇太子に、「天皇の弟」がなっているという国民の違和感はぬぐい難い。

 

宮内庁ははたしてどう考えているのか。「代替わりの際に皇太子に当たる皇族がいなくなることについての見解」を質すと、以下のような回答があった。

 

「(代替わりとなった場合の秋篠宮の呼び名として)現在、『皇太弟』という制度はありません。

 

(将来の対策について)将来的に生じうる様々なケースを想定し、研究しておくことは有益であると考えております」

 

前出・浅見氏は言う。

 

「皇室典範第三条には〈皇嗣に、精神若しくは身体の不治の重患があり、又は重大な事故があるときは、皇室会議の議により、前条に定める順序に従つて、皇位継承の順序を変えることができる〉とあります。たとえば秋篠宮が皇嗣となって10年、20年後に兄の天皇ともども老年に達した場合、皇位の安定のためにも壮年となった悠仁親王と皇位継承順位を取り替えてはどうか、という意見が出てくるかもしれません」

 

声を上げるとたちまち議論百出となるのが皇室問題。冒頭の倉田氏は「皇位継承で一番大事なのは、波乱がないことだと思うんです」と案じている。おそらく宮内庁も、根回しをすすめながら、じっとタイミングを窺っているのだろう。

 

「週刊現代」2014年11月29日号より

 

 

 

 


岐路に立つ天皇家〜"菊のカーテン"の裏側で何が起きているのか 〔賢者の知恵 週刊現代2016.8.3〕

2016-08-08 18:46:58 | 昭和天皇 平成天皇 天皇制

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49345より転載

賢者の知恵
2016年08月03日(水) 週刊現代

岐路に立つ天皇家〜"菊のカーテン"の裏側で何が起きているのか

知りたい疑問に答えます

週刊現代
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なぜ、いま、このタイミングでの報道なのか。天皇の「本心」はどこにあるのか。御簾の向こう側で何が起こっているのか。そして、これからの皇室はどうなっていくか。国民の知りたい疑問に答える。

NHKは誰に聞いたのか

なぜ今、このタイミングだったのか。情報源はいったい、誰なのか。NHKが7月13日夕方に報じた天皇「生前退位」のスクープが様々な憶測を呼んでいる。

「特ダネをものにしたのは橋口和人宮内庁キャップです。10年以上、宮内庁を担当し、皇太子の子供の性別や、紀子妃のご懐妊などをスクープしてきました。特に侍医グループには深く食い込んでおり、『陛下の体温まで知る男』と呼ばれています」(全国紙宮内庁担当記者)

御年82歳となった天皇の意向を受け、「生前退位」について宮内庁の幹部が検討を始めたのは、今年5月からのことだった。その内容は逐次、首相官邸の杉田和博官房副長官にも報告されていたという。

「NHKもこうした動きは察知し、実はもっと早い段階で一報を打てる状態ではあったのです。事前にNHKサイドが官邸に確認取材に走ったところ、検討しているのは事実だと内々に認めたものの、参院選と重なってしまうため、報道の時期の調整をできないか、と。

生前退位は皇室典範の改正なしには不可能ですが、皇室のあり方を見直す意味では憲法改正にもつながってきます。

改憲を目指す安倍政権にとってみれば、選挙期間中に改憲の議論が浮上し、世論に刺激を与えることは避けたかった。そんな政権の意向が反映され、報道が参院選後になったとも言われています」(自民党幹部)

天皇の胸中を知りながら、報道各社は安倍政権の顔色を窺って、選挙を理由に報道を控えた可能性があるというのだ。

天皇はこうした政権の先行きにこそ不安を抱いているのではないかと、宮内庁元幹部は推察する。

「天皇陛下は平和憲法の精神を遵守し、象徴天皇として国内外で慰霊の旅を続けて、平和を希求してこられました。天皇を『日本国の元首』にし、自衛隊を『国防軍』にするような自民党の憲法改正草案に危機感を抱かれたとしても不思議ではありません。

 

陛下が生前退位のご意向を側近に明らかにすることで、ご自身の立場を規定している憲法論議が活性化し、むしろ拙速な改憲論には歯止めがかかると、お考えになったのかもしれません」

 

そもそも「生前退位」自体は今になって降って湧いた話ではない。数年前から天皇は皇太子と秋篠宮、時には美智子皇后を交えて、月に一度会合を持ち、その場でご自身の体調について相談されてきたという。

 

「5年前には秋篠宮殿下が天皇陛下の公務について『定年制というのは、やはり必要になってくると思います』と皇族として異例の発言をなさっています。

 

皇太子さまも『公務の負担軽減』について、『配慮がますます重要』と口にされている。'12年に心臓手術を受けられた頃から、宮内庁内でも公務を大幅に軽減しないといけないという声が強くなってきました。

 

ところが陛下は、ほとんど公務を軽減されませんでした。天皇というのはあくまでも公務が完璧にできてこそ天皇だというお考えがあるから、ご自身が高齢でできなくなったら、できる人が天皇になるべきだというお考えを持っているのだと思います」(皇室ジャーナリスト・久能靖氏)

 

皇太子の還暦前に……

 

皇太子も56歳。天皇が即位した時の年齢を超えた。このまま皇位の継承がなければ、即位するときの年齢は還暦を過ぎることも考えられる。

 

「天皇は即位してから国民に敬愛されるまで、何年もかかります。実際、今の天皇も何かと昭和天皇と比べられてご苦労されました。だから、少しでも早く即位して、実績を積み、尊敬される天皇になってほしいというお気持ちだと思います。

 

60歳を過ぎてからご公務を一から始めるのは大変です。世間では定年退職する年齢ですよ。せめて皇太子が60歳になる前に即位を、と天皇陛下はお考えになっているのかもしれません」(前出・宮内庁担当記者)

 

象徴天皇は政治関与を制限されているため、法律の改正を伴う生前退位を自ら口にすることはできない。熟慮の末、ついに漏れ伝わってきた天皇のご意向。国民が天皇のあり方を考える時がやってきたのである。

愛子天皇の可能性は?

雅子妃の体調が、目に見えるように回復しているという。

前出の久能氏が言う。

「4月に行われた神武天皇式年祭で雅子さまは皇后陛下の御名代を務められ、御拝礼の所作をこなされていたと出席していた人から聞きました。たしか7年ぶりですが、手順も間違えることなく完璧だった、と。それを考えると、雅子さまなりに皇后になるお心構えはできていると思います」

雅子妃が「適応障害」と診断されて12年。春の園遊会に出席したり、2週続けて地方公務に出かけたりと、このところ積極的に公務に携わっている。

「要因は天皇の生前退位のご意向ではないでしょうか。皇太子から雅子さまへも伝わっているはずですから。雅子さまの主治医も『環境が変われば体調は改善する』と侍医に漏らしています。皇后になることもまた、大いなる環境の変化と言えます」(宮内庁関係者)

天皇の生前退位が行われるかは別としても、いずれ皇太子と雅子妃が天皇、皇后に即位する。議論となるのは、今年15歳になる愛子さまの今後だ。

皇室典範は女性天皇を認めていないため、愛子さまに皇位継承権はなく、皇太子が天皇に即位すれば、皇位継承権第1位は秋篠宮に、第2位は悠仁さまとなる。

「雅子さまは外務省のキャリア官僚として働くキャリアウーマンでした。男女平等志向をお持ちなので、なぜ愛子さまが女性というだけで天皇になれないのかと疑問を抱くこともあるでしょう。

かつても女性天皇はいたわけですから、皇室典範を改正して、愛子さまを天皇にする方法を雅子さまが意識しているとしても、それは自然なことではないでしょうか」(前出とは別の宮内庁関係者)

現行の規定のまま時が経ち、悠仁さまの時代になれば、皇族が悠仁さまとその家族だけになる事態も考えられる。

そうなる前に皇室典範を改正し、女性宮家の創設を議論することは必要に違いない。

「(一般人を父とする)女系天皇まで容認すると、保守派から大きな反発が生まれるので議論は確実に紛糾しますが、女性天皇までは認めてもいいのではないでしょうか。愛子さまが天皇になれば、将来、悠仁さまとご結婚される方へのプレッシャーもいくばくかは和らぐでしょう。

天皇陛下が『数年内』の退位を漏らされたのは女性宮家の問題もあるのです。秋篠宮家の眞子さまは24歳で、年齢的にはご結婚されてもおかしくありません。そのため、女性宮家を創設して皇族として残すなら、早く決定しないといけないのです。

眞子さまがご結婚された後に法律が改正されて女性宮家の創設が容認されたら、眞子さまは一般人で、妹である佳子さまが皇族のままという事態になってしまいます」(前出・久能氏)

悠仁さまお一人だけに皇位継承の重責を担わせるのはさすがに酷というもの。雅子妃が「愛子を天皇に」と考えているとしたら、それは皇室の未来のためには理に適った選択とも言えるのだ。

天皇はとにかく激務

天皇の仕事はとにかく激務だ。国会の召集や法律の公布、内閣から届く書類を決裁する「執務」といった「国事行為」に加え、さまざまな人に会う「拝謁」などがある。

「『執務』のお姿は国民の目には触れませんが、毎週火曜日と金曜日の定例閣議後にはその日のうちに内閣府から関係書類が届けられます。これはご静養中であろうと、国内にいらっしゃる限り届けられるものです。陛下は丁寧に目を通され、ご署名などをされます。

春と秋の叙勲の時期には数千人分の名簿も届き、陛下はこれにもすべて目を通されています。陛下が外国ご訪問中やご入院中などの場合は、皇太子殿下が臨時代行としてこれに当たります」(元宮内庁職員・山下晋司氏)

地方訪問を含む「行幸啓」も重要な公務の一つだ。新幹線で地方を訪れる際、天皇は一編成全車両を借りきって移動する。一方、皇太子は3両。ちなみに宮家は数席を押さえるだけで、一般の乗客と同じ車両で移動する。

「外国を公式訪問される時は、天皇陛下も皇太子殿下も通常は政府専用機をお使いになります。ただ、訪問国での待遇は当然違います。天皇陛下は『国賓』で、皇太子殿下は『公賓』といえるでしょう。たとえば、各国の元首など、賓客が一堂に会する場なら天皇陛下はかなり上席になりますが、皇太子殿下ですと各国元首の下になります。

普段のお食事内容に違いはありません。御料牧場の生産品は、天皇陛下にも皇太子殿下にも同じようにお渡ししています」(前出・山下氏)

下世話な話だが、おカネについてはどうだろうか。天皇家には現在、プライベートに使える「内廷費」として、毎年3億2400万円が支出されている。これは皇太子夫妻、愛子さまも含めた金額だ。

一方、宮家皇族である秋篠宮家には「皇族費」として6710万円が支出されている。天皇が生前退位したとしても、現在の皇室典範では秋篠宮を皇太子とする規定がないため、現状では秋篠宮家に支出される金額はこのままだという。

「秋篠宮家、とくに紀子さまが周囲にお漏らしになられているのが、おカネの問題です。後々天皇をお継ぎになる可能性もある秋篠宮さま、さらに悠仁さまに帝王学を教育されるには、いまの皇族費では賄いきれないというのです。

そこで、生前退位に付随して進められる皇室典範の改正で『皇太弟』のポストを新設するなりしてもらい、予算を皇族費から内廷費に切り替えてもらい、立場に見合った金額を支出して欲しいとお望みのようです」(宮内庁担当記者)

予算や扱いの面で、天皇は皇太子とも大きく異なる唯一無二の存在だ。その分、公務は極めて厳しい。体力、気力がなければ、とても天皇としての重責は果たせない。

「週刊現代」2016年8月6日号より

 

 

 

 


【動画】明仁(あきひと)天皇「メッセージ全文」~生前退位の意向が強くにじむ(2016.8.8)/主権の存する日本国民の総意に基づく…みなで議論を

2016-08-08 18:46:30 | 昭和天皇 平成天皇 天皇制

                                                                                                                         NHKテレビ 2016.8.8


 

10分余りに及んだビデオメッセージは、明仁(あきひと)天皇の生前退位の意向が強くにじむものとなりました。

全 文

 戦後70年という大きな節目を過ぎ、2年後には、平成30年を迎えます。
 私も八十を越え、体力の面などから様々な制約を覚えることもあり、ここ数年、天皇としての自らの歩みを振り返るとともに、この先の自分の在り方や務めにつき、思いを致すようになりました。
 本日は、社会の高齢化が進む中、天皇もまた高齢となった場合、どのような在り方が望ましいか、天皇という立場上、現行の皇室制度に具体的に触れることは控えながら、私が個人として、これまでに考えて来たことを話したいと思います。

 即位以来、私は国事行為を行うと共に、日本国憲法下で象徴と位置づけられた天皇の望ましい在り方を、日々模索しつつ過ごして来ました。伝統の継承者として、これを守り続ける責任に深く思いを致し、更に日々新たになる日本と世界の中にあって、日本の皇室が、いかに伝統を現代に生かし、いきいきとして社会に内在し、人々の期待に応えていくかを考えつつ、今日に至っています。

 そのような中、何年か前のことになりますが、2度の外科手術を受け、加えて高齢による体力の低下を覚えるようになった頃から、これから先、従来のように重い務めを果たすことが困難になった場合、どのように身を処していくことが、国にとり、国民にとり、また、私のあとを歩む皇族にとり良いことであるかにつき、考えるようになりました。既に八十を越え、幸いに健康であるとは申せ、次第に進む身体の衰えを考慮する時、これまでのように、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています。

 私が天皇の位についてから、ほぼ28年、この間私は、我が国における多くの喜びの時、また悲しみの時を、人々と共に過ごして来ました。私はこれまで天皇の務めとして、何よりもまず国民の安寧と幸せを祈ることを大切に考えて来ましたが、同時に事にあたっては、時として人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うことも大切なことと考えて来ました。天皇が象徴であると共に、国民統合の象徴としての役割を果たすためには、天皇が国民に、天皇という象徴の立場への理解を求めると共に、天皇もまた、自らのありように深く心し、国民に対する理解を深め、常に国民と共にある自覚を自らの内に育てる必要を感じて来ました。こうした意味において、日本の各地、とりわけ遠隔の地や島々への旅も、私は天皇の象徴的行為として、大切なものと感じて来ました。皇太子の時代も含め、これまで私が皇后と共に行って来たほぼ全国に及ぶ旅は、国内のどこにおいても、その地域を愛し、その共同体を地道に支える市井の人々のあることを私に認識させ、私がこの認識をもって、天皇として大切な、国民を思い、国民のために祈るという務めを、人々への深い信頼と敬愛をもってなし得たことは、幸せなことでした。

 天皇の高齢化に伴う対処の仕方が、国事行為や、その象徴としての行為を限りなく縮小していくことには、無理があろうと思われます。また、天皇が未成年であったり、重病などによりその機能を果たし得なくなった場合には、天皇の行為を代行する摂政を置くことも考えられます。しかし、この場合も、天皇が十分にその立場に求められる務めを果たせぬまま、生涯の終わりに至るまで天皇であり続けることに変わりはありません。
 天皇が健康を損ない、深刻な状態に立ち至った場合、これまでにも見られたように、社会が停滞し、国民の暮らしにも様々な影響が及ぶことが懸念されます。更にこれまでの皇室のしきたりとして、天皇の終焉に当たっては、重い殯(もがり)の行事が連日ほぼ2ヶ月にわたって続き、その後喪儀に関連する行事が、1年間続きます。その様々な行事と、新時代に関わる諸行事が同時に進行することから、行事に関わる人々、とりわけ残される家族は、非常に厳しい状況下に置かれざるを得ません。こうした事態を避けることは出来ないものだろうかとの思いが、胸に去来することもあります。

 始めにも述べましたように、憲法の下、天皇は国政に関する権能を有しません。そうした中で、このたび我が国の長い天皇の歴史を改めて振り返りつつ、これからも皇室がどのような時にも国民と共にあり、相たずさえてこの国の未来を築いていけるよう、そして象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ、ここに私の気持ちをお話しいたしました。 
 国民の理解を得られることを、切に願っています。

 

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思索の日記 http://blog.goo.ne.jp/shirakabatakesen/e/f4cd2dfc9c38ce1e92291c64665bb4ceより転載

主権の存する日本国民の総意に基づく---時代に合わせ変えていくのは、わたしたちの責任。
2016-08-08 

shirakabatakesen

 

 

 武田康弘


 いうまでもなく、天皇という名で呼ばれる人も、誰ともかわらぬ一人の人間であるわけです。

 一人の人間にあまりに重たい仕事(日本国民全体を統合する象徴!?というのは、まったく不可能なこと)を負わせるのはおかしいと思います。時代名まで、一人の人間の死で変わってしまう。
 近代市民社会の成立とともに、そのありようを改革するのは当然でしょう。

天皇制」のありようを考え変えていくのは、われわれ主権者の意思=自由と責任です。憲法第一条に、象徴という天皇の地位は、【主権の存する日本国民の総意に基づく】とある通りです。

 みなで議論すべきことです。

 

 

 

 


一つの意見です。天皇VS安倍政権【天皇の生前退位】人にやさしい象徴天皇制 - 生前退位、天皇陛下の勇気ある決断と挑戦

2016-07-17 23:18:24 | 昭和天皇 平成天皇 天皇制

http://critic20.exblog.jp/25795743/より転載

人にやさしい象徴天皇制 - 生前退位、天皇陛下の勇気ある決断と挑戦

 
c0315619_1405234.jpg天皇陛下の生前退位の件。最初に発表されたのは7月13日のNHKの7時のニュースだった。衝撃の一報だったが、生前退位を望む現天皇陛下の意向やその理由を説明し、視聴者である国民に告知と説得をするような、生前退位について前向きな報道だった。私は、すぐにこの考え方が両陛下からそのまま発信されたもので、天皇陛下の重要な決断であることを察し、また、NHKがここまで既成事実的に報道するのだから、政府内の根回しもほぼ終わって、前向きに手続きが始まるのだろうと期待した。だが、一日経って様相は一変し、マスコミ各社から否定的な反応が次々と出ている。日テレは、「天皇陛下の生前退位は無理」と言った政府関係者の発言を紹介、肝心のNHKも「政府は慎重に対応検討か」などと論調を後退させている。明らかに、政府側から巻き返しが起こっていて、生前退位を潰そうとしているのが安倍晋三であることは明白だ。これが天皇陛下と安倍晋三との政治闘争である事実を、世の中でどれだけの人が察知し認識していることだろうか。好き勝手にはさせないぞという、安倍晋三の強烈な独裁意志が看取される。二人の二度目の戦いだ。一度目は10年前の女性天皇のときだった。あのときも、最初に天皇陛下の意向がマスコミに出て、その方向で決まるかと思いきや、安倍晋三と右翼が怒濤の逆襲で阻止してしまった。



c0315619_141736.jpgマスコミで紹介される解説は、例えば、原武史や半藤一利を含めて、今回の生前退位の本当の意味と目的について正しい指摘をしていない。これは、第一に雅子妃のことを慮った決断であり、雅子妃の人権にフォーカスした皇室制度改革の構想だ。皇室典範が改正され、生前退位が可能になれば、今の皇太子が即位した後、仮に新皇后の公務が不能だったり不適格だったりして二人が天皇皇后を続けられないとき、生前退位という道を合法的に選ぶことができる。もし、その制度がない場合は、新皇后は苦痛な重責に耐えて死ぬまでその地位と職務を強制されなくてはならない。また国民は不興を堪えながら、あるいは不満を言いながら、不具合な「両陛下」に接し続けなくてはいけない。それでは憲法第1条は全うされない。憲法第1条には、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」とある。これは象徴天皇制の正統性(Legitimacy)の根拠を言っているもので、要するに、根拠は「国民の総意」にあり、国民から支持され尊敬される天皇や皇室でなければ象徴天皇制は成立も維持もできないという意味だ。国民は天皇を選挙できない。国民が天皇を尊敬し信頼する関係があってこそ、象徴天皇制は機能し、日本国は国家として正常で安泰で治まる。

c0315619_1411843.jpgこれはフィクションだけれども、第1条の理念を、現天皇陛下は努力によって見事なまでに実現してきた。両陛下は国民から深く愛されている。憲法第1条が全うされず危うくなること、すなわち国民が皇室を敬愛も支持もできない状態になることは、国民の統合が機能しなくなることを意味し、国家にとって大きな危機を迎えることを意味する。マスコミは何も言わないが、皇后がいつも不在で、例えば、被災地の慰問に天皇だけが単身で行く絵ばかりとなると、昔と違って異常だと国民が落胆し、第1条の理念からは大きく逸脱してしまう事態になる。国民は、一刻も早い雅子妃の健康回復を祈り、公務への完全復帰を願っているけれど、治療が長引いているのか、最近の園遊会の映像でも数分間ほど姿を見せただけですぐに中断して引っ込んでしまう。このまま雅子妃が皇后になって大丈夫かという懸念と不安は国民の多くにある。即位後の徳仁天皇の人格や態度がどれほど完璧でも、国民は前の明仁天皇と美智子皇后の理想型と比較し、納得できない気分を払拭できない。それは、憲法第1条が揺らいだ姿であり、日本国という国家が不全に陥った図だ。もしもこうなったとき、徳仁天皇が早めの生前退位を選べば、憲法第1条の不全は解消されることになる。雅子皇后の心労や負担も取り除くことができる。

c0315619_1412948.jpg生前退位が認められるように制度が変われば、即位した二人を退位した二人が見守ることができ、後ろから援助することができる。二人は今よりも自由に発言することができ、国民に新しい天皇皇后を応援して下さいと言うことができ、新しい天皇皇后に指導教育をすることができる。退位した二人のカリスマは絶大なので、その説得力で新しい天皇皇后を支えることができる。新しい天皇皇后の負荷も減る。とにかく、いろいろ想像すれば、このアイディアは最高であり、コロンブスの卵であり、よくぞ実現しようと天皇陛下は立ち上がったものだと私は感動する。象徴天皇制にとって、この絵が最もそれを安定に導くものだ。13日のNHKのニュースでは、陛下は近くお言葉を発する機会を持ち、このことを内外に発表し、記者会見して質疑応答をすると言っていた。私はそれを聞いて、必ず安倍晋三が巻き返しに出て、この構想をぶち壊しにくるだろうと想像した。この案を安倍晋三が受け入れているとは思えなかった。きわめて大胆な制度の転換であり、まさに女系天皇のときと同じく画期的なチェンジだ。天皇制を明治から昭和初期と同じ態様にしたいのが安倍晋三と右翼の欲望であり、国家のレジームをそこに戻そうとする安倍晋三が、日本国憲法の思想を延長したような、人にやさしい象徴天皇制のこのアイディアを認めるはずがない。

c0315619_1414469.jpgNHKのニュースから時間が経つほどに、生前退位に否定的な論調がマスコミの記事になり、自民党と政府がそれを潰そうと動いていることが分かる。天皇陛下はどう動くのだろう。天皇陛下が考えているのは、2020年の東京五輪の開会式を徳仁天皇と雅子皇后の出席で催行しようという工程表だろう。2019年が天皇即位30年の記念の年になるので、そこでバトンタッチしようというプランだろう。あと3年の間に皇室典範を変えることを考えている。もし、NHKのニュースで言っていたように、天皇陛下が直接にこの件で国民に意思を発表し、記者会見に臨めば、間違いなく世論は天皇陛下の味方になる。安倍晋三は止めることができない。だから、安倍晋三としては、発表の機会を全力で握りつぶし、天皇陛下の意向がマスコミに漏れないよう、13日のような「事故」が起きないよう、宮内庁とテレビの監視を厳重強化するだろう。まるで、江戸時代の京の公家と京都所司代のような状況だ。日本の政治は歴史を超えて普遍的なものだとあらためて感じる。前回、女性天皇のときは右翼と安倍晋三の反転攻勢が成功し、天皇陛下の革命は潰された。今回は、安倍晋三の巻き返しも計算しているだろうし、決して諦めてはおらず、生前退位実現に向けて手を打ってくるだろう。天皇陛下は本当に勇気がある人だ。勇気を出して大胆にチャレンジをする。革命を起こそうとする。戦後民主主義の同志である皇后陛下と共闘し、二人で果敢に国家の旧弊を破壊しようと挑んでくる。

人にやさしい象徴天皇制。永久革命に挑み続ける明仁天皇。主権者である国民として、天皇陛下のこの構想を支持したい。人生最後の闘争を支援したい。その実現に向けて、それを阻止しようと図る邪悪な者を排除すべく、両陛下を援護射撃したいと思う。この政治闘争の成否がどうなるか、天皇陛下と安倍晋三との戦いがどうなるか、予想を述べたいし、私は楽観的で今度は潰されないという確信を持っているのだけれど、それについては詳しく書かない。天皇陛下がどういう手を打ってくるか、私には戦略の予想があり、楽観論に立つ根拠がある。だが、それをここで書くと、安倍晋三側に先手を打たれて抑え込まれてしまう恐れがある。

 <関連記事>

 

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http://天木直人.com/2016/07/18/post-4980/

わからないことだらけの天皇「生前退位」報道 - 天木直人の公式ブログ

天木直人.com › 天木直人のブログ
 

・・・・

謎は深まるばかりだ。

 しかし、はっきりしている事がある。

 それは、この機会に我々もまた象徴天皇制について考えるべきであるということだ。

 そしてそれは取りも直さずこの国の憲法成立の歴史を正しく知るべきだという事だ。

 それはまた究極の憲法論議に行き着くことになる。

 日米安保体制、憲法9条、象徴天皇制という三位一体のこの国の戦後の国体を知ることになる。

 我々はいま大きな歴史的転換期に立ってるという事である(了) 

Shoichiro Ikenagaさんの写真
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民主憲法無視ーおぞましい国家権力者の安倍晋三に従う国民では、愚かで哀れ、危険極まりありません

2016-05-07 02:38:54 | 昭和天皇 平成天皇 天皇制

思索の日記
http://blog.goo.ne.jp/shirakabatakesen/e/ab8ffd04b80031b1db457e9f4ff2b804より転載

民主憲法無視ーおぞましい国家権力者の安倍晋三に従う国民では、愚かで哀れ、危険極まりありません。

2016-05-06 | 学芸

  これほどデタラメな超憲法の【国家主義】=非民主的な言葉と行為を繰り返すやりたい放題の首相を支持する国民では、自分で自分の首を絞める愚か者というほかありません。

  長州の過激な暴力主義を抑えようとした孝明天皇(明治天皇の父)が怪死(伊藤博文らの長州グループに暗殺されたとの見方が極めて有力)することで、明治維新という名の暴力革命が成就し、伊藤ら長州藩の下級武士たちは、自らの権力を正当化して国民を支配するために≪天皇現人神の思想≫をつくったわけですが、そのために『大日本帝国憲法』(伊藤博文が仲間4名と極秘裏に作成)は、天皇から臣民に与えられる恩寵としての憲法(したがって本来の意味の憲法ではない)にすぎませんでした。

  主権者を天皇とする欽定憲法の下では、国民は【自立した個人】としては認められず、天皇の赤子=日本の国体を構成する一員としての存在と規定され、学校教育でその思想を教え込まれました。

ニッポン国の一員として人々は存在する(存在を許される)のであり、一人ひとりの赤裸々な現実=「感じ・想い・考える」から出発して主権者としての意思で「政府という意味での国」をつくるという社会契約(民主政の基盤)の思想は、弾圧され排除されたのでした。その国体思想を受け継いだ国家権力者の一人が安倍晋三の祖父である岸信介で、彼は東条内閣の重要閣僚として対米戦争の決定者=責任者でもあります。

  その祖父を敬愛し、戦後民主主義を嫌う安倍晋三は、「戦後レジーム(体制)からの脱却」をスローガンに掲げ、数々の非民主的な言動を繰り返し、それを国家権力を用いて全国民に強要(教育とマスコミの統制)しようと画策し続けています。

  安倍晋三という男ほど国体思想による「戦前日本」への憧れをもつ者も珍しいですが、主権者を「自立する個人としての国民」とする現日本国憲法を大元から変えようとする(立憲主義を知らずに「個人」という言葉まで消去した自民党憲法案)は、意見の違いというレベルを超えた根源的な悪行=民主思想への挑戦というほかないのです。

  こういう国体思想(明治の自由民権運動に対する国権派)を許す国民であるならば、内容としての民主政(人権思想に基づく自治政治)は不可能となります。いま、日本は、主権在民を思想の原理として踏まえる国となれるか否かの瀬戸際に立たされています。

  わが日本人が、理性をもち、思想=内容としての民主政(民主的倫理に基づく現実政治)を選択することができるか否か、再び、戦前の日本主義(明治維新の思想)に逆戻りしてしまうか、それは、わたしたち一人ひとりの言動にかかっています。
 皆が個人としての精神の自立=責任意識をもち、国家主義=国体思想の政治家にすり寄る人にならないことを祈ります。

 

プラス

  宮内庁は、明治天皇が小型の額に入れて所持していた有力政治家の写真をしばらく前に公開しましたが、その中で伊藤博文の写真は、われわれの知っている顔とは似ても似つかぬもので、ずる賢い策士のような顔(視線も横)です。父の孝明天皇が怪死した理由をおそらくは知っていた明治天皇(わずか16歳のとき、伊藤や山縣らが「現人神」として仕立て利用するために京都御所から江戸城に連れてきた)に見えていた顔、それが彼が所持していた伊藤博文の写真です。わたしは、彼が歴史の真実を残す=伝えるという意思があったように思えてなりません。さらに言えば、睦仁は殺害され、明治天皇は替え玉であるという説もありますが、それについてわたしは判断できません。


 明治天皇所持の伊藤博文の写真(クリックで拡大)




武田康弘