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主の平和が皆様と共にありますように。
2014年8月15日、わたしたちは69回目の敗戦の日を迎えます。わたしたちはこの日、改めて過去の過ちをしっかりと認識し、日本の侵略によって傷つき、今もまだその痛みを抱いている多くの方々の癒しを願い、それらの方々とまた国々との和解をこれからも求め続けていかなければなりません。また、日本においても、戦いに駆り出された多くの人々、そして、沖縄の人々をはじめ多くの一般市民、特に、弱い立場にある子どもたちや女性、高齢者の方々が犠牲になっていることを忘れてはなりません。
わたしたちは北東アジアにおける平和の実現をこれからも目指していかなければなりません。また、パレスチナ、シリヤ、イラク、ウクライナなどにおいては依然として紛争が続いており、多くの人々が犠牲になっています。世界中から紛争がなくなり一日も早く平和になりますよう祈り、また、そのために努力をしてまいりましょう。
さて、昨年の平和メッセージを皆様にお届けしてからこの1年の間に、日本には平和を脅かす大きな変化が生じています。昨年は日本国憲法第9条の重要性をメッセージの中に込めましたが、その憲法が危うくされそうな状況になってきました。日本政府は去る7月1日、憲法解釈の変更という形によって、集団的自衛権行使の容認を閣議決定しました。今までの歴代内閣は、自衛権は認めていても、集団的自衛権は憲法に反すると一貫して主張してきました。しかし、それが現政権によって、短期間に、十分な議論も経ないまま、解釈変更によって集団的自衛権は行使できると方向転換され、それに与党は簡単に合意してしまいました。集団的自衛権の行使が可能になれば、日本も武器を持って他国を侵略する可能性が多分に出てきます。政府は日本が危機にさらされたときだけの限定的行使としていますが、いざ戦いになった場合、そのような悠長なことは言っておられません。武器を手に戦わざるを得なくなり、結果的に日本は再び戦争する国になってしまうのは明らかです。
現行憲法の下で、閣議決定によって集団的自衛権行使を容認することは重大な憲法違反と言わざるを得ません。日本は戦後69年間、戦争を行わず、戦争によって人を殺したり殺されたりしたことはありませんでした。憲法9条があるからです。このことは日本が誇れることです。憲法9条は「平和の砦」なのです。わたしたちは集団的自衛権行使容認の閣議決定撤廃を強く求めるものです。
キリストの平和の福音を生きるわたしたちは、今、何が起きているのかに深い関心を持ち、平和を阻害する動きに対しては毅然とした態度を表明するよう促されていると確信します。武力による「紛争解決」は、決して解決にはならないことを、わたしたちはいやというほど歴史の中で学んできているのです。
“兄弟たち、…平和を保ちなさい。そうすれば、愛と平和の神があなたがたと共にいてくださいます。”(コリント二13:11)
主に在りて。
2014年8月15日
日本聖公会首座主教 主教 ナタナエル 植松 誠
正義と平和委員会 委員長 主教 ペテロ 渋澤一郎