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立憲主義を愚弄する稲田朋美防衛大臣は、即刻、辞任すべきである! 〔菅野完 ハーバー・ビジネス・オンライン 2017.2.9〕

2017-02-09 20:05:25 | 立憲主義 民主主義

Harbour Businness Onlinehttps://hbol.jp/129030より転載

立憲主義を愚弄する稲田朋美防衛大臣は、即刻、辞任すべきである!

衆議院インターネット審議中継より

 
 
 ジャーナリストの布施祐仁さんのスクープを端緒に、「南スーダン派遣部隊の日報隠蔽問題」は、ようやく国会でも活発な議論が展開するようになった。(参照:神奈川新聞

 日報隠しの問題や、新たに「見つかった」日報の内容について質問に立った民進党・小山展弘の質問に対し、稲田朋美防衛大臣は、8日、衆院予算委員会で、

事実行為としての殺傷行為はあったが、憲法9条上の問題になる言葉は使うべきではないことから、武力衝突という言葉を使っている

 と、答弁した。

 繰り返すが、答弁の内容は

事実行為としての殺傷行為はあったが、憲法9条上の問題になる言葉は使うべきではないことから、武力衝突という言葉を使っている

 である。

 つまり稲田朋美防衛大臣は、「憲法9条の内容に抵触する事象は発生しているが、その事象をその事象として表現すると、憲法9条に違反する可能性があるから、そうとは言わず、別の言葉を使っている」と言っているわけだ。

 さらに端的に言えば、「現状と憲法が齟齬を来しているので、現状についてはなかったことにし、憲法の枠内に収まる表現にしておいた」と言っているのである。いや、もっと端的に言えば、「はいそうです。嘘をついてるんです」と開き直っているに等しい。「ふざけるな!」と言うしかなかろう。
 

言葉だけでのごまかし


 こうした国会での発言を批判的に検証するとき、必ずと言っていいほど寄せられるのが「マスコミは政治家の発言を切り貼りして批判する」という意見だが、今回ばかりはその言い訳は通用しない。

 神奈川新聞が公開した当該答弁の全文書き起こし稲田防衛相「憲法9条上問題になるから『戦闘行為』ではない」南スーダン「日報」破棄問題)を見てみれば明らかのように、稲田朋美は、明確に、「『戦闘行為』ではない、ということになぜ意味があるかと言えば、憲法9条上の問題に関わるかどうか、ということです。」と言い切っている。

 さらに問題なのは、この質疑応答の一連の流れで、稲田が「国際的な武力紛争の一環」「国及び国に準ずる組織同士の武力衝突」を「戦闘行為かどうかの基準」であるという、従来の政府見解を踏襲しているにもかかわらず、「憲法9条上の問題に関わるかどうか」なるポイントをことさらに強調してしまっている点だ。

 一見、稲田の答弁と、従来の政府見解に齟齬はないように見える。が、従来の政府見解は、「国際的な武力紛争の一環でないのだから、当然、憲法9条の対象ではない」と言うものであって、決して(実運用はどうであれ)「憲法9条に抵触しないように、事態を表現する」ではない。つまり、従来の政府見解は「憲法を遵守することは政府の行為として当然であって、当然のことながら憲法9条に違反するようなことはしていない」と言う大前提に立つものであった。
 実態や実運用がどうであれ、立憲主義の元、国策を遂行する行政としては当然の認識だろう。だが、稲田の答弁は違う。稲田のレトリックは、どこをどう読んでも「実態はどうであれ、憲法に違反していないと言い張るために、言葉を選んだ」でしかない。

 確かに、政府従来見解も稲田答弁のロジックも「あくまで憲法の範囲内」を取り繕おうとする点で同じではある。が、稲田答弁の奇怪さは、「現実は政府の都合によっていかようにも『憲法の範囲内である』と規定できてしまう」と開き直っている点だ。これでは立憲主義を根本から否定しているに等しい。
 

ごまかしを弄する人間が望む新憲法


 滑稽なのは、この稲田が、生粋の改憲論者だと言うことだ。

 所謂「百人斬り訴訟」で法曹史上に残る大惨敗を喫した成績の悪い右翼弁護士時代から、防衛大臣となった今現在に至るまで、彼女は、「憲法改正」の旗をおろしたことがない。「中国の膨張主義などのリアリティーを直視した時、憲法9条は現実にそぐわないから、即刻、改正すべきである」と言う立場にずっと立ち続けてきた。しかし今、彼女は、「現実はいかようにも言い繕うことができ、憲法の枠内だと言い張れる」と開き直っている。だとするならば、「現実にそぐわない憲法を時代のリアリズムに合わせて変える」など、必要ないではないか。

 さらに言えば、「現実はいかようにも言い繕うことができ、憲法の枠内だと言い張れる」などと言うロジックを平気で開陳できるような人間が新しく書き直す憲法が、仮令どんな内容のものであれ、もはやそれは憲法ですらないと言うしかないではないか。「政府の都合で現実はいかようにも言い繕える」などと嘯く輩が書く憲法に、「政府の権力を縛り、規制する」と言う憲法の基本機能を有するはずなどない。

 このように、稲田の答弁は、立憲主義の観点から、一切許容すべきものではないことが明らかだ。

 ジャーナリストの布施祐仁さんによる情報公開請求で明らかになった、「南スーダン派遣部隊の日報隠蔽問題」は、ここにきて「基礎的な一次情報である日報の隠蔽」という問題から、「いかに、現政権が、憲法秩序をないがしろにする政権であるか」という極めて深刻な問題を浮き彫りにした。

 これ以上、稲田を公職につけておいてはいけない。このままだと、立憲主義が、いや、日本の近代そのものが、危うい。

参照:「南スーダンに関する布施祐仁さん(PKO日報問題)と三浦英之さん(南スーダン隣国ウガンダからの現地報告)のリポートまとめ」

<文/菅野完(Twitter ID:@noiehoie)>

※菅野完氏の連載、「草の根保守の蠢動」が待望の書籍化。連載時原稿に加筆し、『日本会議の研究』として扶桑社新書より発売中。また、週刊SPA!にて巻頭コラム「なんでこんなにアホなのか?」好評連載中
 
 
 
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主催:戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会
 
 
 
 
 
 
 
 

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