手前の手をはっきりと描いて、奥にある顔をグラデーションでぼかした作品。
平面的な立体。
レンブラント・ライトの光源で、二つに面分割し、立体的に描いた作品。
適切な陰影表現をすれば、二分割だけでも立体に見える表現になる。
立体的平面。
レンブラント・ライトの光源で、陰影を二つに面分割して立体的にしてはいるが、厚みを描いて平面化させた作品。
表現は厚みのほうが優先される。
似顔絵は、平面的に描ければよいのであって、立体的に描ける必要はない。
けれど、表現の開拓や、オリジナリティーを追求するのであれば、立体的に描く練習も大切になってくる。
「立体を平面化する過程」に、発見があるためだ。
前回の参詣学園「初めての似顔絵教室」自由化丘校は、目の離れ具合を誇張する課題だった。
立体的に描くと、眼球までイメージして誇張しずらいが、平面化すると側面の輪郭まで目を離した誇張ができるというもの。
理屈が「難解すぎる」と言われたが、実践では描けていたので、安心している。
似顔絵には、筆致は必要か。
ミッフィーで有名なディックブルーナは、ものすごくゆっくりと線を引く。
そういった筆致を含めて、必要だと言える。
筆致の要素を分類すると、
絵の具の含有量、
速度、
筆運びが考えられる。
筆運びには、直筆、側筆、逆筆などがある。
筆運びは、一つの方法で描くこともできるが、絵がもたないということが出てくる。
そうなると、渇潤、渇筆と潤筆が必要になってくる。
渇筆とは、ドライブラシのように扱う。
潤筆とは、水分を多く含んだ筆で描く。
技法を沢山使えばよいということではないが、絵をもたせるために、以上んようなことは、知っておいたほうがよいかもしれない。
前回の産経学園自由が丘校、はじめての似顔絵教室は、ガンバレルーヤを描いてもらった。
課題は、目の位置と角度を誇張することだった。
どうしても、じーっと見の観察に頼りすぎて、ぱっと見の第一印象を上手くとらえられない。
誇張しても、じーっと見で、また誇張されていない状態に戻すことが続いた。
似顔絵教室なので、誇張もできるようになってほしい。
似顔絵には、抑揚は必要か。
その答えは、必要だと言える。
けれど、抑揚のない線には、都会的でオシャレな印象を与える。
かと言って、抑揚が必要ない訳ではない。
抑揚のある線の引き方で、太さではない抑揚、つまり「線そのものの強弱」で引く。
そうすることによって、のびのびとした線になる。
抑揚のある太さの線を練習してから、太さではない抑揚の線にも挑戦してほしい。
白目はワントーン落とすべきか。
トーンで見る場合においては、必要である。
そのとき、歯も唇があるので、ワントーン落とさねばならない。
ただし、ワントーン落としただけでは、歯がくすんで見えてしまうので、フェルメールのように、口元に白いハイライトを入れたりしなくてはならない。
例外は、平面的に描きたい場合だ。
平面的に描くときには、白目と歯は白く描き、トーンを落とさず影を落としてもよい。
トーンで描くのか、平面的に描くのかで、白目の白さの問題は考えたほうがよい。
似顔絵には、この大きさで描かねばならないという決まりはない。
けれど、最終的に描きたいサイズに合わせて練習することが大事だ。
はがきに描きたいのであれば、直接はがきに描くのではなく、はがきサイズの紙に描くとよいと思う。
私の場合は、はがきサイズに手描きで制作している。
最近、少しサイズが小さく感じるようになったので、A4サイズに描いたり、アップの構図で描いたりしている。
似せる練習は、小さいほうが細部にこだわらず描けるのでよいとされているが、仕上げで絵がもたないと困るので、一概には言えない。
最終的なサイズを意識して、完成をイメージして描けるとよいと思う。
絵を描く行為は足し算と言えるが、今回は引き算について考えたい。
誇張というのは、大げさに描くことなので、足し算や掛け算だと言える。
しかし、ここであえて引き算の誇張というものを考えてほしい。
大げさではなく、よりさりげなく描く。目立たないように描く、引き算の描き方を身に付けよう。
また、省略も引き算である。
見る人の想像力にゆだねて、省略をしてみるのもよいと思う。
そして、色数を減らしてみるのもよい。
色は何種類使ってもよいのだが、あえてモノトーンやワントーンにしてみるなどが考えられる。
このように、要素を加えていくだけではなく、減らしていく引き算ができるようになると、表現の幅は広がっていくと思う。