私の似顔絵教室で、「水彩で似顔絵を描きたいのですが…」という問合せがあったのですが、お断りしてしまいました。
水彩は、水彩画の先生に習ったほうがよいと思ったからです。
けれども、どうしても私に習いたいと言う(初心者の)人がいるのなら、教えられなければならないと思い、最も簡単な描き方を考えてみました。
【用意するもの】
透明水彩絵の具、筆、水彩絵の具用の紙、バケツ、ぞうきん(ティッシュ)、パレット(紙パレット)
モデルは阿部寛さんで、いきます。
1)鉛筆で下描きをする。
似顔絵を描きます。似せ方は似顔絵教室でしか教えられません。
「線」ではなく、「面」で似せていくので、側面と底面が暗くなることを想像して、鉛筆で描きます。
(具体的に言うと、側面が暗くなると細く見えるので、細く見えることも考慮します)
2)「底面」と「暗い固有色」の部分を塗る
茶系の水彩絵の具で、濃いめに塗ります。
※固有色とは、そのものが持つ固有の色味のことです(髪の毛が黒など)
3)側面を塗る
2)で塗った色より薄めに、側面を塗ります。
4)正面を塗る
3)で塗った色よりさらに薄めに、正面を塗ります。
このときに、鼻筋など光が特に強く当たっている部分は、塗らないようにします。万が一塗ってしまった場合は、(筆でその部分に水を含ませて)ティッシュなどで拭き取ります。
コツとしては、一番明るい色以外は、もの凄く薄くてよいので、塗っておくとよいです。
5)色相をふった絵の具で、重ね塗りし、背景も塗る。
「色相をふる」とは、マンセル色相環(厳密にはマンセルではないのですが)で、最初の色とはなれた位置にある色を使うということです。
ここでは青系を使いました。
髪の毛の(「天使の輪」と呼ばれる)明るい部分は塗らないでおきます。
背景も塗りました。ぼかしています。
※厳密には、ぼかすときには、ぼかし用の筆(水だけで塗る筆)と塗り用の筆の二種類を使うのですが、今回は一本ですませました。
最初に水だけで塗り、少したってから、絵の具をさしていきます。
あるいは、色を塗ったあとに、水だけ含んだ筆でのばしていきます。
乾かして完成です。
一般的には、薄い色から塗っていくのですが、濃い色を先に塗った方が完成の形が見えやすいので、その方法をとりました。
「線」での似せ方ではなく、底面と側面が暗くなることを考慮した似せ方(立体的な「面」での似せ方)を身にけることができれば、描けるようになると思います。
ドローイングではなくて、ペインティングの似せ方をしなければいけないのが難しいです。