ナナさんへ
ナナさんが逝って今日が5回目の夏です。
早いね。そんなにたったなんて信じられないよ。
いつもナナさんは門柱の上でお昼寝してたね。
冬はぽかぽかお日さまが当たって、夏は一日中木陰で涼しかっただろうね。
いまでも時おり、出かけて帰ってくると、
門柱の上にナナさんがいるんじゃないかって目をやってしまうときがあるんだ。
近所に住む姉妹猫といっしょのときは、ベランダのベンチの上が日向ぼっこの場所だったね。
でも仲がいいのか?悪いのか?
いつも1mくらい離れていて、いちども寄り添うことはなかったね。
そうそう、ナナさんが屋根の上にいるのを見たときは驚いたな。
当時16歳のおばあちゃんだったのに、まいにちお山にお散歩行ったし
動きも機敏で、すっごく元気だったよね。
だけど姉妹猫が春の桜のころに旅立っていったと聞いたころから、
一気にナナさんの食欲も落ちてきたんだよね。
あの夏は早くからすごく暑かったから、
食欲が落ちてきても軽い夏バテくらいにしか思ってなくて、
まさか病院に行く前日に逝ってしまうなんて思ってもいなかったよ。
だって前の日の朝、足がなえて歩けなくて心配してたのに、
すぐに元通り歩いて門柱に乗ってたじゃない。
だからあの朝、玄関先に横たわるナナさんはほんとに寝てるみたいだったから
「ナナさんこんなところで寝てちゃダメだよ」って本気で声掛けたんだよ。
「寝てるんじゃなくて死んでる」って言われてもすぐに信じられなかったよ。
微笑んでいるような、とっても穏やかな顔してたじゃない。
苦しまずに旅立てたって思っていいよね。
できたらもう少し待ってて欲しかったな。
でもひとりで逝っちゃうなんてナナさんらしいのかもね。
ナナさんといっしょにいれたのはたった1年4ヶ月。
短い時間だったけど、子供のころからの「犬や猫と暮らす」夢がかなえられたよ。
ふだんは抱っこも触られるのも嫌がったナナさんだったけど、
気が向いたときだけ、ゴロニャ~ンと甘えてくる仕草がとっても可愛かったな。
ナナさんのいた毎日はとても楽しかったよ。
ナナさん、幸せをありがとう!
いまは先に行ってた兄弟たちと、虹の橋のたもとで元気に遊んでいるんだよね。
兄弟の中でナナさんがいちばん最後だったから、みんな待ちくたびれていなかった?ナナ遅いよ~!って言われなかった?
それとも17年間頑張ったねって褒めてもらえたかな?
最後にナナさんにひとつだけお願いがあります。
大好きだったお義母さんに早く会いたいとは思うけど、まだ迎えに来ないでね。
もうすこし兄弟たちとなかよく遊びながら待っていてね。
ナナさんのご飯係 ぽん母
P.S
ナナさんが逝って半年くらいしてカメラに入れっぱなしだったフィルムを現像にだしたら、ナナさんの写真が1枚だけ出てきたよ。
もうナナさんのために泣かないと思ってたけど、嬉しくて涙があふれてきたよ。
カメラ嫌いでいつも逃げてたナナさんだったから、
たった1枚だけのこれが、とっても貴重な我が家の宝ものだよ。