暮らしと古民家

折々の暮らしの中気が付く大切なこと

ゆがんだ景色

2017年10月26日 | 古民家

 建築の雑誌を見ると、建物の外観が周りの景色と一緒にきれいに撮れていて

室内も家具・日用品などの小物と一緒にかわいらしく写っています。

建築写真は縦横90度がしっかりでていないと駄目です!・・・と教えていただいたことがあります。

昨日は千葉の知り合いの方に誘われ「曳屋」についてのセミナーで勉強させて頂きました。

詳しくはまたお話致しますが、東北震災後のお話で・・・・

傾いた家の中で生活していた子供が、最初はふらつきながら廊下を歩いていたのに

慣れて平気で歩くようになったら・・・平らな外を歩くときよろめきながら歩くようになってしまったと・・・

まっすぐなものは真直ぐ、平らなものは水平に・・・当たり前のことですね。

でもゆがんでることで「味」があるものがあります・・・

古い建物の広縁を歩いて、庭を見たり、木造小学校の廊下を歩いて窓を見ると・・・

ガラスの表面が波を打っています・・・

昔のガラスは、加工技術がそこそこで設備も整っていませんでしたので、そんな味のあるガラスしか

加工できなかったようで。

今となっては、そのガラスを作るほうが大変になってしまいましたが、その後に多く作られたのが

型板ガラスと言いまして、今ではレトロガラスとか言うそうですが・・・

いろんな模様の入ったガラスです。

今とは違った意味で、職人さんの「粋」な部分が現れているような気がします。

大工さんが、階段手すりの柱の上部に化粧をしたり、板金屋さんが金属の板で鶴を折ったり

左官屋さんが漆喰で壁に絵を鏝で書いたり・・・

大変な作業を辛いと思って向かうか・・・細かな作業を面倒だと思うか・・・

お客様に喜んで頂きたい・・・どうやってこれは作ったんですか?

説明されて、改めて見るとどうしてこんな事出来るの・・?

そう思ってもらう事で、職人さんもやりがいを感じているのです・・・そう思っています。

正確に組み上げるところはしっかり・丁寧に・・・遊び心を出すところはおおいに凝って頂いて・・・

ゆがんだガラスも、左官壁の荒々しい仕上がりも、丁寧な仕事があって初めて引き立つものです

そんな「粋」な職人さんに、このところ出会える機会があり、ささやかな幸せを感じているしだいです。

 

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