暮らしと古民家

折々の暮らしの中気が付く大切なこと

育つ

2018年02月13日 | 古民家

 丸太の梁は、古民家の特徴と言っても良いくらい目を引く部材です・・・(屋根の萱と迷いましたが・・・)

合掌造りの建物などに、根元が大きく曲がった松の梁が使われています・・・

日本の急な斜面に育った松は、根元が曲がって育ちますが・・・

粘り強く丈夫な材質になって、大きな屋根を支える立派な梁材になります。

ぐねぐね曲がった丸太材も、立派な構造材を受け止めるのに、工夫しながら使われています。

でも、丸太を使うには、その加工にとても手間がかかります・・・

木組みの部分が丸いと水平や直角が出しづらいからです・・・

どうしてそんな丸太を使ったのでしょう・・・?

粘り強くて良い材料なのはその通りなのですが・・・

そんな材料が身近にあったからです・・・その時代は、四角く材料を加工する技術がそこまでなかったからです。

加工技術が進歩して、大工さんが手間隙掛けて手刻みしていた工程を、機械がするようになって・・・

低価格で安定した加工が出来て、低価格の住宅がどんどん作られてきました・・・

それは住生活が向上した意味では良い事なのですが・・・手刻みの丈夫で長持ちする建物が無くなってしまいました。

現代の木材の乾燥技術・加工技術が悪いとは言いませんし、性能が良くないとも言いません・・・

良い材料を・良い職人さんが・時間と手間を掛けて造った住まいは、何世代も住み継がれる・・・

循環型で環境にやさしい、お家になるんだな・・と思うからです。

ちょっと昔は、家の裏にある木を切って、自分のお家を建てていました・・・伐採したら・・・

次の世代に造るために木を植えました・・・足りない分は、近くの山から切り出しました・・・

そんな木材です、節もあれば、木目も真直ぐではありません・・・

近くで用意できるものを工夫して使っていました。

だから、手間を掛けても、お寺の様な贅沢な造りで建てる訳ではありません・・・

いろんな工夫をして、建築費を少し抑える事も出来ます。

どこで育って、どこで作られて、どんな職人さんたちが造ってくれたか・・・

顔の見える・・・育った環境が解る・・・そんな住まいだからこそ、愛着が沸くのだと思います。

 

 

 

 

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あこがれ

2018年02月12日 | 古民家

 自動車の免許を取ったらすぐにでも車がほしかった年代です・・・・・

魅力的で個性的な車が次々発売されて・・・いろんなアイデアや工夫があって・・・

今考えれば、いらない機能や装備もあっただろうと思います・・・。

それよりさかのぼる事、少し昔・・・自転車に派手なライトやフラッシャー・ウィンカーまで・・・

大量の電池が必要な・・・それこそ無駄な装備が、憧れの乗り物だった時代がありました。

いろんな企業の方にはお叱りを受けるかもしれませんが・・・新しい車を数年で乗り換えるより・・・

30年でも50年でも同じ車を載り続けるほうが世の中の為なのでは・・・?と思っています。

環境にやさしかったり、安全性もしっかりして・・・移動手段の「足」としてはすばらしいと思いますが・・・

車の魅力は運転してこそ楽しく、快適装備や簡単操作では無くて・・・ちょっと手間がかかって・・・・

機嫌を損ねないようにやさしく・・・時には激しく・・・!

お互い気を使いながら・・・峠だったり、海岸線だったり、知らない街だったりを走るのが車の楽しさだと思っています。

辛い時期や、苦労した時代、貧乏だった頃の話のほうが、順調に何事も無く過ごしていた時より

数倍、思い出話に花が咲きます・・・

快適生活より・・・少し大変・少し手間がかかる・・・そんな暮らしが昔は当たり前でした・・・。

還暦過ぎて、孫が出来て・・・笑い話になるような暮らし方・・・

魅力的だと思いませんか?

 

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表現

2018年02月11日 | 古民家

 伝統工法と言われると、なんだか神社仏閣を建てる技術で、自分たちの家を造るには

関係のない技術だと思う方も多いと思います・・・

宮大工さんも特殊な技能を持った職人さんで・・・雲の上の存在と思われても仕方がないと思います。

スペインにある、今も建造中の「サグラダファミリア」ですが、その姿や装飾すべては「聖書」を表しています。

(詳しくは数多くの書籍が出ていますので一読してみて下さい)

海外に建てられている建築物の多くが、さまざまな宗教の内容を元に、表現されているようですが・・・

時の権力者がパトロンとなる画家や彫刻家に、聖書に書かれた内容の絵画を書かせたのも・・・

宗教が社会の中で大きな意味を持つ時代背景があっての事なのでしょう・・・。

「法隆寺」などは日本でも有名な建築で、その補修に携わった・・・とても有名な宮大工さん・・

「西岡 常一さん」が祖父の「常吉さん」から教えられていた言葉と、大工の口伝として・・・

お堂を建てるのでは無く・・伽藍(仏道修行者が修行する清浄・閑静な場所)を建てるのだと・・

仏法を知らずに堂塔伽藍を語るな・・・と伝えられているそうです。

どうしてこんな間取りになったのか?・どうしてこんな屋根の形になったのか?

窓の位置や、天井の高さ、軒の出幅・・・仏教の信仰心を知ればおのずと解る造りが・・・

そんな納まりが、建物のあちこちに表現されているそうです・・・

そんな宗教も権力者だけのものでは無く、庶民の中にも広がってくる事で・・・

社寺仏閣の施工技術が、一般の建築技術や工法に生かされるようになってきました・・・

勉強不足で自分も解らない所だらけですが、何も知らずに訪れて見る物や景色と・・・

訪れる先の宗教やお国柄を調べてから見る、物や景色は全く違った感覚で体に入ってきます。

古民家も、時代や・地域で間取りや造りが違っています・・・その地域の産業や環境もありますが・・・

地域の方達の造り上げてきた暮らしが、その姿にもなったのだと思います・・・

何気なく見ているものが、多くの意味を持っていると思うと・・・

今とは違った景色が見れるようになるかも知れませんね。

 

 

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2018年02月10日 | 古民家

 幕末が好きな理由は・・・・・?(自分はとても大好きです)

時代が大きく動いたから?

異文化の情報が大量に入ってきたから?

身分の垣根が低くなり、多くの人材が世に出てきたから?

150年ほど前のことで頭で思い描きやすい・・・・?

いろんな理由があると思いますが、話題に事欠かない内容がギュッと詰まった

時代だったのだと思います・・・

昭和という時代も、戦争という悲しい出来事があって・・・その後の

成長に向かって社会全体がすさまじい勢いで進んでいったこの時代に・・・

たくさんの出来事が詰まっています。

ちょうど年を重ねてきた方々が昭和生まれという事もありますが・・・

幕末にも、昭和にも・・・町内にいる頑固親父のような・・・学校にいた変わり者教師や

近所の得体の知れない住人など・・・

豪快で、一生忘れられない、変わった、魅力ある人間がいたのだと思います。

地域扶助で皆が共に苦労や、楽しみを分かち合う暮らしの中でも、先頭に立つ人がいました・・・

声を掛け合い地域を良くしようと引っ張っていく人達がいました・・・

時代の流れを見守って来た古民家を、次の世代に残す事は大切だと思うのですが・・・

それだけでは足りなくて・・・

それを思う人がいて、そんな人が集う地域があることが大切です・・・

日本の文化を大切に想ってくれる人が、もっとたくさん増えたらいいなと思います。

 

 

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言葉

2018年02月09日 | 古民家

 広縁というものは実に良く出来た機能を持っていると思います・・・

(縁側・濡れ縁・広縁・・・細かな違いがありますが今は広縁と致します・・)

訪問したお宅の広縁に休憩している方々がいました・・・声を掛けて近づくと・・・

まあ、お茶でも飲んでいって・・・と 広縁をすすめられて腰掛けると・・そこは陽だまりの暖かさです。

靴を脱ぐ事もなくお茶を頂きながら、ふっと 広縁の脇を見ると、切った野菜がざるの中で天日干しに・・・

さらに、反対側では洗濯物がずらりと並んでいました。

雨に当たることも少なく、野良仕事の途中でも地下足袋や長靴を脱ぐことなく、ゆったりと休憩が出来る・・・

夏、広縁での夕涼みから、夜の花火など情緒あるれる風景と、合理的に考えられた日本独特の文化だと思います。

建物の耐震強度を理由に、建物の角には必ず壁が作られるようになって、広縁の開放感や

日本家屋らしい間取りが失われました・・・時代の流れだと致し方なく思いますが・・

立派な設計事務所が設計された、摩訶不思議な形状の建物を見ていると・・・

地震にも安全な、広縁付きの日本建築などは、もっと簡単に設計できてしまうのでは・・・?

と思ってしまいます。(けして、現代の設計を否定しているのではありません)

流行語大賞ではありませんが、流行の中で多くの新しい言葉が生まれ・廃れていきます・・・

博物館にあるような、江戸時代の書簡でも読みづらく、意味も理解が難しいです・・。

さらに前の時代になれば、古文の世界です・・・

当時は一般的だった古民家も、今では贅沢で余裕のある方が、生活維持出来る、建物になってしまいました・・

それでも多くの古民家が持て余されて、解体処分される運命が待っています・・・

そんな状態になるまでには、いろんな理由がありますが、多くの方の知恵とご尽力を頂まして・・・

次の世代に引き継ぐ事が出来るように、広縁の良さを多くの子供達にも経験してもらいたいと思います。

 

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