暮らしと古民家

折々の暮らしの中気が付く大切なこと

理由

2022年03月21日 | 古民家
 甍の波を渡る風と、茅の草原を渡る風を暮らしの中で受けていると・・・
ひしめき合う建物の中を通り過ぎる風とは、まるきり違い・・・
見た目だけで無く・・・体を刺す風や、焼け焦げる熱も・・・瓦に茅は優しく受け止めて・・・
大きな屋根の下で暮らす意味を伝えてくれる・・・。

はち切れそうな玉の汗・・・ヒタヒタの日本の夏を過ごす、暮らしの知恵が・・・
古民家の屋根を想像して・・・養蚕や稲作の生活に合わせて、住まいのカタチを変えて来ました・・・。
玄関・廊下・居間に客間・・・どの家も同じような作りで、外壁も屋根も代り映えしない姿に・・・。
北に南のどちらを向いても、切り取って別の場所に移しても・・・違和感のない住まいの景色に、ずいぶんと違和感を感じます・・・。

食べ物も・・・方言も、景色も・・・人の姿カタチも・・・
訪れる先々の変わり種に・・・多様性を楽しむ人の顔が緩んで、土地で手にする食文化にも特別な時間をもらえる・・・。
街並みが変わるほど・・・地形が変わるほど建物が建ち並んで行くと・・・
遠い先に、暮らしの姿は見えなくなってしまい・・・
2日前・・・その場所に何があったのか解らなくなる記憶になってしまう・・・
ただ、モノがない時代だから茅を使っていただけでも無く・・・
ただ、重い瓦しかない時代だから使っていただけでも無い、その場所に繋がれて来た文化が残された理由があるはず・・・。



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まわり道

2022年03月20日 | 古民家
 寒くて暑い・・・一喜一憂、毎日の中に・・・人の暮らしは自然の移ろいと交差しながら・・・
朝夕の空を見上げて心細くなる日々は・・・遠い時代の名残になってしまった・・・。
肌では敏感に感じられない儚い温度差で・・・自然の災害は見知らぬ間に近づいて来る・・・。
大切な実りも・・・蓄えた暮らしも、一瞬に消えてしまう悲しさが、振り向けば後ろにいるのかも・・・。

土造りが大切な農家のお仕事・・・農薬や化学肥料に頼れば、力強い成長は続かなくて・・・
小さな生き物が息づく土から、自然の力にも負けない作物が生まれるように・・・
住い造りにも・・・まわり道のような手仕事を繰り返せば、自然の力を頂いて元気な住まいの育ちになる・・・。

手にする事も出来ない高価な薬や、自分の力ではどうしようもない病気を治す薬も・・・
時には必要な時があったとしても・・・自然の中から頂いた魔法の力が隠れているのを知っていて・・・
いつの間にか、腰を据えてまわり道する時間を、ないがしろにしているような気がする・・・。
地道で下らない繰り返しが、自然の力の成り立ちなら・・・
人の暮らしにも、自然と共存出来るくらい、ゆっくり廻って考えてみても良いと思う。

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生まれる

2022年03月19日 | 古民家
 殺風景だった山にも・・・見渡す限り薄茶色だった田んぼにも・・・
とつとつと、若さが生まれ・・・息を吹き返した風が降りて来るようで・・・
実りの秋とは違う・・・命を生む大切な季節には、どんなぶっちょう面でも緩んでしまう不思議がある・・・。

森の木々の伐採は・・・木が休んでいる冬に行い、時間を掛けて自然乾燥出来ると・・・
ずっと暮らしを守る健康的な木材になって・・・
次の世代を守る若い苗は・・・この先に待つ春や夏に向かって元気を蓄えて行く・・・。
艶のある白木の柱や床材に触れる住まい造りは少なく・・・鉋を引いた艶を感じる事も無く・・・
長い年月住み継がれる造りがどんな仕上がりなのかを・・・経験する事も無い・・・
さみしく悲しい住処に育てば・・・繋いで行く伝統のお話をしても、某有名大学の教授の講習くらい、理解出来ないんだと思う・・・。(個人的な見解です。)

命が生まれる大切さと同じくらい・・・命を育て、守って行く大切さもあれば・・・
命とは何なのか?を・・・理解してもらう時間も大切です・・・。
人の暮らしの・・・他愛なく始まる同じ事の繰り返しを、わずかに変化する伝統技術の違いのように感じて・・・
どんな些細な毎日にも・・・昨日とは違う大切さを見つける感性を育てる・・・
それには・・・特別でも無い春の訪れに想う、自然の殺風景に感動してしまう暮らし向きになれば、良いのかな・・・と思います。






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集う

2022年03月18日 | 古民家
 人が集まれば・・・煮物や炒め物、手作りのお惣菜を用意して・・・
みんなで食材や、手料理を持ち寄って・・・家族に親戚、近所のおじさんにおばさん・・・
子供達も寄り集まって・・・なんて事の無いご近所さんが始まる・・・。
窓を開ければ、目の前がお隣さんは・・・今でも変わらない場所も作られているけれど・・・
そこで交わす言葉のある無しが・・・人の集まる場所になるか、そうでないかを決めている・・・。

子供が少なくなれば・・・兄弟も少なくなって、人の集まる時間も造れずに・・・。
家族が世界に広がれば・・・みんなが集う時間も取れなくなって・・・
地域に物語が生まれなくなってしまう・・・。
普請が生まれた訳は・・・自然相手の暮らしに、一人で向かい合うには大きすぎる相手・・・
だからみんなで手を結んで、四季で変化する暮らしの中に・・・結いの想いを繋げて行ったんだと思う・・・。

貴重な木材をたくさん使った、大切な住まいを・・・末永く守り続ける結いの考え方は・・・
暮らしを温める家族がいるだけでは繋げられなくて・・・見守る地域だけが残っても守られない・・・
でも、少なくなって来た人の集まりや、その想いを元に戻すのも難しくて・・・
家族が伝え繋げられなくても・・・誰かは知らないけれど、次の世代に想いを伝える伝統を想う人や地域を育てる・・・
そんな、ぜんぜん新しい仕組み作りが・・・育てられたら良いな、と思います。





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途方もない

2022年03月17日 | 古民家
 両手を広げた姿は、羽ばたくように・・・
つま先立ちして、背伸びするみたいに・・・
森の中には数え切れない木々が隠れていて・・・名前はあるけど、あまり知られていない草花まで・・・
大きな樹の下に・・・小さな生き物が、守られるように育ちながら・・・
小さな命も・・・大きな樹を支えている・・・。

枝葉を伸ばした植林の森は・・・下草におひさまが届かなくて、健康的な森には育たなくて・・・
まっすぐ素直で、天にまで昇るには・・・枝葉を上手に切って、密にならないように間引くことも大切で・・・
枝葉の無い幹はスルリとまっすぐ・・・枝葉は幹のてっぺんに残るように育ち、60年近くお手入れをすると・・・
ようやく住まいの柱材へと生まれ変わって行きます・・・。

杉の木以外に・・・松や欅、栗、栂・・・いろんな姿カタチの樹の使い方はあるけれど・・・
同じ木でも・・・育った場所で、住まいのどこの場所に使うかも考えて・・・
命を頂いたからには、使い倒すくらい・・・あきれるほどの時間、住み継がれるほど丈夫な造りに組み立てる・・・
そんな途方もない技術が・・・森を育てる職人を育て、森も守り多様性ある日本の文化が守られていたんだと思います。



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