ビスクドール・雛人形店・オーディオ販売 佐久市 ヤナギダ店長ブログ

ビスクドール64体他お節句雛人形をフランスへ輸出128年、軽井沢方面がお店の場所。

「遠 恋」好きでいさして ―Ⅲ―

2017年07月14日 21時26分08秒 | owarai
「わたしの名前は、サクラギといい
ます。東京から、彼に会うために、
アメリカに来ました。わたしは彼
の友だちです」

「そう、彼の友人なのね?あなた
の名前、もう一度言って」
「サクラギです。シオン・サクラ
ギといいます。東京から、彼に
会うために、アメリカに来ました。
わたしは彼の友だちです」

相手は一瞬、押し黙った。わたしは
次の言葉を待った。
「あなた今、どこにいる?どこから
電話をかけてる?東京から?」
「違います。今は、ラインクリフの
駅からかけています」

「あなた、ラインクリフにいるの?
今?本当に?」
驚きが伝わってきた。
「はい」
わたしは、ここにいます。

「マイガーッド、信じられない。
なんてことでしょう。あなたは
運が悪い。なぜなら彼はきょう、
日本に行きました。今朝の飛行機
でシカゴへ飛んで、シカゴで乗り
換えて、成田には、あしたの夕方
着くでしょう。あなたはいつ、
ニューヨークに来ましたか?」

背筋から1本、神経がすーっと
抜けていくのがわかった。抜けて
いったのは、魂だったのかもしれ
ない。急に、膝ががくがくしてき
た。

躰はそんな風だったけれど、心は
不思議あなくらい、落ち着いてい
た。だってわたしには、わかって
いたから。わたしはすでに知ってい
た。 彼女より聞かされるよりも
前に、あのひとはここにはいない
と。

「わかった。じゃあ、ここで待って
る。場所がわかるのね?ではすぐ
あとで、会いましょう。ひとまず
今は、さよなら」


あのひとの暮らす家は、ひっそりと
静まった住宅街の中にあった。
チェストナット・ストリート。12
12番地。

右側のドアの前に、猫を抱いた、髪
の長い女の人が立っていた。
「こんばんは」
わたしの方から先に挨拶をした。

「わたしの名前は、チェンユーといい
ます。これは中国名ね、英語ではどう
ぞジェーンと呼んでください。さ。
中に入って」

彼女はわたしと同じくらいの年、ある
いは少しだけ下のようにも見えた。

細身の長身をゆったりとしたニット
のワンピースに包んで、その上から、
ざっくりと編まれた丈の長い藤色の
カーディガンを着ていた。

玄関先で彼女の姿を間近に見た瞬間
から、わたしは「たったひとつの印
象」に釘づけになっていた。

彼女は妊娠していた。おなかの膨らみ
は、それが臨月に近いことを物語って
いた。



にがい水

2017年07月14日 03時28分01秒 | owarai
若いときに、にがい水を
のまなかった人は、

ひだちが悪い。

「苦労」は、おのれの「先生」。

人間「苦労」にしこまれない
と、すぐいい気になってしまう。

学校が荒廃するわけだ(笑

※肥立:
日に日に成長すること。



逢 瀬

2017年07月14日 02時42分11秒 | owarai
少し古風な、あなただった。
あまり流行りの風俗とか話題が、
好きではない。というより、
興味がないらしかった。

唯一、東急ハンズでの買物が
好きだった。文房具や、ちょ
っとしたおもしろい小物が好
きで、

科学系の道具や、いろいろな
専門用具など、熱心に見入っ
ている。

私などは見ただけでは、なに
に使うかわからないものもあ
って、ちょっとしたカルチャ
ーショックだった。

でも、そういうあなただから
こそ、好きになった。外見ば
かり気にして、女にへつらい、

やたらあちこちの高級ホテル
やラウンジや、気の利いたレ
ストラン、コーヒーテラスな
どに詳しい男より、絶対いい。

海に行った時、夜空の星を見
て、「あ、あの星は火星かな、
またたかにから」
と、あなたはつぶやいた。

私は、また大発見をした。
「えっ、星って、全部またた
くのじゃないの?またたかな
い星もあるの」
と叫んでしまった。

「君さ、理科、ちゃんと授業き
いてなかったろ」
すましてあなたは言ったが、

「でも、そんなこと普通覚えて
ない。女の子なんて、みんな
お星さまはまたたくものと
思ってんじゃない」

と口をとがらせた私の頭を、
なだめるようにたたいた。

そんなあなただから、きっち
り土曜や日曜ごとのデートの雰
囲気や、そのあとの肌合いなど、

なんとなく古くさい“逢瀬”と
いった言葉が浮かんだ。

あなたはごく普通の日本家屋の
一軒家のひとり住まいで、ふた
り並んで天井の木目を見ている
と、

昔、しのび逢いのために待
合宿で、はかない契りを交わす
さだめの男女、という気分に
なった。

あなたは基本的に無口で、特
に、むつみごとに対してそう
だった。時おり、やるせない
目を向ける。

当然、愛してるなんて、甘
ったるいことは言わない。

でも、頬杖ついて、寝ころび
ながら、星や魚などの話をぼ
んやり聞いているのは、いい
気分だった。

ひとつずつ、あなたの人柄や、
あなたの興味のあるものを知る
こと。一気にではなくていい、
少しずつ、ほんの逢瀬に・・・。

奥の深い人だと思った。それが
愛情、恋情につながっていく。

肌合いに関してはうぶなくらい、
はにかみとためらいを見せる。
およそ痴話ゲンカなど似合わない。

たぶん、美容院なんて、いっさい
関係のないはずのあなたの髪に、
いとおしく触れる。

静かな寝息は、どこかの静かな
山間で、せせらぎのなかの魚を
追っている夢か、天体望遠鏡を
のぞいている夢を見ているから
なのだろう。

この人に、あまり恋のややこし
さをねだってはいけないと思う
私がいた。


・・・・◇・・・・・・・



しめやかな恋情

どんなにモダンな生活様式
だろうが
シティーライフに囲まれて
いようが

男と女の ふたりきりの
ひそかな時間や営みに

確実に うまれる

そうでなければ 恋とは
いえない 愛とは言えない

熱く激しく 現代的な
スリリングな恋もあるだろ
うが

シニカルにかまえながら
結局ドロドロしていく

一過性の行きずりではない
からこそ

しめやかに 柔らかく
そして心地よく

乾いた風の吹く恋もあるのだ

渇望ではなく 潤いから生まれ
た風

お薦めYouTube : 映画と音楽 Ⅱ / 思い出の夏

2017年07月14日 02時33分23秒 | owarai

YouTube:「男と女」映画
1. Мужчина и женщина - Francis Lai & Nicole Croisille
2. 映画『男と女デジタル・リマスター』予告編


YouTube: 5:40秒の傑作
「おもいでの夏 The Summer of '42」ミシェル・ルグラン、Michel Legrand

1942年夏、ニューイングランドの沖合いの
ナンタケット島へハーミーとその家族は、
戦火を逃れてやってきた。 ハーミーは
丘の上の一軒家に住む美しい人妻
ドロシーの魅力に取り付かれた。

ドロシーの夫が出征した後 ある夜、
ドロシーの家を訪ねると、ドロシーの
夫の戦死を伝える電報がテーブルの上にあった。

その夜、ハーミーはドロシーと
初体験を行った。

翌日、再び訪ねると、既にドロシーは
居ず、別れの手紙だけが残されていた。

You Tube : 音楽(アイスランドのフュージョン・グループ)

You Tube : メゾフォルテ
1.Spring Fever / MEZZOFORTE

2.Rockall / MEZZOFORTE

3.Double Orange Juice / MEZZOFORTE