ビスクドール・雛人形店・オーディオ販売 佐久市 ヤナギダ店長ブログ

ビスクドール64体他お節句雛人形をフランスへ輸出128年、軽井沢方面がお店の場所。

届かない手紙

2019年09月15日 11時54分03秒 | owarai
誰かがあけた小窓から、強い光が
射し込んでいた。前の座席の背に
はめ込まれているスクリーンに
目をやると、飛行機はあと一時間
ほどで日本に着くとわかった。

わたしは膝の上に置いたままに
していたノートブックを取り上
げて、書きかけのページを開
いた。

そこに挟み込まれている透明な
手紙を手にした。届かない手紙。
決して読まれることのない手紙。
開きながら、思った。
いいえ、手紙は届く。すでに届
いている。

なぜならば、手紙はここに、わ
たしの胸の中にあって永遠の命
を生きるのだし、あなたもまた
ここにいて、わたしと一緒に
―――わたしと彼のそばで
生きているのだから。

ペンを握りしめて、彼への
手紙を完成させた。
最後の一行は―――
「追伸 愛してます」

You Tube

Cafe Anatolia '' Tango to Evora ''

https://www.youtube.com/watch?v=iNfP9X22Z4c&list=PLUypUusZDvBO2-pGO76RUMOkACkST9gwm

「こんなにも冷たく、こんなにも激しい恋」

2019年09月15日 11時30分26秒 | owarai
自分の言葉を噛みしめ、味わ
った。

私は今、恋をしている。
その恋の行く手には霧が流れて
いる。私はしあわせなのだろう
か。

悲しい疑問が心に滑り込んで
きたとき、窓の外の風景は私
にとってとてつもなく荒涼と
したものになった。

淋しい。またひとつ、私の
心の中で言葉になった。

『言葉を捨てることにより』

2019年09月15日 08時51分06秒 | owarai
言葉を捨てることにより、
明瞭な答えを
得られることもある。

あなたは言葉によってこの世界を
体験している。あなたに向かって
発せられた言葉や、あなたが発した
言葉で喜んだり悲しんだり怒ったり、

ジェットコースターのように想いが
上下する毎日を過ごしているのでは
ないだろうか。

内的な言葉であっても、声に出した
言葉であっても、書いた言葉であっ
ても、あなたはつねにこの現実を
言葉によって構成した体験している
のだ。

でも、とても大切なことをひとつだ
けを覚えてほしい。それは、あなた
が本当は言葉を介さなくてもこの
世界を直接感じ取ることができる
ということを。

本当に大切なフイーリングは言葉
に置き換える必要などないという。
そう、沈黙は場を制す。

幼さゆえに純粋で、わたしという女を切り裂き、根こそぎ奪いとってしまうだけの、残酷さを合わせ持っていた

2019年09月15日 08時35分18秒 | owarai
ひとりぼっちを我慢でき
ない夜


水平線を見つめて
立てる灯台の光りては

消えゆくもの思い

YouTube
松任谷由実 - 埠頭を渡る風(from「日本の恋と、ユーミンと。」)

https://www.youtube.com/watch?v=ginnjRu0OHU&list=PL98koDCsBAnNElIkm8eWXCS7zKc1v9amc

現実を乗り越えてゆくこと

2019年09月15日 08時23分02秒 | owarai
初めから死んでしまって
いる、切り花。
その切ない香りを、わたし
は胸いっぱいに吸い込んだ。

もしも天国に香りがあるとし
たら、それはこんな香りかも
しれないと思いながら。


ひとりぼっちを我慢でき
ない夜

水平線を見つめて
立てる灯台の光りては

消えゆくもの思い

YouTube
Nuoc mat Hoa Moc lan 木蘭の涙


https://www.youtube.com/watch?v=KMKRL1_S0Ss

「かなしみ」

2019年09月15日 08時19分36秒 | owarai
あの青い空の波の音が聞こえる
あたりに
何かとんでもないおとし物を
僕はしてきてしまったらしい

透明な過去の駅で
過失物係の前に立ったら
僕は余計に悲しくなってしまった

/ 谷川俊太郎 初期の作品
昭和二十七年、
『二十億光年の孤独』から。

小中学校の教材でもある。
膨大な宇宙の片隅に住むぼく、
時代の変化の中に埋没しながら、
少しずつ変わっていく感覚、

失った大切なものあなたにも
ありませんか。

あなたがわたしに「生まれたい」と 言ったのです。

2019年09月15日 00時00分25秒 | owarai
「やめます」
と、言ったのです。

若い看護婦さんと、少し年配の看護婦
さん。ふたりは唖然とした表情で、わ
たしを見ていました。驚きのあまり、
あるいは、呆れてしまって、声も言葉
も出ないという感じすです。

わたしは彼女たちを残して、手術室か
ら走り出ると、もといた部屋までもど
って、手術着を脱ぎ捨て、そこに置い
てあった旅行鞄のなかから、衣服を取
り出しで、まるで脱走するかのように、
病院から飛び出しました。

大通りまで出て、流しのタクシーを拾
って駅まで行き、そこからは電車に揺
られて、アパートまでもどったのです。

帰り道、少しだけ出血があったけれど、
すぐに止まりました。本当は走ったり
してはいかなかったのだけれど、わたし
の赤ん坊は強かった・・・・・。

ねえ、音羽さん。
その時はたぶんまだ、親指の先くらい
の大きさしかない、頼りない細胞のか
たまりですよ。まるで木の芽のような
小さな儚い生命が、わたしに「生きた
い」と言ったのです。烈しい力で、大
木をなぎ倒すようにして、わたしに
中絶をやめさせたのです。

それが、あなたです。
わたしが身籠っていたのは、音羽さん、
あなたなの。

あなたがわたしに「生まれたい」と
言ったのです。
あなたの力が浅はかな女を、罪深い
人間を、動かしたのよ。あなたが、
わたしを、救ってくれたの。

 お願いです。そのことを、どうか
覚えていて。

この手紙の最後に、あなたのお母さん
に対する感謝の言葉を書きたいと思い
ます。

あなたのお母さんは、
出産時の麻酔事故と出血多量で昏睡
状態に陥り、そのまま目覚めなくなっ
たわたしの代わりに、あなたを引き取
り、

順ちゃんと一緒に、おふたり子ど
もとして慈しみ、可愛がり、美しく
聡明な女性に育て上げて下さいました。

あなたのお母さんはこの世にただひ
とり、あなたを育て上げてくれた人
しかいません。そして、あたなたの
お母さんはわたしに、この手紙を書
くことを許してくれました。

この世の中には、奇跡としか思えな
いようなことが、満ちあふれていま
す。素晴らしい奇跡もあれば、悲し
い奇跡もあります。

人はそれらをすべて、受け入れるこ
としか、できないのです。受け入れ、
許し、愛することしか、できない。
わたしがそうであったように、
あなたを、愛することを、やめられ
ないの。

もうじき、夜が明けます。
手術が成功して、もしも歩けるよう
になったなら、わたしはまっさきに、
あなたに会いにいきます。

腕が自由に動かせるようになったら、
まっさきにあなたの躰を抱きしめた
い。口がきけるようになったなら、
わたしがまっさきに呼びたい名前
は、あなたの名前。

音羽さん。
愛しい順ちゃんの娘。
わたしの娘。おとはちゃん。
この手紙を読んだら、あなたの
握りしめている白い小鳥を飛び
立たせて。

わたしの青空に、あなたの小鳥を、
放して。
You White Bird,Released Into My
Azure Sky.

待っているから。
真っ白な小鳥が、わたしの青空を
飛ぶ日を、待っているから。
今までずうっと待ってきたんだ
もの。

大丈夫、これからも待てる。
あなたを愛しているから。

砂丘のたもとにて
  とき子より


YouTube
Bill Evans - My Foolish Heart [live]

https://www.youtube.com/watch?v=hvJVjrwokYQ