無口な人は
心はさわさわ騒いでいる
十二月は可憐で
一月は美しく
二月は滑らかで
三月は振り返る
雪、雪、雪、
無口な雪
荒れる雪にしとやかな雪
重たい雪に柔らかな雪
白、白、白、
ほら雪
結晶は落ちて重なり
その雪に寝そべる
重なる、とける、おちる、冷たい
空、空、空、
冬、冬、冬、
それは雪とコラージュする
名前がないことはつらい
存在の透明さはゆらぎ
ゆらゆら
動けるのに
動けるのに
動けないことはつらい
目指す目線は雲の向こう
見えず何も見えず
てんてこ舞いで目の光が胃のところ
望むのに
理想に燃える敏感の肌
それ故にその為に
足の指はあらぬ方へ
唐突とは真逆に
手の指は閉じていく
「東京日記 リチャード・ブローティガン詩集」
リチャード・ブローティガン 著
福間健二 訳
詩は日常かもしれない。
日常にあるものを写し取っているのかもしれない。
そう思える詩集だった。。
ともすれば詩は異世界への入り口にもなり、
難解なミステリーにもなり、
恋の果てにもなり、
死生を見詰める性への夢に入り、
カタチつくる、もの、かたりになる。
錯誤からの真実と月の光を思わせる。
歩む速度が魂をみる。
魂を結び、魂を鎮め、
東京にいた頃の匂いが覚えさせる景色。
東京には匂いが入り込む。
都会は匂いを孕んでいるのかもしれない。
時折見せる静けさをもって。
あっという間の
流れ星がながれ願う
あなたに恋をするのかな