「書店主フィクリーのものがたり」
ガブリエル・ゼヴィン 著
小尾芙佐 訳
島にある一軒の書店。
その店主フィクリーは妻を亡くし、
意味のない生活をしていた。
そこに子供があらわれる。
書店に置かれた、捨てられた小さな小さな女の子。
そして女の子との生活がはじまる。
周りの人たちに助けられながら。
本を生活の一部にしながら。
悲劇が起こりながらも軽やかに読めるのは、
女の子の存在だろう。
そして本という存在があることもそのひとつだろう。
シャボンの泡のいくつもの世界。
包まれるつながる愛しさ。
いつだったかテレビでの平野啓一郎の言葉を思いだした。
テーマの方向は同じであり、
その描き方にこそその作家の独自性があるのだと。
それはどの分野にもいれることなのだろう。