![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/e9/f5e3c7dea9da2955185b2c69246e29f5.jpg)
写真はこちらからご覧ください。
6/19~6/22 am
http://blog.goo.ne.jp/photo/21501
6/22pm~6/24am
http://blog.goo.ne.jp/photo/21543
6/24pm~6/25am
http://blog.goo.ne.jp/photo/21599
6/25pm~6/27
http://blog.goo.ne.jp/photo/21622
6月19日(土)
前夜、洋行の準備を終えて早く眠るつもりが、
遠足前日の子供のごとくに一睡もできず仕舞い。
身体が重く、頭が冴えた、ナチュラルハイの状態で
早朝の東京駅へ向かった。
6時18分発成田エクスプレス3号、グリーン席を
奮発して購入し、地下ホームへと降りる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/17/f62aac622cafdfaee882bc55f26c6968.jpg)
この時間には、日本人よりも外国人の方が多い。
スーツケースを荷物置き場へ放り込むと同時に
列車がゆっくりと滑りだす。
自席に向かい、少し眠ろうか、と思い、
眼を閉じた矢先に、車内放送が、津田沼駅での
非常ボタンの作動を告げ、列車は停止してしまった。
どうにも幸先が悪い。
ようやく列車が動きだしたと思ったら、
今度は千葉駅で、入線トラブルで再び停止。
結局、20分遅れで、成田空港へ到着した。
************************
今回の旅は、同僚と2人での出張である。
ただ、行程に余裕をもったので、移動日には
若干の個人的な楽しみを持つことが出来る。
重い荷物を持って、
空港入り口でのパスポートチェックを済ませてから
同僚に連絡すると、彼はすでにチェックインを
済ませてしまっていた。
訪問先への土産にとらやの羊羹を人数分買ったせいで
スーツケースは規定重量をかなり超えていたのだが、
ルフトハンザのスタッフが機転を利かせて
手荷物と合算してくれたため、追加料金を払わずに
運ぶことが出来た。
セキュリティチェックを済ませ、階下へ降りる。
IWCの時計を嵌めていたので、税関に申告してから
パスポートチェックを済ませ、出国手続きを終えた。
出発までは時間がある。
45番搭乗口のカウンター脇の硝子越しには、
エアバスA380の巨体が覗いていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/e9/f5e3c7dea9da2955185b2c69246e29f5.jpg)
実物を目にしても、こんなものが本当に飛べるのかと
やはり疑心暗鬼になってしまうほどに、機体は大きい。
同じ便に搭乗するものと思しき多国籍の人々も
窓にすり寄って、その巨体を写真に収めている。
全長73m、全幅80m、総重量300tという。
やがて定刻となり、搭乗する。
A380の内部は白と青を基調とした清潔な内装と、
十分な広さを持っている。
6月14日に就航したばかりというから、奇麗なものだ。
眼の前のタッチパネル式ディスプレイの操作性も
日本語に対応しているし、トイレの広さも十分にある。
9時35分、定刻通りに、離陸。
**************************
離陸後、最初にしたことは、機内放送の確認だった。
100枚以上のCD、30ものラジオチャンネルのほか、
映画、テレビと、エンターテイメントプログラムは
思いのほかに充実している。
音楽も、クラシックからクラブ、アンビエント、
音響派まで、多様なソースが提供されている。
ジャズの分野を重点的に探してしまうのは性とはいえ、
トーマス・スタンコや、ポール・モチアン、
マヌ・カッチェといったECMレーベルのタイトルが
多く揃っていたのには驚いた。
ミュンヘンに本拠を置くECMだからといって、
ここまで品を揃えるのかと驚きつつも、
僕にはとてもうれしい誤算だったといえる。
さっそく、キース・ジャレットの「TESTAMENT」という
ソロ作品を、全曲聴くことになった。
さて、音を聴き終えたところで、ヨーロッパがいくら
明け方とはいえ、日本は昼の時間である。
眠くなるわけもなく、引き続いて、映像コンテンツを
眺めることにした。
南アフリカでの1995年のラグビーワールドカップを
題材とした映画「インビクタス」と、
1989年、ベルリンの壁が崩壊した直後に
レナード・バーンスタインが東ベルリンで演奏し、
「freude」を「freiheit」と歌って話題となった、
ベートーヴェンの交響曲第9番である。
この2タイトルは、帰途でも眺めた。
そのとき、往路とはおよそ異なった印象を、僕に与えた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/b1/a8e710b133dfd6396b6e8b3d4bd1743e.jpg)
機内では2回の食事と、おにぎりが供された。
ルフトハンザの機内食は、美味しい部類に入ると思う。
ついでに必ずビールを頼んで、ワインも頼んだのだが、
全く眠りたい身体にはならなかった。
同じ姿勢を取り続けているうちに、肩や背中が痛くなり、
頭も重くなってくる。
ロシア上空で2回ほど、ストレッチのために席を外した。
外国人が通路を占拠して、ヨガのようなことをやっていた。
長い旅を終えて、フランクフルト・アム・マインへは、
定刻の20分前に到着した。所要、約11時間。
ここでも、皆がA380の写真を撮っていた。
A380の巨体に対応できる搭乗ゲートを持つ空港設備は
どの空港でも不足している。
成田でもそうだったが、フランクフルトでも同じように、
空港ターミナルビルの一番端のスポットを改築して、
この巨機に対応しているのが現状である。
そのせいで、パスポートチェック、荷物受取、税関まで
かなりの距離を歩くことになる。
パスポートチェックでは、多くの日本人観光客が
ひしめき合っていた。
ドイツの係官の顔つきは、相当に精悍で、こちら側に
十分な心理的圧力を掛けてくれる。
事実、僕の前に並んでいた日本人は、
何事か英語で話しかけられても全く対応できなかったため、
別室に連れていかれた様子だった。
こちらも若干身構えたが、笑顔はなかったものの、
それなりの服装をしていたからか、
係官は、良い滞在を、と仏頂面で言ってくれた。
ちなみに、外国へ旅をする際には、服装には十分に配慮を
したほうがいい。
飛行機には多少窮屈でも、スーツやビジネスカジュアルで
搭乗すべきである。
これによって、非常時の対応に差が出るらしい。
また、これはホテルへのチェックインの際も同じである。
それなりのクラスのホテルでは、文字通り「足元を見られる」。
レストランでも然りである。
ただし、街中をふらつく際には、ラフな格好に着替えて、
金を持っていないふりをすること、
スーツケースを持ち歩く時間をなるべく減らすことが
重要になる。
現地では、現地の人間のふりをしていればよいのだ。
**************************
フランクフルト空港から、駅へと移動する最中には、
あ、こいつはスリ、置き引きだな、と思しき連中が
かなり見受けられた。
フランクフルト空港の駅は、近距離用と長距離用に
分かれていて、長距離用の駅まではかなりの距離を
歩かなければならない。
やはり東洋人には、好奇の眼、狙いの視線を向けて
不敵な口元の緩みを微かに見せてくる。
こちらはそれを流し目で確認して、眼をそらす。
トラベルセンターで、5日間有効の鉄道フリーパス
「ジャーマン&スイス」のバリデーション(使用開始)の
手続きを済ませた後、ビールを飲んでから、
駅のホームへと降りる。
ブラックアフリカの、中年層の男が、
一切の勝手を知らないようなブラックアフリカの少年に
何事かをしきりに説いている。
ブローカーだろうかとも思ったが、素性はよく知れぬまま、
結局彼らは分かれて旅立って行った。
16時42分発のICEで、カッセルへ向かう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/45/b0482d450a272630a95094fa224302e4.jpg)
何故かはわからないが、ドイツへは初めて来た気がせず、
その感覚はドイツを離れるまで抜けなかった。
沿線の光景に、渋谷で見たような落書きの群れや、
東北を思わせる穀倉地帯のなだらかな風景が続いていた
せいなのかもしれない。
夏至間近の太陽は高く、ヨーロッパの空は日本の空より
青さが深い。
緑多きドイツののどかな風景は、単調との評判からは
全く遠いもののように思われた。
緩やかな地平に鮮やかに照り映える大地の色彩の透明度が、
日本のそれとは明らかに異なっていたからだ。
*************************
18時20分、カッセル着。
駅のすぐそばのホテルへと向かう道にも、
こちらに奇妙な視線を投げかける貧しいひとがいる。
チェックインの際、危うくゲイのカップルと間違われて
同じ部屋に押し込まれそうになったのを、
話が違うぞ、と啖呵を切って、ツインシングルユースに
割り当てさせた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/9e/f9042340159c65658bf36b75e0413597.jpg)
食事のため、街へ出たが、
どこも土曜日で、閉まっている。
仕方がないので、駅付近のスーパーで
ビール、パン、ピクルス、チーズ、ハム、ソーセージを
買い込んで、ホテルの部屋で食べることにした。
それにしても、物価が安い。
ビール1本が、85セントである。
ミネラルウォーター1.5Lは70セント。
チーズは2ユーロ少々。
2人分、満腹になるほどの分を買って、1500円ほども
しなかったように記憶している。
それにしても、ドイツ北部の人間は身体が本当に大きい。
180cmと178cmの、横幅も割とある日本人2人が
完全に見劣りする。
200cm、100kg以上であろう人々の群れを観て、
正直なところ、若干、委縮した。
21時に食事を終え、ゆっくり疲れを取ることにしたものの、
白夜のドイツの日没は22時である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/57/9b259ae641b23f1b3818439cae1542f4.jpg)
当然、全く眠る気にならず、テレビを点けたところ、
ドイツ版の「演歌の花道」ともいうべき、チープな電子音の
伴奏に、やたら気取ってはいるがどうにも田舎臭いドイツ男が
川辺や岸辺で歌っている番組が目に飛び込んできた。
彼らはずっとカメラ目線で、口パク丸わかりのふるまいである。
何だこれは、と、チャンネルを変えると、日本では絶滅した
深夜のヌード番組が流れている。
どうやらツーショットダイヤルの宣伝番組らしい。
10代から60代、スリムからファット、あるいはゲイ、と
ありとあらゆるジャンルに対応している。
適当にチャンネルを回しているうち、時刻は0時を回った。
しかし、時差を考えれば、日本では朝である。
全く眠る気になれない。
画面には、中条きよし、清水健太郎、松田聖子が
ドイツ語を話すやくざ映画が流れていた。
成田出発後、眠ったと言えば、機内での1時間ほどだけで、
あとは6月18日の朝から殆ど眠っていない。
結局、一睡も出来ずに、朝になった。
これが、この後、僕の身体に大きく響くことになる。
6/19~6/22 am
http://blog.goo.ne.jp/photo/21501
6/22pm~6/24am
http://blog.goo.ne.jp/photo/21543
6/24pm~6/25am
http://blog.goo.ne.jp/photo/21599
6/25pm~6/27
http://blog.goo.ne.jp/photo/21622
6月19日(土)
前夜、洋行の準備を終えて早く眠るつもりが、
遠足前日の子供のごとくに一睡もできず仕舞い。
身体が重く、頭が冴えた、ナチュラルハイの状態で
早朝の東京駅へ向かった。
6時18分発成田エクスプレス3号、グリーン席を
奮発して購入し、地下ホームへと降りる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/17/f62aac622cafdfaee882bc55f26c6968.jpg)
この時間には、日本人よりも外国人の方が多い。
スーツケースを荷物置き場へ放り込むと同時に
列車がゆっくりと滑りだす。
自席に向かい、少し眠ろうか、と思い、
眼を閉じた矢先に、車内放送が、津田沼駅での
非常ボタンの作動を告げ、列車は停止してしまった。
どうにも幸先が悪い。
ようやく列車が動きだしたと思ったら、
今度は千葉駅で、入線トラブルで再び停止。
結局、20分遅れで、成田空港へ到着した。
************************
今回の旅は、同僚と2人での出張である。
ただ、行程に余裕をもったので、移動日には
若干の個人的な楽しみを持つことが出来る。
重い荷物を持って、
空港入り口でのパスポートチェックを済ませてから
同僚に連絡すると、彼はすでにチェックインを
済ませてしまっていた。
訪問先への土産にとらやの羊羹を人数分買ったせいで
スーツケースは規定重量をかなり超えていたのだが、
ルフトハンザのスタッフが機転を利かせて
手荷物と合算してくれたため、追加料金を払わずに
運ぶことが出来た。
セキュリティチェックを済ませ、階下へ降りる。
IWCの時計を嵌めていたので、税関に申告してから
パスポートチェックを済ませ、出国手続きを終えた。
出発までは時間がある。
45番搭乗口のカウンター脇の硝子越しには、
エアバスA380の巨体が覗いていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/e9/f5e3c7dea9da2955185b2c69246e29f5.jpg)
実物を目にしても、こんなものが本当に飛べるのかと
やはり疑心暗鬼になってしまうほどに、機体は大きい。
同じ便に搭乗するものと思しき多国籍の人々も
窓にすり寄って、その巨体を写真に収めている。
全長73m、全幅80m、総重量300tという。
やがて定刻となり、搭乗する。
A380の内部は白と青を基調とした清潔な内装と、
十分な広さを持っている。
6月14日に就航したばかりというから、奇麗なものだ。
眼の前のタッチパネル式ディスプレイの操作性も
日本語に対応しているし、トイレの広さも十分にある。
9時35分、定刻通りに、離陸。
**************************
離陸後、最初にしたことは、機内放送の確認だった。
100枚以上のCD、30ものラジオチャンネルのほか、
映画、テレビと、エンターテイメントプログラムは
思いのほかに充実している。
音楽も、クラシックからクラブ、アンビエント、
音響派まで、多様なソースが提供されている。
ジャズの分野を重点的に探してしまうのは性とはいえ、
トーマス・スタンコや、ポール・モチアン、
マヌ・カッチェといったECMレーベルのタイトルが
多く揃っていたのには驚いた。
ミュンヘンに本拠を置くECMだからといって、
ここまで品を揃えるのかと驚きつつも、
僕にはとてもうれしい誤算だったといえる。
さっそく、キース・ジャレットの「TESTAMENT」という
ソロ作品を、全曲聴くことになった。
さて、音を聴き終えたところで、ヨーロッパがいくら
明け方とはいえ、日本は昼の時間である。
眠くなるわけもなく、引き続いて、映像コンテンツを
眺めることにした。
南アフリカでの1995年のラグビーワールドカップを
題材とした映画「インビクタス」と、
1989年、ベルリンの壁が崩壊した直後に
レナード・バーンスタインが東ベルリンで演奏し、
「freude」を「freiheit」と歌って話題となった、
ベートーヴェンの交響曲第9番である。
この2タイトルは、帰途でも眺めた。
そのとき、往路とはおよそ異なった印象を、僕に与えた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/b1/a8e710b133dfd6396b6e8b3d4bd1743e.jpg)
機内では2回の食事と、おにぎりが供された。
ルフトハンザの機内食は、美味しい部類に入ると思う。
ついでに必ずビールを頼んで、ワインも頼んだのだが、
全く眠りたい身体にはならなかった。
同じ姿勢を取り続けているうちに、肩や背中が痛くなり、
頭も重くなってくる。
ロシア上空で2回ほど、ストレッチのために席を外した。
外国人が通路を占拠して、ヨガのようなことをやっていた。
長い旅を終えて、フランクフルト・アム・マインへは、
定刻の20分前に到着した。所要、約11時間。
ここでも、皆がA380の写真を撮っていた。
A380の巨体に対応できる搭乗ゲートを持つ空港設備は
どの空港でも不足している。
成田でもそうだったが、フランクフルトでも同じように、
空港ターミナルビルの一番端のスポットを改築して、
この巨機に対応しているのが現状である。
そのせいで、パスポートチェック、荷物受取、税関まで
かなりの距離を歩くことになる。
パスポートチェックでは、多くの日本人観光客が
ひしめき合っていた。
ドイツの係官の顔つきは、相当に精悍で、こちら側に
十分な心理的圧力を掛けてくれる。
事実、僕の前に並んでいた日本人は、
何事か英語で話しかけられても全く対応できなかったため、
別室に連れていかれた様子だった。
こちらも若干身構えたが、笑顔はなかったものの、
それなりの服装をしていたからか、
係官は、良い滞在を、と仏頂面で言ってくれた。
ちなみに、外国へ旅をする際には、服装には十分に配慮を
したほうがいい。
飛行機には多少窮屈でも、スーツやビジネスカジュアルで
搭乗すべきである。
これによって、非常時の対応に差が出るらしい。
また、これはホテルへのチェックインの際も同じである。
それなりのクラスのホテルでは、文字通り「足元を見られる」。
レストランでも然りである。
ただし、街中をふらつく際には、ラフな格好に着替えて、
金を持っていないふりをすること、
スーツケースを持ち歩く時間をなるべく減らすことが
重要になる。
現地では、現地の人間のふりをしていればよいのだ。
**************************
フランクフルト空港から、駅へと移動する最中には、
あ、こいつはスリ、置き引きだな、と思しき連中が
かなり見受けられた。
フランクフルト空港の駅は、近距離用と長距離用に
分かれていて、長距離用の駅まではかなりの距離を
歩かなければならない。
やはり東洋人には、好奇の眼、狙いの視線を向けて
不敵な口元の緩みを微かに見せてくる。
こちらはそれを流し目で確認して、眼をそらす。
トラベルセンターで、5日間有効の鉄道フリーパス
「ジャーマン&スイス」のバリデーション(使用開始)の
手続きを済ませた後、ビールを飲んでから、
駅のホームへと降りる。
ブラックアフリカの、中年層の男が、
一切の勝手を知らないようなブラックアフリカの少年に
何事かをしきりに説いている。
ブローカーだろうかとも思ったが、素性はよく知れぬまま、
結局彼らは分かれて旅立って行った。
16時42分発のICEで、カッセルへ向かう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/45/b0482d450a272630a95094fa224302e4.jpg)
何故かはわからないが、ドイツへは初めて来た気がせず、
その感覚はドイツを離れるまで抜けなかった。
沿線の光景に、渋谷で見たような落書きの群れや、
東北を思わせる穀倉地帯のなだらかな風景が続いていた
せいなのかもしれない。
夏至間近の太陽は高く、ヨーロッパの空は日本の空より
青さが深い。
緑多きドイツののどかな風景は、単調との評判からは
全く遠いもののように思われた。
緩やかな地平に鮮やかに照り映える大地の色彩の透明度が、
日本のそれとは明らかに異なっていたからだ。
*************************
18時20分、カッセル着。
駅のすぐそばのホテルへと向かう道にも、
こちらに奇妙な視線を投げかける貧しいひとがいる。
チェックインの際、危うくゲイのカップルと間違われて
同じ部屋に押し込まれそうになったのを、
話が違うぞ、と啖呵を切って、ツインシングルユースに
割り当てさせた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/9e/f9042340159c65658bf36b75e0413597.jpg)
食事のため、街へ出たが、
どこも土曜日で、閉まっている。
仕方がないので、駅付近のスーパーで
ビール、パン、ピクルス、チーズ、ハム、ソーセージを
買い込んで、ホテルの部屋で食べることにした。
それにしても、物価が安い。
ビール1本が、85セントである。
ミネラルウォーター1.5Lは70セント。
チーズは2ユーロ少々。
2人分、満腹になるほどの分を買って、1500円ほども
しなかったように記憶している。
それにしても、ドイツ北部の人間は身体が本当に大きい。
180cmと178cmの、横幅も割とある日本人2人が
完全に見劣りする。
200cm、100kg以上であろう人々の群れを観て、
正直なところ、若干、委縮した。
21時に食事を終え、ゆっくり疲れを取ることにしたものの、
白夜のドイツの日没は22時である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/57/9b259ae641b23f1b3818439cae1542f4.jpg)
当然、全く眠る気にならず、テレビを点けたところ、
ドイツ版の「演歌の花道」ともいうべき、チープな電子音の
伴奏に、やたら気取ってはいるがどうにも田舎臭いドイツ男が
川辺や岸辺で歌っている番組が目に飛び込んできた。
彼らはずっとカメラ目線で、口パク丸わかりのふるまいである。
何だこれは、と、チャンネルを変えると、日本では絶滅した
深夜のヌード番組が流れている。
どうやらツーショットダイヤルの宣伝番組らしい。
10代から60代、スリムからファット、あるいはゲイ、と
ありとあらゆるジャンルに対応している。
適当にチャンネルを回しているうち、時刻は0時を回った。
しかし、時差を考えれば、日本では朝である。
全く眠る気になれない。
画面には、中条きよし、清水健太郎、松田聖子が
ドイツ語を話すやくざ映画が流れていた。
成田出発後、眠ったと言えば、機内での1時間ほどだけで、
あとは6月18日の朝から殆ど眠っていない。
結局、一睡も出来ずに、朝になった。
これが、この後、僕の身体に大きく響くことになる。
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