徳島県の1河川に偶然迷い込んだ一頭のアザラシの死を
近隣の老若男女が悼み、涙し、花さえ供える光景を伝える
ニュースを見た。
大阪・西成区役所のある職員は、1年に2,3度、
行き倒れた路上生活者や日雇い労働者の、黒紫色に変色して
いまそこに腐敗しつつある屍体に出くわすそうだ。
誰にも看取られずに、埃と泥と垢と排泄物にまみれた襤褸に
侵食されていく、「かつて人間であったもの」は、
大阪市の職員 . . . 本文を読む
鋼鉄の橋が捻じれ曲がり
焔立つ祈りから崩れ落ちるのを守るために
狂おしく僕の骨が燃える
地底湖から血液が渦を巻いて飛龍のごとく上昇し
この脊髄を洗い 叫び 口から噴出し
ちりちりと 燐粉が 漆黒の闇に明滅する
ああ、たったいま死を超える速度で破壊される僕を見てくれ
巨樹の樹皮のような疱瘡に覆われて
化身を引き伸ばしながら その内側へと巻き込まれる
僕の顔 仮面
この裂け目から覗い . . . 本文を読む
そして、ありがとう。
これ以上は、ちょっと言葉に出来ません。
中央道の車中で、いろいろなことを思い返して、
込み上げるものを堪えきれなくなって、
誰にも見られぬよう、そっと涙を拭いました。
ほんとうにありがとう。
そして、おめでとう。
また、会いましょう。 . . . 本文を読む
死者の魂が還る、とされる日を前にして、
86歳となった祖母は座敷に盆提灯を掛けた。
僕は納戸の奥に納められた先祖代々伝わる日本刀を磨き、
清めの酒を吹きつけ、鞘に収める。
生きていれば88歳である祖父の遺影の前に
冷の天狗舞の杯を置き、一献。
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中学3年の夏、盆過ぎの、
父親が出張で不在の暑い日の夜のこと。
祖母が、我 . . . 本文を読む
「人権について考える会」というものに、公職にあるものは
月に一度は参加することになっている。
その日講師として招かれた女性は、1980年生まれ、一昨年
愛する人と結ばれた経歴を持つひとだった。
会が終わったあとで、何気なく会話しているうちに
ボブ・マーリーやCOCCOの話になり、
JAZZの話などしているうちにEGO-WRAPPINなる
名前が出てきたり、と、いうことで意気投合して、
亭主 . . . 本文を読む