俗に、甲斐性なしという言葉がある。
辞書を引くと、この言葉の意味するところは、
① 働きや才覚に乏しく、頼りにならないこと。
② 経済力が無く、養う力のないこと。
③ ①、②に該当する人のこと。
これら、3つであるようだ。
つまりは、「デキないやつ」といったところなのだろうが、
辞書を読む限りは、自分自身にも甲斐性があるか否か、
特に②の面で、疑わしくもなってくる。
ただし、この言葉 . . . 本文を読む
うだるような暑さの中を、ほんの僅かの湿り気と
涼しさを含んだ風が吹き抜けていく、
発光する夕刻。
春日を歩き、本郷を歩き、銀座を歩き、
指先じんじん、触・障・振・震、ときおり雨降る。
幸いにして、今宵は月夜。
「古き寺、古き社、神の森、仏の丘を掩うて、
いそぐ事を解せぬ京の日はようやく暮れた。
倦怠るい夕べである。消えて行くすべてのものの上に、
星ばかり取り残されて、それすらも判然とは . . . 本文を読む