そうか
ぼくたちは鼓膜の上に立てばよかったのか
そうしさえすれば あの
人間のこころをふみつぶしたときの
あの 名状しがたいいやな音を
聴かずともすんだのに
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今日 桜花に雪の散り掛かる朝
同じ天候の下に24年前に生まれた妹が
新しい生活のために大阪へと移り住んだ
赤く爛熟した、庭のセンリョウの実を
ヒヨドリやメジ . . . 本文を読む
「愛するものが死んだ時には、
自殺しなけあなりません。
愛するものが死んだ時には
それより他に、方法がない。
けれどもそれでも、業(?)が深くて、
なほもながらふことともなったら、
奉仕の気持に、なることなんです。
奉仕の気持に、なることなんです。」
(中原中也 『春日狂想』から)
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昨日 . . . 本文を読む
この一年に読んだもののうち、主だったものを
整理してみると、
<文学・詩・エッセイ>
泉鏡花、夢野久作、大江健三郎、永井荷風、
町田康、山田風太郎、埴谷雄高、武田泰淳、
梶井基次郎、吉行淳之介、安部公房、
谷崎潤一郎、宮沢賢治、吉増剛造、藤井貞和、
芥川龍之介、稲垣足穂、ドストエフスキー、
ジョイス
<思想・評論>
小林秀雄、江藤淳、中島梓、花田清輝、
. . . 本文を読む
「詩を書く人は
いつも宙に浮いている
どこにいったいそんな浮力があるのか
だれにも分らない
詩を書く人は
ピアノを弾く人に少し似ている
かれの頭脳がキイを選択するまえに
もう手が動いているのだ
手がかれを先導する
手は音につかまれて遁れられないのだ
それで手はあんなにもがいているのさ
音が手をみちびき
手は音から遁れようとしながら
彼を引きずって行く どこへ
い . . . 本文を読む
雪降る一日、何をする気力も起きず、
横になってすごした。
不信感と無力感、虚脱感、取り残される感覚、
おきざられる感覚。
拒絶と途絶、隔絶を受ける感覚。
他人の幸福ばかりが、聞こえてくる。
過去の記憶にうなされ、現状の惨めさにうなされ、
未来には闇しか見えず、生きるということへの
意欲が、時折、ぼんやりする。
属していた社会、ひとびと、財産、地位、
あらゆるものがもうぼやけている。
すべてが遠くな . . . 本文を読む
土曜夕刻、知り合いの数学者から連絡が入り、
日曜を名古屋を遊覧することに。
3時前、高島屋前時計台にて邂逅。
名古屋らしいものを見たいという希望に沿い、
まず、トヨタ新本社ビル建設現場を眺める。
JRのツインタワーよりも1m高いという
せせこましい話題から入り、
そのうち愛知県はトヨタ県となり
日本から独立する、などと話しつつ、
名鉄メルサ前に犬を寝かせて募金を呼びかける
人々を、とりあ . . . 本文を読む
「こんにゃく問答」という落語がある。
久しく無人となっていた寺に、
ある流れ者が住み込むことになった。
寺に住むということは当然、住職をつとめる、と
いうことなのだが、
この男は道楽者の成れの果て、お経のひとつも
読むことができない、インチキ坊主である。
なぜこんな男が住職を勤められるのかというと、
誰も住むものがいないのでは寺は荒れるばかり、
これではいけない、体面上、住職は . . . 本文を読む
京都龍安寺の庭は、日本が誇るべき、日本の精神文化の
象徴として世界に広く知られているが、
これはかつて、彫刻家イサム・ノグチが、
「無を表現するにはこれだけの石が必要なのです」
という、ある仏教哲学者の言葉に感銘を受け、
この庭を外国(特にアメリカ)に広く紹介したためである。
実は、この仏教哲学者は、
西洋哲学に非常に大きな影響を受けていた。
西洋の思想を「有」の思想、東洋の思想を「無」 . . . 本文を読む