白河夜舟

水盤に沈む光る音の銀砂

桜雪

2006-03-30 | 日常、思うこと
そうか ぼくたちは鼓膜の上に立てばよかったのか そうしさえすれば あの 人間のこころをふみつぶしたときの あの 名状しがたいいやな音を 聴かずともすんだのに ********************** 今日 桜花に雪の散り掛かる朝 同じ天候の下に24年前に生まれた妹が 新しい生活のために大阪へと移り住んだ 赤く爛熟した、庭のセンリョウの実を ヒヨドリやメジ . . . 本文を読む

travel

2006-03-28 | 公開書簡
「愛するものが死んだ時には、  自殺しなけあなりません。  愛するものが死んだ時には  それより他に、方法がない。  けれどもそれでも、業(?)が深くて、  なほもながらふことともなったら、  奉仕の気持に、なることなんです。  奉仕の気持に、なることなんです。」         (中原中也 『春日狂想』から) ************************** 昨日 . . . 本文を読む

めがねっ子デビュー

2006-03-18 | 日常、思うこと
この一年に読んだもののうち、主だったものを 整理してみると、 <文学・詩・エッセイ>   泉鏡花、夢野久作、大江健三郎、永井荷風、   町田康、山田風太郎、埴谷雄高、武田泰淳、   梶井基次郎、吉行淳之介、安部公房、   谷崎潤一郎、宮沢賢治、吉増剛造、藤井貞和、   芥川龍之介、稲垣足穂、ドストエフスキー、   ジョイス <思想・評論>   小林秀雄、江藤淳、中島梓、花田清輝、    . . . 本文を読む

jouer

2006-03-15 | 音について、思うこと
「詩を書く人は いつも宙に浮いている どこにいったいそんな浮力があるのか だれにも分らない     詩を書く人は ピアノを弾く人に少し似ている かれの頭脳がキイを選択するまえに もう手が動いているのだ     手がかれを先導する 手は音につかまれて遁れられないのだ それで手はあんなにもがいているのさ      音が手をみちびき 手は音から遁れようとしながら 彼を引きずって行く どこへ     い . . . 本文を読む

春の雪

2006-03-13 | 日常、思うこと
雪降る一日、何をする気力も起きず、 横になってすごした。 不信感と無力感、虚脱感、取り残される感覚、 おきざられる感覚。 拒絶と途絶、隔絶を受ける感覚。 他人の幸福ばかりが、聞こえてくる。 過去の記憶にうなされ、現状の惨めさにうなされ、 未来には闇しか見えず、生きるということへの 意欲が、時折、ぼんやりする。 属していた社会、ひとびと、財産、地位、 あらゆるものがもうぼやけている。 すべてが遠くな . . . 本文を読む

名古屋にて

2006-03-07 | 日常、思うこと
土曜夕刻、知り合いの数学者から連絡が入り、 日曜を名古屋を遊覧することに。 3時前、高島屋前時計台にて邂逅。 名古屋らしいものを見たいという希望に沿い、 まず、トヨタ新本社ビル建設現場を眺める。 JRのツインタワーよりも1m高いという せせこましい話題から入り、 そのうち愛知県はトヨタ県となり 日本から独立する、などと話しつつ、 名鉄メルサ前に犬を寝かせて募金を呼びかける 人々を、とりあ . . . 本文を読む

誤読の可能性 (前)

2006-03-04 | 哲学・評論的に、思うこと
「こんにゃく問答」という落語がある。 久しく無人となっていた寺に、 ある流れ者が住み込むことになった。 寺に住むということは当然、住職をつとめる、と いうことなのだが、 この男は道楽者の成れの果て、お経のひとつも 読むことができない、インチキ坊主である。 なぜこんな男が住職を勤められるのかというと、 誰も住むものがいないのでは寺は荒れるばかり、 これではいけない、体面上、住職は . . . 本文を読む

誤読の可能性 (後)

2006-03-04 | 哲学・評論的に、思うこと
京都龍安寺の庭は、日本が誇るべき、日本の精神文化の 象徴として世界に広く知られているが、 これはかつて、彫刻家イサム・ノグチが、 「無を表現するにはこれだけの石が必要なのです」 という、ある仏教哲学者の言葉に感銘を受け、 この庭を外国(特にアメリカ)に広く紹介したためである。 実は、この仏教哲学者は、 西洋哲学に非常に大きな影響を受けていた。 西洋の思想を「有」の思想、東洋の思想を「無」 . . . 本文を読む