父母が頑張ったのでもなく、契の杯を交わしたのでもなく、 . . . 本文を読む
グラクソスミスクライン・デルモベートを
両の腕の皮膚に塗布してから
紫外線の直接照射を防ぐために長袖を着て、
人いきれに咽かえる丸ノ内線に乗っていたときは
腕に茸でも生えやしないかと、少しく不安になった。
細かな水泡が、あちらこちらに出来ていたためで、
これまでいくら酷い陽焼けをしても、疼痛こそあれ
赤黒い半球を生じるようなことはなかったから。
幸いにして、台風が東京に運び込んだ大量の蒸 . . . 本文を読む
長野の田舎を、ひとり、丸2日かけて旅してきた。
生わさびをつけて味わう十割蕎麦の香りと
どろりと白濁した蕎麦湯の味わいから始めて、
江戸期の古民家や蚕室を見て回り、
室町期禅宗様の御堂に参り、
思い切ってさまざまのひとびとに話し掛けて
磯崎新やシュペーアの話題で盛りあがり、
妻籠宿の町並み保存を行った80歳の古老に会い、
偶然出くわした新聞記者と音楽の話で意気投合し、
碧空を渡る風が広大な栗林の葉 . . . 本文を読む
赤坂で朝まで騒いでいたせいで喉が痛いのだ、
ああ、自業自得だな、と解釈して、先週ずっと
青森に出張していたのだが、
水曜から俄かに熱が出て、左下顎部リンパ節が
腫れてきたばかりでなく、
唾を飲んでも欠伸をしても寝返りしても、
つまりは首に何がしか負荷を掛けようものなら
激痛が走る、という状況に至り、
わずかな空き時間を見つけて医者に駆け込むと
東京で見てもらったほうがいいですね、
早く出張を切り上 . . . 本文を読む