帰省してきた妹と、たまたま阿部寛氏の結婚の話題となった。
妹に言わせると、どうやら兄としての僕の姿は、彼の演じた
「結婚できない男」というドラマの主人公の鏡写しのように
見えるらしい。
諍いになりそうなところをぐっとこらえて話を続けて聞くと、
妹は、これが結婚できない男の諸条件らしいよ、といって、
リクルートワークスの大久保幸夫氏がMSNに寄せた記事に
掲載されたいくつかの質問項目の載ったチェックリストを使って
パソコンの前に座り、僕を診断し始めた。
質問を終えて出された診断結果をみて、図星を突かれた人間が
笑うときの、あの虚勢とも諦めとも開き直りともつかぬ、
やや引き攣った高い笑いのあとに、妹は軽くため息をついて、
おにいちゃん、やばいって、と言った。
交際相手が2年以上おらず、家族と同居しており、
自分の時間を大切にし、趣味に相当な時間と金銭を投入し、
現在の生活流儀を変えるということを考えたことがなく、
残業や休日出勤が多く、物事の決断には比較検討を欠かさず、
ひとことが余計な性格であり、趣味の同好者と入る時間が長く、
結婚についてあまり真剣に考えたことがない、というのは
まさに、結婚できない条件だというのである。
ここまでは僕も軽く聞き流していたのだが、
例の阿部寛氏が演じていたドラマのキャラクターというのを
妹から聞くうちに、これは我がことではないだろうか、と、
なんだか問題が突如シリアスなことに思われてきた。
阿部寛氏が演じたキャラクターというのは、こうである。
・ 国立大を卒業している
・ いったん没入すると周囲が全くみえなくなる
・ ものごとへのこだわりが強すぎる
・ 「自分の世界」への他者の侵入を極端に嫌う
・ 仕事は滅多に妥協しない
・ 「どうしても」と頼まれると断れない
・ 偏屈で皮肉
・ 面倒だとして団体行動を避ける
・ 単独で行動することが多いが寂しがり屋である
・ 食事やショッピングは1人
・ 若い女性とデートをすると有頂天になる
・ 自分の家に他人を入れようとしない
・ 花柄が嫌い
・ 音楽を聴いていると思わず身ぶりが大きくなる
・ 好きなものを語り始めるととまらない
この主人公の職業は建築家で帆船模型を制作するのが趣味と
設定されているが、
僕の父親も建築家であり現在帆船模型作りに勤しんでいる。
先日も、父親がある図面を見せてきた。
何でも、地上デジタル放送の電波の受信状況を確認しようと
したのだそうだが、
瀬戸市にある瀬戸デジタルタワーから、僕の実家までの地図を
縮尺2万5千分の1という巨大なスケールで印刷して繋ぎ、
瀬戸デジタルタワーと名古屋テレビ塔とのそれぞれから
送出される電波の角度を割り出して製図したものを見せて
事細かに角度のずれと、誤差を算出したうえで、
やや誇らしげに説明を数分にわたって行う父親の姿に
正直、なんだこの人は、という戸惑いを覚えた。
***********************
確かに職人気質の人間というのは、微細への入念な手入れや
こだわりというのが強い。
そうでなければ、こまやかな仕上がりを有する仕事など
出来るはずもないのである。
もちろん、こだわりが過ぎ、マニエリスムの罠に陥って
全体としての調和や統一を損なってしまうことも
職人のなかにはあるにはあるが、
いささか偏執的とも思われるような仕事ぶりのほうが、
傾注された労力においても出来においても長じている。
物事の価値判断の基準によって、パーソナリティの評価も
違ってくるのは当然の話である。
ひとつの尺度で、独断的に物事を短絡的に判断するのは
球を正面から見て、どこからどう見ても円であるから
一方向から見ればわかる、というのと同じようなもので、
球の正面がそもそもどこにあるのかを問わないような、
思慮の足りない、ばかげたことである。
確かに、職人気質の人間にもそうした人間もいるが、
仕事と結婚を同じ尺度で見ようとする側の人間のほうに
そうした人間の絶対数は多い。
もっとも、世の趨勢が消費文化の表面しか見ずに、
思慮の足りぬ独断を評論だとして受容してしまうような
浅はかな方角へと流れているのだから仕方がない。
さりながら、そうした時勢には寛容になれないのだから
こちらとしても息が苦しい。
みなが消費者として、自らの欲求に素直になるあまりに
サービス業のみならず、ものづくりの人間にまでも
いちゃもんをつけてしまっては、
物事にこだわろうとする職人は仕事が嫌になってしまう。
人間は満足してしまっては死ぬよりほかがないのだから、
自分の不満というものにもう少し寛容であれるだけの
理性的な判断が出来なければならないと思うのだが、
いかんせん人間には生まれ持った宿業があり、
まわりに毒されていく時空の流れがあるのだから
それも仕方のないことだろうか。
一つの価値基準で持って、こだわりというものを
否定しきってしまうのは、
自分にはものを見るのにたった一つの基準しかなく、
何事にもこだわりがなく、短絡的で浅はかな判断しか
(それは判断ですらない)
できません、と触れ歩いているような、
大変に恥ずかしいことである。
もっとも、恥、ということが何であるのかをしっかりと
見つめたことがなければ、それも難しいことだろう。
恥とは、自分の影の部分をしっかりと見つめることで
知ることが出来るもので、恥に耐えうるためには節度を
学び、振る舞いに生かしていかねばならないからだ。
・ ・・という具合に、偏屈で、皮肉な文章は続く。
これで音楽でも話し始めれば、文章量も3倍以上になる。
それは避けよう。
**********************
というわけで、ブリティッシュトラッドのスーツを
オーダーで誂え、イタリア製の鞄も購入してはみたものの、
どうせならきちんとしたものを一気に揃えよう、
だてめがねも一本では足りないし、靴もストレートチップの
いいものを、と考えた。
この時点で、すでに物事へのこだわりが強く出ている。
物を選ぶのに妥協を忘れてしまったようでもある。
恥を知り、節度ある振る舞いをするうえで、自己投資は決して
惜しむべきではない、という自意識過剰の罠に陥ってもいる。
眼鏡会社に務めるIllyから、「是非来てください」という
内覧会への招待状が届いていたこともあって、
先日そちらへ赴いた。
もちろん、ひとりでの買い物である。
会場ではillyがずっと接客をしてくれた。
色白だし、鼻も高いからなかなか似合う人がいないんです、
でもLanonymatさんなら絶対似合うと思うんですけど、
これ掛けてみてくれますか、と、illyはあるサングラスを
出してきた。
掛けてみると、僕にはまるで無理して社会に順応しようとした
井上陽水のように見えたのだけれども、
彼女にとってはあまりの予想通りのベタな似合い具合だったのか、
illyは思わず横を向いて笑い出してしまった。
1時間ほどのフィッティングの後、Illyにすすめられるがままに、
less than humanともう一本、名前を失念したが、計2本を誂えた。
まるで「生まれつき」のような似合い具合のものが揃った。
これも自意識過剰の罠か。
**********************
Illyに謝意を伝えて会場を後にし、そのまま三越やラシック、
松坂屋へ赴いて、
クロケット&ジョーンズ、チーニー、スコッチグレイン、グレンソン、
ヤンコ、ジョンストン&マーフィーなどを試した。
エドワード・グリーンやジョン・ロブにはさすがに手は出ない。
松坂屋では、何とも品のない目元口元をした軽薄な男が
驚くほどの美貌の妻と乳児を連れ、
店員を顎で使いながら、スタイリッシュな動きを俺がしたら
靴がちょっと立ち遅れて見えるから、これは合わない、などと
傍若無人に歩き回り、時折知識をひけらかして話していた。
気障のつもりだろうが、こちらからみればまるで盛りのついた
雄鶏が襟羽を立てて慌しく右往左往しているそれである。
あれでは父の素性を知らぬ乳飲み子がかわいそうである。
俺は何でも知っているぞ、金もあるぞ、というような振る舞いの
何たる重みのなさと品のなさであろう。
傍らの妻はいちおうしおらしく、子供を時折気にも掛けていたが、
いくら美貌の妻でも、あの旦那では、と、他人ながら思った。
雄鶏一家が去るのを待って、徐に店員に声を掛けて
来訪の目的と探している商品、予算を告げた。
履いている靴の型崩れの具合、自分の足の型の特徴を告げれば
話も早く進む。
日本人の場合、欧米人に比較して足の幅はやや広く、甲はやや高い。
だからといって、国産靴が合うかといえば、そうでもない。
足馴染み、仕事の丁寧さなども考慮して、グレンソンのLONDONを
今回は購入することとした。
************************
帰途、最寄の成城石井にて手取川大吟醸を購入し、
トカイワインを入荷してもらえるとありがたい、と
店長に伝えて、帰途についた。
ここまでの経緯を振り返ってみても、やはりどうにも偏屈で
あることは、どうにも否定しがたいようだ。
さりながら、昨日、足の怪我によって歩行が困難になった
祖母のために、シルバーカーを購入してプレゼントしたのだが、
一応は、祖母の好きな花柄を選んでおいた。
自分では絶対に買わないものではある。
祖母はうれしそうに、こちらの顔を見るたびにありがとう、と
言って来るのだけれども、
なんとなく照れくさくもあり、なんとも恥ずかしい気もする。
**************************
さて、リクルートワークスの大久保幸夫氏が挙げた
「結婚できない男」は、以下のようなひとだそうである。
1、年齢の割に子どもっぽい
2、自分のお金や時間を、趣味に相当費やしている
3、相手の幸せより自分の幸せを第一に考える
4、ライフデザインを自分だけで決定している
5、結婚だけでなく、物事全般に対する決断力に欠ける
妹に毒されたか、消費優先社会の価値観に毒されたか、
自分自身がどうにも、全てに当てはまっているように思われる。
そう思わせれば向こう側の思う壺、
僕自身が新たなマーケティングターゲットとなっていく。
これではいかん、と、相反するほうへと行こうとすると、
今度はそちら側にも、ちゃんとマーケットが準備されていて、
じゃあ地下へ、となると、アングラマーケットが既にある。
市場を上手に歩くのは思いのほかに難しい。
月に一度は大阪に行き、
ひとりでリッツに泊まり、マデイラやトカイや吟醸酒を好み、
文学と哲学思想にかぶれ、ピアノばかり弾いていて、
無邪気にはしゃいでいてはまずいとも考えないわけでもない。
両親は兎角機会があるたびに結婚しろ結婚しろと口うるさい。
かのお見合い相手は今ごろどうしているかしら。
そして大切なひとは今ごろどうしているかしら。
邪魔をしたくもないあまり、どんどん遠くなっていく。
遠い便りも絶え果てた。
こうして毎日、日が暮れる。
あかんではないか。
妹に言わせると、どうやら兄としての僕の姿は、彼の演じた
「結婚できない男」というドラマの主人公の鏡写しのように
見えるらしい。
諍いになりそうなところをぐっとこらえて話を続けて聞くと、
妹は、これが結婚できない男の諸条件らしいよ、といって、
リクルートワークスの大久保幸夫氏がMSNに寄せた記事に
掲載されたいくつかの質問項目の載ったチェックリストを使って
パソコンの前に座り、僕を診断し始めた。
質問を終えて出された診断結果をみて、図星を突かれた人間が
笑うときの、あの虚勢とも諦めとも開き直りともつかぬ、
やや引き攣った高い笑いのあとに、妹は軽くため息をついて、
おにいちゃん、やばいって、と言った。
交際相手が2年以上おらず、家族と同居しており、
自分の時間を大切にし、趣味に相当な時間と金銭を投入し、
現在の生活流儀を変えるということを考えたことがなく、
残業や休日出勤が多く、物事の決断には比較検討を欠かさず、
ひとことが余計な性格であり、趣味の同好者と入る時間が長く、
結婚についてあまり真剣に考えたことがない、というのは
まさに、結婚できない条件だというのである。
ここまでは僕も軽く聞き流していたのだが、
例の阿部寛氏が演じていたドラマのキャラクターというのを
妹から聞くうちに、これは我がことではないだろうか、と、
なんだか問題が突如シリアスなことに思われてきた。
阿部寛氏が演じたキャラクターというのは、こうである。
・ 国立大を卒業している
・ いったん没入すると周囲が全くみえなくなる
・ ものごとへのこだわりが強すぎる
・ 「自分の世界」への他者の侵入を極端に嫌う
・ 仕事は滅多に妥協しない
・ 「どうしても」と頼まれると断れない
・ 偏屈で皮肉
・ 面倒だとして団体行動を避ける
・ 単独で行動することが多いが寂しがり屋である
・ 食事やショッピングは1人
・ 若い女性とデートをすると有頂天になる
・ 自分の家に他人を入れようとしない
・ 花柄が嫌い
・ 音楽を聴いていると思わず身ぶりが大きくなる
・ 好きなものを語り始めるととまらない
この主人公の職業は建築家で帆船模型を制作するのが趣味と
設定されているが、
僕の父親も建築家であり現在帆船模型作りに勤しんでいる。
先日も、父親がある図面を見せてきた。
何でも、地上デジタル放送の電波の受信状況を確認しようと
したのだそうだが、
瀬戸市にある瀬戸デジタルタワーから、僕の実家までの地図を
縮尺2万5千分の1という巨大なスケールで印刷して繋ぎ、
瀬戸デジタルタワーと名古屋テレビ塔とのそれぞれから
送出される電波の角度を割り出して製図したものを見せて
事細かに角度のずれと、誤差を算出したうえで、
やや誇らしげに説明を数分にわたって行う父親の姿に
正直、なんだこの人は、という戸惑いを覚えた。
***********************
確かに職人気質の人間というのは、微細への入念な手入れや
こだわりというのが強い。
そうでなければ、こまやかな仕上がりを有する仕事など
出来るはずもないのである。
もちろん、こだわりが過ぎ、マニエリスムの罠に陥って
全体としての調和や統一を損なってしまうことも
職人のなかにはあるにはあるが、
いささか偏執的とも思われるような仕事ぶりのほうが、
傾注された労力においても出来においても長じている。
物事の価値判断の基準によって、パーソナリティの評価も
違ってくるのは当然の話である。
ひとつの尺度で、独断的に物事を短絡的に判断するのは
球を正面から見て、どこからどう見ても円であるから
一方向から見ればわかる、というのと同じようなもので、
球の正面がそもそもどこにあるのかを問わないような、
思慮の足りない、ばかげたことである。
確かに、職人気質の人間にもそうした人間もいるが、
仕事と結婚を同じ尺度で見ようとする側の人間のほうに
そうした人間の絶対数は多い。
もっとも、世の趨勢が消費文化の表面しか見ずに、
思慮の足りぬ独断を評論だとして受容してしまうような
浅はかな方角へと流れているのだから仕方がない。
さりながら、そうした時勢には寛容になれないのだから
こちらとしても息が苦しい。
みなが消費者として、自らの欲求に素直になるあまりに
サービス業のみならず、ものづくりの人間にまでも
いちゃもんをつけてしまっては、
物事にこだわろうとする職人は仕事が嫌になってしまう。
人間は満足してしまっては死ぬよりほかがないのだから、
自分の不満というものにもう少し寛容であれるだけの
理性的な判断が出来なければならないと思うのだが、
いかんせん人間には生まれ持った宿業があり、
まわりに毒されていく時空の流れがあるのだから
それも仕方のないことだろうか。
一つの価値基準で持って、こだわりというものを
否定しきってしまうのは、
自分にはものを見るのにたった一つの基準しかなく、
何事にもこだわりがなく、短絡的で浅はかな判断しか
(それは判断ですらない)
できません、と触れ歩いているような、
大変に恥ずかしいことである。
もっとも、恥、ということが何であるのかをしっかりと
見つめたことがなければ、それも難しいことだろう。
恥とは、自分の影の部分をしっかりと見つめることで
知ることが出来るもので、恥に耐えうるためには節度を
学び、振る舞いに生かしていかねばならないからだ。
・ ・・という具合に、偏屈で、皮肉な文章は続く。
これで音楽でも話し始めれば、文章量も3倍以上になる。
それは避けよう。
**********************
というわけで、ブリティッシュトラッドのスーツを
オーダーで誂え、イタリア製の鞄も購入してはみたものの、
どうせならきちんとしたものを一気に揃えよう、
だてめがねも一本では足りないし、靴もストレートチップの
いいものを、と考えた。
この時点で、すでに物事へのこだわりが強く出ている。
物を選ぶのに妥協を忘れてしまったようでもある。
恥を知り、節度ある振る舞いをするうえで、自己投資は決して
惜しむべきではない、という自意識過剰の罠に陥ってもいる。
眼鏡会社に務めるIllyから、「是非来てください」という
内覧会への招待状が届いていたこともあって、
先日そちらへ赴いた。
もちろん、ひとりでの買い物である。
会場ではillyがずっと接客をしてくれた。
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井上陽水のように見えたのだけれども、
彼女にとってはあまりの予想通りのベタな似合い具合だったのか、
illyは思わず横を向いて笑い出してしまった。
1時間ほどのフィッティングの後、Illyにすすめられるがままに、
less than humanともう一本、名前を失念したが、計2本を誂えた。
まるで「生まれつき」のような似合い具合のものが揃った。
これも自意識過剰の罠か。
**********************
Illyに謝意を伝えて会場を後にし、そのまま三越やラシック、
松坂屋へ赴いて、
クロケット&ジョーンズ、チーニー、スコッチグレイン、グレンソン、
ヤンコ、ジョンストン&マーフィーなどを試した。
エドワード・グリーンやジョン・ロブにはさすがに手は出ない。
松坂屋では、何とも品のない目元口元をした軽薄な男が
驚くほどの美貌の妻と乳児を連れ、
店員を顎で使いながら、スタイリッシュな動きを俺がしたら
靴がちょっと立ち遅れて見えるから、これは合わない、などと
傍若無人に歩き回り、時折知識をひけらかして話していた。
気障のつもりだろうが、こちらからみればまるで盛りのついた
雄鶏が襟羽を立てて慌しく右往左往しているそれである。
あれでは父の素性を知らぬ乳飲み子がかわいそうである。
俺は何でも知っているぞ、金もあるぞ、というような振る舞いの
何たる重みのなさと品のなさであろう。
傍らの妻はいちおうしおらしく、子供を時折気にも掛けていたが、
いくら美貌の妻でも、あの旦那では、と、他人ながら思った。
雄鶏一家が去るのを待って、徐に店員に声を掛けて
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履いている靴の型崩れの具合、自分の足の型の特徴を告げれば
話も早く進む。
日本人の場合、欧米人に比較して足の幅はやや広く、甲はやや高い。
だからといって、国産靴が合うかといえば、そうでもない。
足馴染み、仕事の丁寧さなども考慮して、グレンソンのLONDONを
今回は購入することとした。
************************
帰途、最寄の成城石井にて手取川大吟醸を購入し、
トカイワインを入荷してもらえるとありがたい、と
店長に伝えて、帰途についた。
ここまでの経緯を振り返ってみても、やはりどうにも偏屈で
あることは、どうにも否定しがたいようだ。
さりながら、昨日、足の怪我によって歩行が困難になった
祖母のために、シルバーカーを購入してプレゼントしたのだが、
一応は、祖母の好きな花柄を選んでおいた。
自分では絶対に買わないものではある。
祖母はうれしそうに、こちらの顔を見るたびにありがとう、と
言って来るのだけれども、
なんとなく照れくさくもあり、なんとも恥ずかしい気もする。
**************************
さて、リクルートワークスの大久保幸夫氏が挙げた
「結婚できない男」は、以下のようなひとだそうである。
1、年齢の割に子どもっぽい
2、自分のお金や時間を、趣味に相当費やしている
3、相手の幸せより自分の幸せを第一に考える
4、ライフデザインを自分だけで決定している
5、結婚だけでなく、物事全般に対する決断力に欠ける
妹に毒されたか、消費優先社会の価値観に毒されたか、
自分自身がどうにも、全てに当てはまっているように思われる。
そう思わせれば向こう側の思う壺、
僕自身が新たなマーケティングターゲットとなっていく。
これではいかん、と、相反するほうへと行こうとすると、
今度はそちら側にも、ちゃんとマーケットが準備されていて、
じゃあ地下へ、となると、アングラマーケットが既にある。
市場を上手に歩くのは思いのほかに難しい。
月に一度は大阪に行き、
ひとりでリッツに泊まり、マデイラやトカイや吟醸酒を好み、
文学と哲学思想にかぶれ、ピアノばかり弾いていて、
無邪気にはしゃいでいてはまずいとも考えないわけでもない。
両親は兎角機会があるたびに結婚しろ結婚しろと口うるさい。
かのお見合い相手は今ごろどうしているかしら。
そして大切なひとは今ごろどうしているかしら。
邪魔をしたくもないあまり、どんどん遠くなっていく。
遠い便りも絶え果てた。
こうして毎日、日が暮れる。
あかんではないか。
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