紺青小鉢

ミニマムな和の空間で、日本の伝統文化を再発見

茶碗の中の宇宙

2017年03月24日 | 美術館・博物館
薄暗い展示室。ガラスケースに収められた黒樂茶碗。この暗さはあの「待庵」の茶室のよう。ほのかな灯りに照らされた地肌。コポコポと湯の沸く音...。え、これで飲んでいいんですか!?(妄想)。
千利休が長次郎という男に作らせたのが始まりの樂焼。初代長次郎から続く樂家歴代の樂茶碗が一堂に揃う「茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術」展が、東京国立近代美術館で行われています。
薄暗い茶室の中でじっと黒樂茶碗に向き合う。手のひらで包み込んでみる...抹茶が入っていたらどんなにか。いろいろ想像するのが楽しいかと。ロクロじゃなくて手びねりだっていうのは聞いてましたが、それ以外はあまりよくわからない樂茶碗。来月には上野でも「茶の湯」展が開催されるので、この樂焼もぜひ見ておきたいと思いまして。
やはり初代長次郎の素朴な造形が好きですかね...赤樂茶碗や黒樂茶碗の銘『禿(かぶろ)』などが。二代常慶の獅子香炉は顔のつくりが面白い。三代道入の銘『青山』は淡い黄色のワンポイントが効いている作品。時代をずっと飛びまして、十四代覚入の赤樂茶碗銘『杉木立』のモダニズムにはシビれました。覚入から作風が大きく転換したような気もします。
粘土の表面を削る荒々しい造形の十五代吉左衞門。鮮やかな釉薬で色付けされた樂茶碗は、まるで鉱石の輝きを宿しているかのよう。革新的な作品がある一方で、フランスで焼いたというフランスRAKU茶碗もおしゃれ。
図録売ってますけど、5月に愛蔵版の図録も書店で発売されるようで。そっちの方が気になります。
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