渋谷・原宿のイベントから、NYCの仕事場に復帰して、3日目。まだまだ興奮は冷めやらず、仕事をしている間にも、あの素晴らしい展示会と、フィルム・コンサートの情景がよみがえってくる。
家に帰ったら、真っ先にパンフレットを開いて、素晴らしい写真の数々に見とれる自分がいる。そして、ところどころに綴られた美奈子さん自身の言葉をかみしめながら、彼女が歩んできた軌跡に、思いを馳せるのだ。
険しくても私だけの道、
― 美奈子.ロードを歩んでいきたいという気持ちは
デビューのときからありました。
その言葉通り、分岐点を迎えた時には、あえて困難な道を選び、そのたびに歌手として、人間として、大きく成長していった美奈子さん。志半ばにして病に倒れたとはいえ、まぎれもなく、人生の勝利者として、人々の記憶に残ることだろう。
今回のイベントを見て、ひとつ確信したことがある。
それは、「美奈子.ロード」は、まだ終わっていない。それどころか、これからも、永遠に続いていくということだ。
音楽史や美術史をひも解けばわかるように、本物の芸術が忘れ去られることは、絶対にない。時代が新しくなれば、そのたびに、新しい理解者が現われる。
美奈子さんの歌には、いかなる暗闇も突き抜け、まっすぐに心の琴線を直撃する力がある。自分は専門家ではないので、歌の技術的な面については、語ることはできないが、芸術というものは、まず「始めに感動ありき」だと思う。それ以外の理論は、あくまで、補足にすぎない。
フィルム・コンサートの終了後、多くの若い人たちが、涙ながらに会場をあとにしていくのを、自分は見た。心配はいらない。美奈子さんの伝説は、必ず、次の世代の人たちに受け継がれていくだろう。
今回の“舞輝(BUKI)”ツアーは、「2006-2007」と銘打たれているように、少なくとも、今年から来年にかけて、全国を巡回していく企画であるようだ。どうか、1人でも多くの人が、美奈子さんの素晴らしい歌に心を癒されることを、願うものである。
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