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『「臨死体験」が教えてくれた宇宙の仕組み』

2024年01月18日 23時00分00秒 | 書籍関係

[書籍紹介]

題名を見て、
えっ、臨死体験で宇宙の仕組みまで分かってしまったのか、
驚いて読んだ。

筆者は、怪しげな宗教団体の教祖などではなく、
夜な夜な空に望遠鏡を向け、
2つの彗星を発見し、行方不明だった彗星を再発見し、
彗星に名前を付けられただけでなく、
小惑星にも命名を許されたという、
れっきとした宇宙科学者
立花隆氏の著著「証言・臨死体験」にも
登場する人物だ。

目次は、

第一章 あの世はどうなっているのか~ 最初の臨死体験
第二章 あの世はどうなっているのか~ 二度目の臨死体験
第三章 「膨大な意識体」と宇宙が生まれたわけ
第四章 宇宙の誕生で見えてきた世界
第五章 私たちの使命とは何か
第六章 未来へ。新たによみがえる臨死体験の記憶

最初の臨死体験は、
22歳の自衛官時代、
生死をさまよう病気で、
死んだ経験をした。
2度目は、2009年、55歳の時、
皆既日食観測のため訪れた中国で倒れ、
1カ月の入院。
再び生死をさまよう経験をする。

その時、過去と未来に行き、
過去に自分の痕跡を残して、
後日、それを確認している。
また、見た未来の自分に
年齢的に到達する経験もし、
臨死体験の時に見た未来の光景を目にしている。
臨死体験は脳の機能が低下した時現れる
一種の幻覚作用だという説があるが、
過去と未来の痕跡は、
それを覆すものだ。

そして、脳死体験で得たのは、
宇宙が「膨大な意識体」という5次元の世界だということ。
人間は「膨大な意識体」から生れて来て、
再び「膨大な意識体」に戻っていくという感覚。
そして、「膨大な意識域体」に生じたひずみによって
宇宙が生じたということ。

これらは、様々な宗教家の到達した境地として、納得できる。
「膨大な意識体」から生れた生命、そして人間。
死んで意識だけになった時、
「膨大な意識体」に回帰する。
なるほど。

そこまでは納得出来るのだが、
そこから話がおかしな展開になる。

宇宙が出來、太陽が出來、地球が出來、
放射線物質が多かった地球に
放射線を栄養素とする生命が現れて、
放射線を食べて薄め、
二酸化炭素と光合成でエネルギーを作り出す藻が現れ、
酸素が出現し、
植物が作った酸素を使って動物が現れ、
細胞の中のミトコンドリアが、「意識」を作って
「膨大な意識体」とつながるようになる。

ミトコンドリア・・・細胞の中に存在する、
          細胞小器官の1 つ。

人間もミトコンドリアを使って、
言語なしに会話ができたのだが、
その能力を失ってしまった、と。

あらあら。
では、人間以外の動植物も「意識」を持っているのか。

そして、更に驚くべき理論が展開される。
1万5000年前まで地球には月がなく
巨大彗星が太陽に近づき、
太陽熱で溶かされた水分が
地球の引力に引っ張られて、
大量の水分が地球に降り注ぎ、
それによって
それまでに作られた人類の高度な文明が滅びてしまった
水分を失った巨大彗星は軽石のような塊になり、
地球の重力に引っ張られて、
地球の回りを周回する衛星になったのだと。
それまで全体の3分の1くらいしかなかった
地球の海は、拡大し、3分の2の今の状態になった。
それまで1日25時間だった地球の一日は、
月を持ったことで、1日24時間に縮まった。

洪水によって失った文明の生き残りは、
テレパシーの能力も失ってしまった。
そのかわりに「自我」を抱え込むことになり、
そこから、様々な争いが始まった。
洪水当時、地位の高い位の人たちは、
飛行体で地球を脱出し、
宇宙で生活している間に容貌を変えてしまった。
今、あちこちで発見されるUFOは、
その末裔かもしれない・・・

ここまで来ると、
手塚治虫描くところの「火の鳥」を彷彿とする。
SFの領域だ。
「膨大な意識」までで止めておけばよかったのに。

月がどの様につくられ、
地球を巡る様になったかについては、
○親子説(分裂説・出産説・娘説)
 自転による遠心力で、地球の一部が飛び出して月になったとする説。
○兄弟説(双子集積説・共成長説)
 月と地球は同じ材料物質から、同時に作られたとする説。
○他人説(捕獲説・配偶者説)
 別の場所で形成された月と地球が偶然接近した際、
 月が地球の引力に捉えられたとする説。
○巨大衝突説
 地球と他の天体との衝突によって飛散した物質が
 地球周回軌道上で集積して月ができたとする説
○複数衝突説
 月は1回の大規模衝突によって形成されたのではなく、
 微惑星の小さな衝突が20回程度繰り返されて
 月形成がなされたとする説

など諸説あり、まだ定説はない。
ただ、月の石の放射年代測定により
月が約45億5000万年前に誕生したこと、
月の高地が斜長岩からなることから
月はその歴史の初期に高温だったことが明らかとなっている。
しかし、月の正体が彗星だとしたら、
水が地球に全部取り込まれたはずはなく、
(彗星自体にも引力があるのだから)
残りの水分が月になけれはならない。
まして、そのような宇宙的大変動が
1万5000年前という、
宇宙的物差しでは最近の出来事だとしたら、
その余波があちこち残るはずで、
今のような地球と月の安定的関係はありえない。

まして、1万5000年前に高度な文明が出来ており、
その一部の人々が宇宙に旅立っていたなど、
荒唐無稽すぎる。

また、「膨大な意識体」のひずみが、
退屈によってもたらされた、
というのは、全くついていけない。

ここまで来ると、
新興宗教の教祖の「ご託宣」のレベルだ。

ただ、人類の使命は、
地球の生態系のバランスを調整することだ、
という結論は納得出来るし、
傾聴すべき意見だろう。

こういう見解は、
へたに科学を持ち出すと、
破綻してしまうので、
1万5000年前の月の誕生説、
ミトコンドリアによる「意識」形成と
テレパシーなどは言わない方がいいと思う。

ところで、この本、
ネット上で、
4、5千円の値がついて売買されている。
絶版のせいだとしても、
この高値は、どういうことか? 
「経典」とでも認識されているのだろうか。



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