ひいらぎ通信

日常のささやかな幸せを拾い集ようと、ブログ、始めてみました。

一体誰が誰を責める権利を持っているのか。

2007年09月03日 | Weblog
以前から、マスコミの報道のあり方には、疑問を持っていました。
知り合いにも、
「新聞記事なんて、話半分で読まなきゃ駄目よ。
以前取材されたことがあるけど、『最初に結論ありき』で、
都合のいいことしか載せないし、
おまけに、言ったことと正反対の記事書かれちゃったわ」
という人もいます。
特に、医療に関する記事。
一方的に医療関係者を悪者にするスタンスが多すぎはしないか。

最近のもので言うと、救急搬送中に交通事故にあったという例の事件。

奈良から救急搬送の妊婦が流産 10病院受け入れ断る
この見出し、センセーショナルにあおるものになっていません?
「受け入れ拒否」となっている記事も見ましたが、
「受け入れ不可能」だったのでは?と思っていました。
そしたら、次に、こんな記事が。
<奈良・妊婦搬送中流産>最初要請の病院、受け入れに余力
奈良県立医大に空きベッド 搬送女性流産問題
こんな風に書くと、「受け入れ可能だったのに受け入れなかった」と受け取られかねませんよね?事実、そう思っている方も見受けられました。
私、入院していたことがありましたが、看護婦さんもお医者さんも、
皆さん、とっても忙しそうでした。
それでなくても、医師不足が言われる昨今、
本当に受け入れるわけには行かない(不可能な)病院も多かったのではないかと推測していました。
なのに、こんな社説まで出る始末。

【主張】妊婦たらい回し また義務忘れた医師たち
それにしても、痛みをこらえる患者をたらい回しにする行為は許されない。理由は「手術中」「ベッドがない」といろいろあるだろうが、患者を救うのが医師や病院の義務である。それを忘れてはならない。
って、ひどい言われようです。
手術中に、新しく患者を受け入れられるわけ無いじゃん?
無責任に受け入れて、どんな治療が出来るというのか。


搬送妊婦受け入れ拒否、奈良県立医大病院がHPで経緯説明
という記事が出ました。でも、この記事だけでは、説明不足です。
実際の奈良県立医大病院のHPを見てください。
今般の妊婦救急搬送事案について
次々に運び込まれる患者さん。
この状態で受け入れろって言うんですか?
ベッドが空いていても、受け入れられるわけがありません。
お医者さんだって、私たちと同じ2本の手しかない人間です。
薬師如来のように、万人をすくう手なんて持っているはずがありません。
当直とありますが、実際は夜勤と変わりません。
前日の朝から24時間勤務した後で、続けて通常勤務をするんですよ?
こんなこと続けてたら、死んじゃいますよ。
お医者さんになる人、いなくなっちゃいますよ。
そう思って、サイトをうろうろしていたら。

昨年の、大淀病院の事件。
分娩(ぶんべん)中だった妊婦さんが脳内出血のため意識不明となり、19病院から転院を断られた後、搬送先の病院で死亡したとの報道の後、
大淀病院は、産科を休診。奈良南部の病院は、産科がゼロになってしまったそうです。
奈良南部の病院、産科ゼロ 妊婦死亡、町立大淀も休診へ




元々、産科と小児科は、過酷な職場と聞いています。
出産は、命がけの仕事であることは、今も昔も同じです。
でも、医療関係者の努力のおかげで、
昔は助からなかった命がたくさん救われるようになって来ました。
医療が高度になった分、患者さんが亡くなった時に、
高度の医学知識が無ければ、あるいはあっても、
原因を特定するは難しくなっているかもしれません。
容態が急変することも多く、
さっきまで元気だった家族が急に亡くなれば、
残された遺族は、納得できないという気持ちにもなるでしょう。
大事な家族をなくされた方の心中は、想像することすらできません。
いざその立場に立たされたら、私だってどういう態度をとるのか、分かりません。
でも、でもね。
それをただセンセーショナルに報道するのは、どうかと思うんですよ。
不正を許せといっているわけでも、過誤を見逃せといっているわけでもありません。
でも、奈良南部に産科がなくなってしまったこと、
このことに関するマスコミの責任は、ゼロなんでしょうか。
今回の報道のあり方を見ると、またお医者さんが減っていって、
過酷な現場に拍車をかけることになりはしないかと、
本気で心配しています。
コメント (2)
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