先日、お嬢さんが茶道を習っている友人に会ったところ、
今、茶箱をお稽古し始めて、月をやっているんだけど、こんな話があるよ、と教えてくれた。
『月点前の香合は今は平丸形で掛合にのっていますが、手前が出来たとき、一燈好みの兎杵が使われたことから、掛合にはのらず、箱の中にはいっていた。
なので、手前も掛合をおろしてから、香合を取り出すという手順になる。』
目から鱗で、まずは一燈好みの兎杵香合なるものを調べるところから始めました。
開けたところを拝見したかったけれど、叶わず。
面白い香合、私は初めて目にしました。
今日庵歴代の一燈の本をめくると、杵香合がでてきました。
そこには、
”杵の形を象った香合である。同じく一燈好である臼水指の撮みの部分を半分に切ったような形で、杵というようりも、むしろ衣をうつ砧の横槌のようにみえる。外側は底まで紅塗し、上部縁のみ黒塗で、内面はすべて黒塗となっている”とありました。
確かにこの形の香合だと、掛合の上には入りませんね。
そう考えると、月点前の時に、掛合をおろしてから、香合をとるという手順が間違えなくできそうです。
一燈好みの杵香合、これで忘れることはありません。
杵といえば、兎さんが餅つきをしているイメージが私には一番最初に思い浮かびます。
その杵には、大きく分けて竪杵と横杵の2種があります。
棒状で端が太くなっている竪杵は、手杵あるいは兎杵とも呼ばれ、
もともとは細い棒だったのを中間の握り部分を細く、両端を太く加工し、
握りやすく強く打てる両頭のものに進化していきました。
杵本体と柄が垂直に交わる横杵は、打杵と呼ばれ、今餅つきといえばこちらの杵が使われますね。
杵でついた餅はやはり格別。
子供の学校では稲を育てて、収穫し、そのもち米で臼と杵を使って餅を搗き、みんなで食べる行事があったのですが、本当に貴重な経験でした。
私も杵をふりましたが、こんなに重かったっけ??と。
ふかしたてのもち米やみんなの掛け声、おしゃべりしながらつきたての餅をちぎって、餡子・黄な粉・大根おろしの味付け、どれもご馳走でした。
昨年はコロナでそれも中止となったようですが、皆で作る、食する喜び、また復活するよう望んでやみません。
茶箱、杵香合のおかげで楽しい妄想までできたわ~。
いやいや、茶箱のお稽古、頑張らなくちゃね!