茶の湯 徒然日記

茶の湯との出会いと軌跡、お稽古のこと

2006-07-15 22:35:47 | 季節マメ知識
 関東ももうすぐ梅雨明けしそうです。でも、東京では曇り空は多いものの今年は雨量が少ない気がします。水不足が心配です。梅雨明けの前にちょっと雨のお話でも。

 ”梅雨”という言葉の由来は、黴(かび)の生えやすい時期の雨で、中国から“黴雨(ばいう)”という言葉として伝わったものが、イメージが悪いので、梅の実の熟する頃に降る雨、露という言葉にかけて転化したといわれています。最近は、“ばいう”、より“つゆ”の読み方が使われています。皆さんは雨についてどのようなイメージをお持ちですか?

 雨のイメージ、世界では、アフリカや中央アジア、中近東など乾燥地帯では雨が楽しいもの、喜ばしいものとして捉えられることが多く、一方フランス、イギリス、ドイツなど欧州の温暖地域では、悲しいイメージとして捉えられる傾向があるようです。
 農耕民族の日本人にとっては雨は天からの恵みであり、ある時は川や田畑を氾濫させる脅威にもなりました。また、梅雨という言葉自体も季節を示すものとして定着しています。日本人にとって良くも悪くも馴染みの雨、それだけに雨にまつわる名称は方言も含めたくさんあります。思いつくまま言葉を上げていきます。私の語彙は少ないので素敵な言葉をご存知でしたら、是非コメントに加えて頂ければと思います。

霧雨、 小糠雨、小雨 、時雨、驟雨、夕立、野分、慈雨、涙雨、天気雨、通り雨、春雨、秋雨、秋時雨、秋入梅、液雨、五月雨、 緑雨、秋雨、氷雨、風花、長雨 、田植え雨、黒南風(くろはえ)、白南風(しろはえ)、猫毛雨、山賊雨、三束雨、三把稲、御器洗雨、木の芽流し、木の芽おこし、木の芽萌やし、氷雨、細雨、狐雨(狐の嫁入り)、愛雨、青時雨、雨間、雨足、雨覆、雨隠、雨掛、雨乞い、雨東風、陰雨、淫雨、煙雨、甘雨、糸雨、駛雨、にわか雨、白雨、麦雨、涼雨、霖雨、若葉雨 など。

梅雨にまつわる名称もこんなに。
走り梅雨、荒梅雨、暴れ梅雨、送り梅雨、返り梅雨、戻り梅雨、残り梅雨、空梅雨、菜種梅雨(3月下旬-4月上旬)、山茶花梅雨(11月下旬-12月上旬)、蝦夷梅雨(北海道に梅雨はないが、本州と同時期に続いて降る雨)など。

 狐の嫁入りという言葉、今も健在なのでしょうか。お天気雨のこと、太陽が出ているのに降る雨のことを言いますが、そういう現象がおきる時は狐がお嫁入りするのだと聞かされ、絵本で傘を差し出された白無垢の狐のお嫁さんが歩く姿を見て、幻想的だなあと思いました。多分、晴れているのに雨=化かされるというような意味合いから来ているのだろう。
 先日は新聞で“島津雨”という言葉を知りました。鹿児島では「雨は吉祥」の意味でこの言葉が使われ、祝い事や神事で降る雨は縁起がよいとしてきた。この言い伝えは鎌倉時代、源頼朝の側室、丹後局が正室北条政子の嫉妬を恐れ、西国に逃れた際、摂津住吉で大雨に降られ、ぬれながらも島津家の祖となる島津忠久を生んだことからきているとか。鹿児島は雨が多く、水害に悩まされてきたこともあり雨との共生抜きには生活が成り立たないため、庶民の間でも自然に雨を吉祥として考えるようになったのではないかとその記事は結んでいた。

 雨の思い出として浮かぶのは、小さい頃、雨の日に「雨雨降れ降れ母さんが、蛇の目でお迎えうれしいな、ぴっちぴっちちゃっぷちゃっぷらんらんらん」と歌いながら長靴でわざと水溜りに飛び込んで、長靴の中を水浸しにしながら遊んだこと。遠足が晴れるようにと作ってつるしながら歌ったてるてる坊主の歌や、かたつむりをつつきながら歌ったでんでんむしの歌など、なつかしい童謡の数々。サトイモの葉の上に溜まった雨露をコロコロ転がして遊んだこと。傘をくるくる回したり、傘のもつところを手のひらに乗せてバランスをとって遊んだこと。子供の私にとって雨は遊びのひとつでした。
 大人になった今は、静かな室内で温かい紅茶を飲みながら雨空を見上げて雨音を聞いていると気持ちが落ち着くという良さを感じるようになりました。落ち着くを超えて滅入ることもありますが。
 温かい雨、冷たい雨、物理的には上空の気温差によるらしいが、自分の気持ちによっても雨は様々に姿を変えて心に浸み込んできます。
 改めて雨の名称を振り返ると、日本人の豊かな感性が透けて見え、日本人であることがまた嬉しく思えました。雨の思い出、ありますか。

(写真は雨に濡れる瓢樹の蹲。紫陽花の花が浮かんでおりました。)
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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
島津雨 (ukiki01)
2006-07-16 00:23:03
 ほほう、こんな言葉があるんだ。初めて知りました。

 やはり薩摩は島津様なのだなー。



 雨がらみでひとつ。

 私の生まれ育った丹後地方では「弁当忘れても傘忘れるな」ということわざ(?)があります。

 海沿いなので一日のうちに何回も天気が変わりやすいからたとえ朝晴れていても雨具の用意は必要ですよ、ということだったような気がします。

 といって、いつどこで最初に耳にしたのかはよく覚えていないのだけど、

日本海を離れて東京に来ても折り畳み傘を手放せないのはこれがいつのまにか身についてるせいかもしれません。

 出がけにすでに雨が降ってるとき以外は、鞄の中には必ず入れてるよ。
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 (りんず)
2006-07-16 11:58:41
PC不調ですっかりご無沙汰してしまいました。

その間に梅雨も明けそうね。

たまに降る雨は落ち着くので好きですが

こちらは盆地なので、梅雨時期の蒸し暑さは勘弁して

欲しいと思いますよ~



雨一言で沢山の言葉がありますね。

この時期の茶杓銘として使わせて頂かなくては・・・
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雨いろいろ (ゆりかもめ)
2006-07-16 20:14:53
いろんな種類の雨があるのですね。甘雨ってどんな雨なんだろう?



「狐の嫁入」という言葉は今でも普通に使っていますよ。

それからukikiさん、「弁当忘れても傘忘れるな」ということわざもよく聞きます。日本海側はほんとに冬の間は雨の日が多いですからね。



前のコメントの続きですが、祇園祭でお茶席があるのは菊水鉾だけです。

今年に限って、月鉾で何百年ぶりかで鉾の中でお茶席が開かれましたが、来年以降はないそうです。

菊水鉾のお茶席は、菊水鉾会所(ビル)内の菊水鉾汲泉軒で開かれます。

「したたり」というお菓子は、もともとこの時期だけしか販売されないお菓子です。(最近は他の時期も売っているかも?)黒砂糖味の寒天のみたいなお菓子で上品な味です。席主は、裏千家、表千家などの社中が日ごとに交代でされます。予約もいらない気楽なお茶席ですので、また今度は行ってみてください。

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雨で、助かる (チャチャ)
2006-07-16 20:50:15
「冷たい雨が降るたび~~♪」という、歌がでてきたり、洗濯物が乾かない、外に出るのが億劫、とマイナス・イメージばかりの雨でしたが、

畑をしたり、狭いながらも、植木を育てていると、水遣りが大変なので、雨が降ってくれると、本当に助かります。



雨雨ふれふれ では、新潟が心配です。

アメリカでの洪水は、今年は、大丈夫なのでしょうか?



たまご様のように、豊かな感性があれば、雨の感じ方ももっと、風流なのでしょうが。



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島津雨 (m-tamago)
2006-07-16 23:14:13
ukiki01ちゃん、そうなの、島津雨、地方によって色々な名称があるのよね。



>「弁当忘れても傘忘れるな」ということわざ

へえ。日頃から準備が必要ってことね。

小さい頃から守っていると何処に行ってもやはり身につくものなのね。今度会った時には傘は?って聞いてしまいそう。コンビニで傘が買える便利な時代になったけれど、そういう心がけって必要ね。

お茶でも雨は降らずとも傘の用意ってあるわ。

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 (m-tamago)
2006-07-16 23:16:20
りんずさん、PC復活なによりです。



>こちらは盆地なので、梅雨時期の蒸し暑さは勘弁して

欲しいと思いますよ~

なるほど~。日本の湿度の高さは本当に辛いですね。



>雨一言で沢山の言葉がありますね。

本当に日本人は自然にあるものに1つの名称で決め付けることなく、たくさんの見方ができたのだなあと感じます。



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雨いろいろ (m-tamago)
2006-07-16 23:25:09
ゆりかもめさん、甘雨とはほどよいときに降って草木を潤し育てる雨のことです。植物にとって甘いって意味なんでしょうね。

弁当忘れても傘忘れるなはやはり関西方面での諺なんでしょうね。東京ではいいませんもの。



菊水鉾の茶席のこと、ありがとうございます。

「したたり」は私も先生のお宅で頂いたことがあります。黒糖の甘味ほどよく、おいしかったです。

ちょうどこちらでお返事した後に、読者のわびすけさんがブログで紹介しているのを発見、その歴史やじっくり茶席の様子を見ることができました。浴衣姿のお点前さん、お道具も華やか斬新でいいですね!

京都はやはりいいなあ。。。。

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雨で助かる (m-tamago)
2006-07-16 23:28:35
チャチャさん、こんばんは。



雨も一長一短ですね。ハイキングなどに出かけたりお洗濯する時は晴れて欲しいけれど、畑には雨が降ってほしいし。



最近は雨の降り方がやはり妙ですね。

東京も梅雨のわりに雨が少ないし、九州や新潟、アメリカでは異常に降るし、地球が警告しているように感じます。
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おお、「したたり」。 (ukiki01)
2006-07-17 01:07:58
いつだったか新聞の記事で読んで以来気になっているお菓子であります。

そっか、やはりおいしいのね。夏限定なの? なんとかしていつか食べてみます。



弁当忘れても……は関東では言わないのですね。なるほど。

ちょっとググってみたら山陰とか日本海側とかで使うとありましたが、

太平洋側ではあてはまらないのかもね。

あるいはほかの表現があるのかな?
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したたり (m-tamago)
2006-07-17 18:31:08
ukiki01ちゃん、こんにちは。

したたりは確かデパートの味百選とか名品を集めたところで見かけたことがあります。東京でも手に入るはずよ。もしまた見かけたらお知らせします。



弁当忘れても、、、、はやはり天候が似た地域で使われるのでしょうね。関東育ちの私は、あまり雨でどうこう言われた覚えがありません。しかも折りたたみ傘も天気予報で言われない限り持ち歩かない。。。

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