茶の湯 徒然日記

茶の湯との出会いと軌跡、お稽古のこと

夜咄茶事 前茶と初炭

2007-02-28 22:24:28 | 茶事
 席に入るといつも通り、床の間、釜と拝見し、定座に着きます。
 いつもと違うのは、床の間に手燭が置かれていること、釜の横に短檠と呼ばれる灯具が置かれていることです。席を照らす灯りはこの2つだけです。薄暗い中浮かび上がる掛物と釜のたぎる音が味わい深い瞬間でした。

 亭主が入り、正客から順に本日の招待のお礼を申し上げます。今回三客に入れて頂いた私は、「お招きいただきありがとうございます。初めての夜咄茶事で心待ちにしておりました。不慣れですが先輩方に教えを乞いながら楽しみたいと思いますので宜しくお願い致します。」と挨拶。
 
 正客が待合の掛物や道具を伺い、露地の手入れを謝し、本席の掛物を伺います。
 一通りお話済むと頃合を見て亭主は「湯もたぎっておりますので、まずは一服前茶を差し上げます。」と挨拶し、下がります。
 前茶は夜咄ならでは。寒い中出かけてきた客を心熱くもてなす為、亭主は簡単な水屋道具で薄茶を供す。連客は“おもあい”で茶を頂き、亭主の心入れに感謝します。おもあいとは、一碗の茶を皆で頂くことです。水屋道具ですから、諸道具の拝見はありませんが、今回の前茶のお道具は、紅白椿の茶碗、蓋の裏に雪華模様の蒔絵された木地の平棗で、過ぎ行く冬の風情を思わせました。

 初炭手前が始まります。初掃きが始まると連客は炉に寄り合います。短檠と手燭に照らしだされた炉中。時折揺れる焔に影が動き、自然とリラックスした気持ちになります。
 香合の拝見では、香合と一緒に手燭が出されます。手燭の光がなくては香合は拝見できないからです。香合は瀬戸の狸、炭道具の羽根は梟、ついでに待合の掛物は猿が提灯に火を灯して出かける図の大津絵。大津絵には魔除けの意味もあるのだとか。夜行性の梟、お見送りの猿、夜咄茶事の帰りに、夜道、狸に化かされないようお帰り下さいとの趣向だそうです。

 初炭手前が終わると、お待ちかねの懐石です。
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4 コメント

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うっとり (みかん)
2007-02-28 23:27:55
月末、週半ばの疲れている時に、ほっこり致しました
昼間の自然光の中も素敵ですが、焔の灯りの元で見るとまた違った雰囲気なのでしょうね。
釜の湯の沸く音がいつもよりはっきり聞こえそうです。
前茶って薄茶のことだったのですね、初炭の前にお薄、不思議な感じです。
皆でいただくという事は一口位ずついただくのでしょうか?
この後濃茶に続きお薄もあると思うと、ただでさえ茶事で興奮しているのに、お茶飲みすぎて夜眠れなくなりそうですね(笑)
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うっとり (m-tamago)
2007-03-01 20:07:49
みかんさん、こんばんは。
前茶って私も初めてでした。
濃茶以外にもこうして回しのみするんだなあと。
回しのみは一体感を高めるような効果もあると思うので、特にこの寒い時期に最初に温かいお茶でまずはあたたまってということなのでしょう。
大体一口ずつくらいでした。
続きお薄はお点前なので、ドキドキ、初座はその分リラックスして楽しみました。
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Unknown (ババ茶姫)
2007-12-06 03:29:29
五行棚では、アドバイス大変有難うございました。
茶事教室に通って一年   
ついつい懐石料理の美味しさと茶事の美しさにハマッています。いつか私も亭主を・・・なんて?夢だけは・・
先日夜噺の茶事がありました。二度目なので覚悟はしてましたが案の定目がランラン
お酒の力を借りて眠りにつきました(笑)
でも露地を点々と照らす蝋燭のあかり  素敵でした
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茶事 (m-tamago)
2007-12-13 11:14:31
ババ茶姫さん、こんにちは。
懐石、茶事、本当にいいものですよね。
私も今年は2月以降茶事の機会がなかったので、来年はまた是非などと思っています。
夜咄は、幻想的で冬の寒い中また違った味わいがありますよね。私も2月に初体験して感動しました。
お互いこれからもたくさん茶事を重ねていきたいですね。
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