歌舞伎の話でふと思い出した人がいます。初めて歌舞伎に連れて行ってくれた人です。
私の歌舞伎デビューは大学生2年、歌舞伎座の熱気と役者の鮮やかな演技に感動し、歌舞伎って、日本の古典芸能っていいなあと思う原点だったように思います。高校の社会科見学で能と狂言は見に行ったのですが、狂言“附子”で太郎冠者と次郎冠者がコミカルに動いていたなあ位で、能に至っては完全にお休みタイムになっていましたから。
さて、その方との出会い。
用事があり、授業の合間に大学茶道部の部室に向かいました。ドアを開けたらそこに表千家の1つ上の先輩と知らない男性が話していました。私は軽く会釈して用事を済ませてすぐその場を去りました。
後日、先輩が、「この間部室にいた人が、あなたの連絡先知りたいっていうんだけど、電話番号教えていい?」
「え、誰なんですか?」
「表の同期なんだけど、最近あまり茶道部には顔出してないから知らないよね~。とにかく一度話したいんだって、大丈夫、怪しい人じゃないから。」
そんな訳で連絡がきて、お会いしました。要はひとめ見て気に入ったということでしたが、その理由が面白いのです。「目がきれいで、とても純粋だろうと思ったから。」更に「僕は骨董を見るのが好きで、ひとめで大体わかるんだよね。見る目はあると思う。」
かわいいから一目惚れとはよく聞くけど、私は骨董なのか?そう思いつつ、とりあえず歌舞伎を見に行くことになりました。最初のデートに誘われた場所が歌舞伎というのも変わっています。全てが想定外の事ばかりでした。学生のことですから、一等席は相当高いのですが、いいものを見るなら一番いい席で、初めてなら尚更、というその人の勧めで、私の歌舞伎デビューは一階一等席中央から始まりました。初めて見るなら一番いい席で、確かにそうだったと思います。安い席だったら、多分私にその後古典芸能を見に行こうと思わせるほどのインパクトは残さなかったでしょうから。
結局その方とつきあうには至りませんでしたが、歌舞伎というと思い出します。彼は骨董屋によく通って色々なものを見、主人と仲良くなって話を聞いたりしていたようです。大学生にしてはかなり渋い趣味、変わり者だったといえます。
いいものを見るなら一番いい場所で、見て一瞬でいいかどうかを見抜く目が大切ということは勉強になりました。あの部室での一瞬の出会いで私は一般とは違う見方や感性の方と話すことができ、結果歌舞伎にも会うことができました。これまた一期一会だなあと思います。出会いを大切に。
でも、もし今お会いしたら教えてあげたいです。安い席もまた別な楽しみがありましたよ、と。
(ご参考)歌舞伎のススメ
http://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/ad4a381419bbcaa741138ab1c202775f
私の歌舞伎デビューは大学生2年、歌舞伎座の熱気と役者の鮮やかな演技に感動し、歌舞伎って、日本の古典芸能っていいなあと思う原点だったように思います。高校の社会科見学で能と狂言は見に行ったのですが、狂言“附子”で太郎冠者と次郎冠者がコミカルに動いていたなあ位で、能に至っては完全にお休みタイムになっていましたから。
さて、その方との出会い。
用事があり、授業の合間に大学茶道部の部室に向かいました。ドアを開けたらそこに表千家の1つ上の先輩と知らない男性が話していました。私は軽く会釈して用事を済ませてすぐその場を去りました。
後日、先輩が、「この間部室にいた人が、あなたの連絡先知りたいっていうんだけど、電話番号教えていい?」
「え、誰なんですか?」
「表の同期なんだけど、最近あまり茶道部には顔出してないから知らないよね~。とにかく一度話したいんだって、大丈夫、怪しい人じゃないから。」
そんな訳で連絡がきて、お会いしました。要はひとめ見て気に入ったということでしたが、その理由が面白いのです。「目がきれいで、とても純粋だろうと思ったから。」更に「僕は骨董を見るのが好きで、ひとめで大体わかるんだよね。見る目はあると思う。」
かわいいから一目惚れとはよく聞くけど、私は骨董なのか?そう思いつつ、とりあえず歌舞伎を見に行くことになりました。最初のデートに誘われた場所が歌舞伎というのも変わっています。全てが想定外の事ばかりでした。学生のことですから、一等席は相当高いのですが、いいものを見るなら一番いい席で、初めてなら尚更、というその人の勧めで、私の歌舞伎デビューは一階一等席中央から始まりました。初めて見るなら一番いい席で、確かにそうだったと思います。安い席だったら、多分私にその後古典芸能を見に行こうと思わせるほどのインパクトは残さなかったでしょうから。
結局その方とつきあうには至りませんでしたが、歌舞伎というと思い出します。彼は骨董屋によく通って色々なものを見、主人と仲良くなって話を聞いたりしていたようです。大学生にしてはかなり渋い趣味、変わり者だったといえます。
いいものを見るなら一番いい場所で、見て一瞬でいいかどうかを見抜く目が大切ということは勉強になりました。あの部室での一瞬の出会いで私は一般とは違う見方や感性の方と話すことができ、結果歌舞伎にも会うことができました。これまた一期一会だなあと思います。出会いを大切に。
でも、もし今お会いしたら教えてあげたいです。安い席もまた別な楽しみがありましたよ、と。
(ご参考)歌舞伎のススメ
http://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/ad4a381419bbcaa741138ab1c202775f
さすが目利き、たしかにいい席はいいよね。
もちろん、m-tamagoさんのおっしゃる通り、そうじゃない席にもまたちがうよさがあるんだけど。
しかし、とりあえず歌舞伎というのもユニークだなあ。
何事も初めての経験の時は、良いものから始めたほうがいいですね。第1印象というのは大切だと思います。
よく子供たちが初めて抹茶を飲んで「苦い」と言っている場面を見ますが、あれは子供用だからと安いお茶を使っているのではないかと思うことがあります。初めてお茶を飲む子供たちには、値段が高くても上等な甘みのあるお茶をあげれば「おいしい」と感じてくれるのではないかと思います。そしてそれからずっとお茶が好きになってくれると思うのですが。
>安い席もまた別な楽しみがありましたよ、と。
これは、素晴らしいです!
観賞眼を養うには、本物を沢山観る事が大切なのは、事実だと思います。
でも、見方は千差万別のような気もします。
能も、前の方の席が値段的には高いようですが、僕はある程度は後ろの方の席で観たいと思います。
能は、些かぼんやりと、夢見心地で観るのが好きです。
骨董やさんにはまだ行ったことがありません。私の先生はお道具を買うのはやはり何軒かのなじみの骨董やさんだとおっしゃっていました。
日本橋にはたくさんそういったお店があるようですが、なかなか敷居が高く感じてしまいます。デパートの茶道具売り場でもちょっとあせってしまう私です・・・。
同窓会の企画者が歌舞伎好きよく行ってるそうです。
時間的なこともあって一幕見ってのかなぁ・・・30分程の初体験!
でも、最上階で眠気もありはっきり言ってよくわかりませんでした・・・
やっぱ、最初は一等席でしょうか・・・?
次回、機会があれば一等席で寝ないで観賞したいですね ♪
日本の文化って、こちらにもある程度勉強していないと理解が難しく、親しみにくいものが多いですよね。
お能で人間国宝の方の、お孫さんとの付き合いが昔あっって、国立能楽堂の裏まで、はいらさせていただいたので、お能には、やはり特別な思いがあります。
私は、お茶に関係ない人に、親しみやすく、楽しいお茶を紹介したいです。
彼にはピカッと光って見えたのだと思います。
その彼の気持ち とても良くわかります。私も骨董好きです。
本物を見るとよく判ります。作者や値段や書き付けなどで
惑わされない。彼は本物をたまごさんの中に見たのでしょう。
>安い席もまた別な楽しみがありましたよ。
これが中道だと解釈しました。
私も子供にはいつもピンとキリを身体で教えるように
気掛けています。キリばかり見ていると目が腐ります。
ピンばかり観ていると破産してしまいます。そして
ピンとキリが判れば中道も見えてくると思うのです。
歌舞伎も発言もユニークな御仁でございました。
なつかしい変わった思い出です。
そうですね、何事も初めての経験はよいものの方がいいですよね。
お抹茶、子供には薄めに点ててあげたりするのですが、実はきちんと大人と同じ物を点てた方が子供のためになるのかもしれません。本物の苦さを感じた方が五感にも強く刻まれるでしょうから。