
菊池市と山鹿市の境にある八方ヶ岳。
登山口は矢谷キャンプ場入口からもう少し登ったところに、2~3台の駐車スペース(左下写真)。
ここがいっぱいなら、もうしばらく登山口(左下写真の左側が登山口)から登っていくと、さらに1~2台のスペースあり。
登山口をはいると、渓谷を流れ落ちてくる、ざざんざざん という、川というには溢れるほどの水音に包まれる。
冷たくて美味しい湧き水(左下)。 ツリフネソウ(右)。
前半は、鬱蒼とした森の屋根に囲まれて、ひんやりと涼しく水音清かな渓谷沿いをいく。
川辺に降りて、冷たい水に触れてみる。心地よい森歩きにすっかり嬉しくなって、ルンルン。このへんまでは。
このあと、「水神」という、もっとも水量の豊富な地点を通過すると、次第に涸れ沢になっていくのですが、
そのあたりから、しつこいアブの襲撃に遭遇。
私は以前、山で虫に刺されて顔が腫れあがってしまったことがあって、とくにアブは大嫌い。
アブの顔も嫌いです。「嫌い嫌い」と言われるのはアブにとってもつらいことであろうし、アブには申し訳ないけど、
なにもしてないのに刺される私の悲しみも相当なものであることを、アブも理解すべきでありましょう。
そのアブが大量にまとわりついてきて、自分の腕や足にとまっているのをみて、
失神しそうなのをこらえたものの、逃げたり追い払ったりして、私は殆どパニック状態に。
まだ本格的に勾配も始まっていないこの辺りで、既にたいへんな体力を消耗してしまったのでした。
冷や汗か油汗か、とにかく大量の汗をかき、暴れまわったので疲労し、
でも登山道の最初に湧き水をすこし口にしただけでまだ水分補給もしていなかったため、
アブから無事逃げ切った辺りで、目の前がまっくらになりました。おそらく脱水症状だったのでしょう。
足もとがさっきみた小川のようにぐねぐねと湾曲し、
大地を折りたたんでまた開くような、猛烈なめまいに襲われました。
水分はたっぷり持ってきているので、スポーツドリンクを補給すれば収まりましたが、
パニックに陥ることがどれほど体力を消耗するか、実感しました。
今回はただのアブだったからいいけど、なんらかの事故に遭遇したとき、パニックに陥ることは命とりでしょう。
めまいは収まったものの、その時点でかなりの体力を消耗していた私には、
そこから山頂まで1時間半続く急勾配は大変きついものになってしまいましたが、無事山頂へ。
八方ヶ岳山頂は草はらになっていて、360度の眺望です。
南に菊池平野、左に阿蘇、右に雲仙、北にまわれば福岡、大分の山々が見渡せます。
山頂でみたアゲハチョウ。美しい羽根をひろげてみせた姿にうっとり。
へとへとの体をひきずって、下山は往路と違う、山の神方面から桧、杉の植林を経て、舗装道へ。
でもこの道は荒れていて、途中からとても迷いやすいし、眺望もない。時間短縮になるわけでもないので、お勧めしません。
往路ほどではないけれども、アブもすこし、います。
ひと一人通れるだけの急崖をジグザグにすすむ。
登山道は荒れている。
ただ、帰りのこの森の中では、アサギマダラを見ました。
足もとの悪さにてこずり、カメラを構えることができなかったのが残念だけど、見間違うはずはない。
福島の山で初めてみた、2000キロを超えて旅する蝶。
羽ばたくというのでなく、風にその身を任せるようにして、ふわふわと森の奥へ消えて行きました。
アブを除けば涼しげな低山の魅力がたくさん込められていてよかったです。
ただ低山は林道や登山道が入り組んでいて迷い易いのがちょっと難点です。
先日の中学生のグループの遭難もこのこういう条件下だったのでしょう。やはり下山中道に迷ってしまった。
私も道に迷った経験は何度もありますが、この時頼りになるのは地図と磁石ででした。
【7】を楽しみにしてます。