当時の私は、本を読むこと自体もあまり好きではなかったのに、好きでもない読書の感想って…。
長じて私は、中学・高校の教員免許を取得した。分野は中学社会、高校地理歴史なので国語ではなかったけれど。
さて、学校時代の読書感想文というのはじつはとてもハードルが高い。
まず、本を読む。しかもラノベはだめ。
その本を読んで感じたことを整理する。
その感じたことを文章としてアウトプットする。しかも作文としての形式に則って。
小学校自体の私にとって、最初の「本を読む」こと自体がかなり苦痛だった。
自分が面白いと思える分野ではなく、「学校推薦図書」なんてものだったりすると、おもしろみも感じなければ、やらされている感でいっぱいだ。
次に、読んで感じたことの整理といっても、やらされている感いっぱいなので「義務」でお腹いっぱい。
しかもそれを「アウトプット」だなんて…。
読むことはできても、じつは読んで「ふーん」くらいにしか感じなかった。
それは読書の経験が少ないうえに、まだ人生経験も少なかったせいもある。
そして、私は「感性が乏しかった」としか思えない子どもだった。
絵でのアウトプットはそれなりに楽しめたのに、文章でのアウトプットは全然ダメ。
文字が書けない・書きたくないのたぐいではなく、何しろ感性が乏しかったとしか言えない感受性だったのだろう。
このような状態では、やらされている感が強すぎて、何しろ苦手意識しかなくなってしまった。
それでも読書感想文を書くのは締切があるから。
提出期限という約束を守る力は身についたと思うけれど、私にとって文章力を養う元にはならなかったと思う。
そんな私でも、今は本が好き。
本を読んで、このブログでもレビューを書いている。
だから親御さんに言いたい。
子どもさんが本を読まなくても、長じて本を読む人になることもある。
読書感想文なんて、本を読むきっかけになりませんよ。
って。
私の場合、小学校高学年の時に病気で何日も休んだときの暇つぶしで読んだ「里見八犬伝」が面白かった。
その後「智恵子抄」に出会って素晴らしい愛の形を知ることになった。
そうすると、好きな作家に出会ったり、好きな文章がどういうジャンルなのかも分かってきた。
通勤・通学でちょっとの時間でも本を読みたいと思うようになった。
だから、なんだかんだで本を読むようになった。
パートナーが本好きだったりすると、お互いにおすすめの本を貸し借りしたりもする。
もちろん、子どもの頃に「指輪物語」を読んでいたら、もっと違った感性の子どもになったかもしれないとも思っている。
でも、そのときは興味がなかった。
本を読むことが義務にしか感じられないのであれば、まだ本を読む時期ではないだけなのだ。
本を読むのに年齢が遅すぎるということはない。
何歳になっても、初めて出会う本は、これから始まる物語がどんなモノなのかワクワクさせてくれる。
こんな時間を与えてくれる本の力は偉大だ。
だから学校時代に読書感想文がうまく書けない・苦手だという人でも、長じて得られるものは「締切を守る力」くらいなもの。
締切を守るために、頑張ればいいだけ。
そこから感性が豊かになったり、文章力が養われることはない。
そもそも読書力さえも「義務」でやっている限りはそんなに養われない。
ちなみに、読書感想文の締切を守れなかった人でも、他の提出物で締切を守る力を養えばいいわけだから、読書感想文がそれほど大切なモノではない。
ただ、読書感想文の入賞作品集というものを目にする機会があれば読んでみると良い。
たいていは「読書感想文というものは、こうやって書くものなのか」と感嘆するとともに「自分には書けない」と思うだろう。
私も、小学2年生の時に同級生が大きな賞をとったことで、入賞作品集を読ませてもらった。
同級生と同じ本を読んでいたのに、なんと感性豊かに表現するのかと驚いたとともに、まさに「自分には書けない」内容だった。
今では忘れてしまったその内容だが、たぶん彼女は「感想文をうまく書くコツ」をつかんでいたのだろう。
このコツというのは、年齢相応の言葉まわりを使って、さも大人が喜びそうな内容に仕立て上げ、自分の身近な例に置き換えてみたりすること。
こればっかりは、学習指導要領で示されている理想的な学習成果につながっていることが前提となっている。
この学習指導要領、私は教員免許を取得する際にちょっとだけ見たけれど、「んな、ばかな」というような理想的な学習効果を目的にしている。
そんな「大人が喜ぶ子どもの感性を製造する」という作業が、読書感想文だと思う。
だから子ども達、読書感想文なんて苦手でいいんだよ。
それよりも大人になってからでもいい、人生で1冊は「座右の書」を見つけてごらん。
って、教えてくれる指導者に出会えたら、幸せなんだろうな。
最新の画像もっと見る
最近の「日記」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事