月組 『フリューゲル ー君がくれた翼ー』

2023年　秋　月組『フリューゲル　ー君がくれた翼ー』が公演された

 

作·演出　齋藤吉正

1988年の歴史を変えたベルリンの壁の崩壊　

そんな激動の時代へと向かうドイツが舞台

東ドイツの国家人民軍の広報担当のヨナス・ハインリッヒを月組トップスターの月城かなとが演じる

そして西ドイツのポップスターのナディア·シュナイダーを月組娘役トップスターの海乃美月が演じる

 

 

二人は東西ドイツの価値観の違いに翻弄されながら反発し合いながらも次第に引かれあっていく

二人のやり取りが東西ドイツという厳しい現状の中にありながらコミカルに温かく描かれている

そして、その背景には東西ドイツの統一を願う熱い人々の情熱を描き出します

 

 

厳しくもつらい東西ドイツの現状は常に過酷な現状が描かれる事が多い中

この舞台は二人のコミカルな恋模様を中心に優しくリズミカルに描かれる

 

 

時代の激動の中をお互いを傷つけ合うのではなく大切にする

こんな時代には難しい事を反発し合いながら二人の雰囲気が徐々に溶け合い理解しあい認め合って行く

 

 

世界の冷戦の最も中心にいたドイツの中でも人と人は理解し合え助け合えるのだと言うことを教えてくれる

 

これまでの東西ドイツの物語は苦しくも悲しい物ばかり

 

 

私にとって、こんなにも明るく穏やかで心温まる東西ドイツの話は初めて

それが本当に素晴らしくて驚きでもあった

 

 

 

大きな大きな歴史の渦の中で生まれた心温まる物語

 

 

 

東西ドイツという過酷な背景の中

コミカルに楽しく温かく優しくリズミカルに描き出された

 

 

月城かなとと海乃美月

 

そしてドイツ民主共和国人民軍大尉を鳳月杏

社団法人から派遣されたナディアのマネージャーを風間柚乃

ヨナスの母を白雪さち花

ドイツ民主共和国文化庁広報部長を梨花ますみ

アウグスト教会の神父を夢奈瑠音

ドイツ民主共和国の諜報部員で体操選手を彩みちる

東ベルリンの大学生を彩海せらが演じる

 

 

 

東西ドイツという厳しい題材の舞台なのに常に常に舞台には温かい空気が満たされていた

物語の背景にある物を越えて人間の人々の温かさが伝わる感動の作品

 

 

 

美しい月組のトップたち

 

そして美しい月組のタカラジェンヌたち

 

 

宝塚よ永遠なれ

 

素晴らしい舞台をありがとうございます

星組 『ME AND MY GIRL』

2023年秋　博多座にて上演

『ME AND MY GIRL』

この作品は1937年にロンドンで初演

1646回のロングランの大ヒットミュージカル

 

宝塚観劇においては初演を1987年

月組の剣幸､こだま愛にて上演

その後も博多座にて霧矢大夢　羽桜しずく

大劇場では明日海りお

幾度も再演を重ねる作品

 

 

この度の博多座公演では　脚色　小原弘稔　脚色·演出　三木章雄

主人公のビル役を役替わりで専科から水美舞斗と、そして暁千星

ヒロインのサリーを舞空瞳が務めました

 

 

1930年代のロンドンを舞台に下町育ちのビルと恋人のサリー

この二人を中心に繰り広げられる心温まるミュージカル

 

 

この作品はビルとジョン卿この二人が「愛が世界をまわらせる」を歌う

最愛の女の子のために生きようとする

 

ザ·宝塚なミュージカル作品

 

自分が愛した最愛の人

自分の隣りに居てくれる人

自分を愛してくれる只ひとりの人

この世の中でただ一人の人

その人とどんな事があってもどんな時でも

ずっとずっとずっとずっと生きて行く

一度握った手は絶対に死ぬまで離さない

愛しい人を独りぼっちにしない

 

 

単純だけど一番難しい事

 

 

でも､何よりも大切な事

 

 

それが幸せの原点

 

 

だけど今の世の中それが一番難しい

 

 

だからこそ『ME AND MY GIRL』

今だからこそ『ME AND MY GIRL』

 

 

純粋な者達の奏でる未来は何ものにも勝る

 

宝塚を愛する人達のミュージカルを愛する人達のバイブル

 

ビルとサリーこの二人を見つめる続けたジョン卿も初めてマリアと本気で向き合う

 

 

ビルとジョン卿

この二つの役をダブル·キャストで演じる試みは初めて

青春真っ只中の若いビルとサリー

30年間思い続けたジョン卿とマリア

 

この､どちらも恋する男の子、女の子

恋する男女には年齢は関係ない事を教えてくれる

 

 

そして、それこそが幸せなのだと言う事を教えてくれる

 

 

純粋に真っ直ぐに澱む事なく観る者の心に届く

 

 

この舞台が心に響く

 

 

だからこそ長い間、愛された作品

 

 

宝塚の舞台に相応しい作品

 

 

 

心の底から楽しめた

 

 

 

 

 

星組の美しいジェンヌたち

素晴らしい舞台をありがとうございます

雪組 『双曲線上のカルテ』

2023年　夏　

危うく怪しい美しさを放つ医師フェルナンド役を和希そらが見事に演じた

 

 

2012年　渡辺淳一原作

監修·脚本　石田昌也　

主演　早霧せいなで上演され好評をはくした

 

 

2023年 潤色·演出　樫畑亜依子により再演

原作「無影燈」

石田先生から自由にアレンジをとバトンを渡された

 

 

 

その主役の医師､フェルナンド·デ·ロッシ

外科医として優れた才能を持ち

かつては将来を嘱望された

その彼がエリートコースを捨て外科医として活躍しながらも奔放な言動や行動は周りの批判を集めていた

そんな危険な男と知りつつ時折、見せる温かさに新人看護師のモニカ·アッカルドは魅かれていく

 

 

そんな怪しげな魅力を持つフェルナンドだが彼は苦しみの中

冷静に死を見つめ､死を受け入れ､自分の余生の使い方を決断して行く

 

 

 

その悲しいまでの美しい決断

 

 

その決断を美しいと思える和希そら演じるフェルナンドの危うい美しさよ

 

 

孤高に苦しむ陰影をはらんだ男フェルナンド

 

 

そんな難しい役を見事に演じ切った和希そら　

そして明るく最後には切なくモニカを演じた華純沙那

 

 

専科の夏美ようや五峰亜季

組長の奏乃はると

ライバル医師ランベルトを縣千

クラリーチェを野々花ひまわ

 

どの役も複雑な心の描写が必要

 

 

そんな難しい舞台を雪組の皆さんはそれぞれが見事に演じられていました

 

 

 

 

 

雪組の美しい皆様

素晴らしい舞台をありがとうございます

 

宝塚よ　永遠なれ

雪組 『愛するには短すぎる』

2023年 夏

宝塚歌劇団としては久々の東北を廻る全国ツアー

８/25～　大阪の梅田芸術劇場を皮切りに

8/31～神奈川県民ホール

９/5～栃木県宇都宮市文化会館

９/6～福島県白河文化交流館

９/7～福島県けんしん郡山文化センター

９/9～秋田県あきた芸術劇場ミルハス

９/11～岩手県北上さくらホール

９/13～宮城県名取市文化会館

９/16～北海道札幌文化芸術劇場hitaru

なんと、こんなにも回ります

普段、宝塚に馴染みのない方にも宝塚の良さを実感して抱ける絶好の機会

たくさんの方に宝塚の素晴らしに気づいてもらえればと思います

 

 

 

でも雪組のトップスター彩風咲奈率いるジェンヌさん達は移動が大変

体には十分に気を付けて回ってほしいです

 

 

 

 

まずは大阪発の『愛するには短すぎる』を観劇

 

『愛するには短すぎる』

この作品は原案·小林公平　脚本·演出·正塚晴彦

2006年星組　湖月わたるサヨナラ公演として初演

2011年星組　柚希礼音·中日劇場にて主演

2012年月組　龍真咲·全国ツアーにて主演

愛され続ける作品です

 

 

 

舞台は豪華客船

たった4日間の短い旅

かつて幼馴染みだった主人公のフレッドとバーバラ

運命の悪戯か

二人は偶然にも豪華客船という華やかな舞台で再会を果たす

そして、そのたった4日間という短い時間の中で束の間の恋の純粋さ、切なさ､どうしようもない狂おしさを経験

たった4日だから燃え上がり

たった4日だから狂おしく

たった4日だから切なく

たった4日だから諦められた

 

 

そんな切なくも楽しい舞台

 

 

彩風咲奈がフレッドを

夢白あやがバーバラを

朝美絢がフレッドの親友アンソニーを

凛城きらがフレッドのウォーバスク家の執事を

諏訪さきがブロードウェイプロデューサーのオコーナーを

 

 

豪華客船の上で繰り広げられる様々な人間模様

 

幼く淡い小さな恋

 

バーバラとのに再会がナンシーとの結婚を控えたこんな時にやって来るとは

 

フレッドの心は揺れ動く

 

そしてバーバラも

 

 

 

 

そんな豪華客船の上でのやり取りにあーさ演じる友人のアンソニーが小気味良く軽やかにリズムを作り上げる

 

 

咲ちゃんとあーさの関係がまた面白い

二人が作り出すリズミカルで爽やかな空気感が堪らなく心地いい

 

 

 

この二人の空気感がこの作品をサラサラとした爽やかな舞台に仕上げている

 

観終わった後にも心地いい空気感が残る作品

 

 

 

 

私は咲ちゃん事､彩風咲奈に恋してる

 

咲ちゃんは様々な顔を私に魅せてくれる

舞台の上の咲ちゃんは観る度に好きを更新して来る

私の想像を超えて咲ちゃんの好きが更新される

観劇する度に咲ちゃんに度肝を抜かれる

 

そして､また新しい彩風咲奈に出会う

 

 

 

 

それはトキメキの連鎖反応

 

 

 

 

私のトキメキはまだまだ続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪組の美しいジェンヌたち

これからも私達に夢を観させて下さいね

素晴らしい舞台をありがとうございます

 

宙組 『大逆転裁判』ー新·蘇る真実ー

2023年　夏

梅田芸術劇場シアター·ドラマシティ

KAAT神奈川芸術劇場にて

 

大人気ゲーム「逆転裁判」

累計販売980万本を超える大人気シリーズ

個性豊かなキャラクターや作り込まれたストーリー展開は爆発的な人気に

ゲームの枠を越えて映画やテレビアニメ等で扱われる事に

 

 

そして満を持して宝物歌劇で2009年、宙組にて

蘭寿とむ主演で『逆転裁判ー蘇る真実ー』を初演

同年に引き続き『逆転裁判２ー蘇る真実、再びー』

 

2013年には悠未ひろ主演で『逆転裁判3　検事マイルズ・エッジワース』を演じる

 

 

今回は宝物歌劇団としては4作目

「逆転裁判」シリーズの主人公、成歩堂龍一の先祖

成歩堂龍ノ介を主人公として大ヒットした「大逆転裁判」の舞台化

 

 

主演､瑠風　輝の「異議あり」の名台詞

絶体絶命のピンチを覆していく痛快法廷バトル

 

 

今回の舞台は19世紀末の大英帝国の激動の時代

霧の街ロンドンが舞台

大日本帝国から訪れた瑠風　輝、演じる若き弁護士

その彼があの大探偵シャーロック·ホームズと出会う

そして大英帝国を舞台に大法廷で大逆転の大旋風を巻き起こす

 

 

『逆転裁判』のゲームのシリーズの生みの親である巧　舟(たくみ　しゅう)

ゲーム制作を手掛けた当初から「これこそ宝物にふさわしい舞台」と確信

この度、それを実現できたことが本当に嬉しいとコメント

 

宝物·脚本·演出の鈴木　圭とタッグを組みゲームにはない新たな事件を書き下ろす

 

それにはゲームらしく、また人間らしく

またはゲームらしい展開､または現実の宝物の舞台としての描写

 

ここに関わる者達はその狭間で常に揺れ動く

 

ゲームならではのテンポの良さと舞台ならではの空間描写

 

この相反する２つの描写は見た目以上に演出家にとってもも演者にとっても新たな困難

 

 

しかし瑠風　輝が見事にその壁を乗り越え新しい『逆転裁判』の世界を作り上げた

 

 

舞台に立つ瑠風　輝がカッコいい

 

 

だが時にコミカルでクスッと笑わせ三枚目を演じる

 

 

だけど舞台に立つ瑠風　輝はやっぱりカッコいい

 

 

頼りなげだけれど最後の最後には痛快にどんでん返し

見事な弁護士っプリ

 

 

そこがまた何ともカッコいい

 

 

これからの瑠風　輝に期待大

 

 

そしてヒロイン御琴羽沙都には山吹ひばり

シャーロック·ホームズに鷹翔千空

専科から汝鳥　伶

亜双義一真に風色日向

等々

皆さん素敵です

 

 

これからの活躍を心から期待します

 

 

 

 

 

 

宝物よ永遠なれ

ありがとうございます