どもぉ~、、お邪魔します群馬県(^^♪
2021/5/15~16、オール群馬コンテスト@赤城山。運用ポイントは標高1400m。南側に関東平野が開ける。
まず、結果から、、
某マルチバンド部門、過去10年間の優勝スコア超えました。。シングルバンドもいくつか。。どっち提出しようか、今回も悩む。
設備もテクも経験も上級ヲタのガチコンテスターたちが作った過去の記録、超えられないだろうと思ってたが、あれまあ、どうしたことでしょう。
初日の夜は視界5m。翌日は天候グルグル変わりコンテスト中は土砂降りの雨。2日間下界の景色は一度も見えず。山の天気堪能できました。
以下、今回のあれこれです。
赤城は勝手知ったる馴染みの場所。。若い頃、仕事でよく通った。
大沼の宿に長期滞在し地蔵岳のレーダサイトを往復する。スキー場の上から頂上までの稜線で、悪天候でプチ遭難したことがある。。宿から頂上のサイトまで約1時間で歩くのですが、真冬の積雪とブリザードで視界なく無線も通じずポジションロスト、出発点に戻りたくても方向が分らない。何時間も行方不明で地上は大騒ぎ。救難隊が入る直前で息絶え絶え局舎に到着した。。たぶんあの世行き5分の確率だったと思う。低山も舐めたらいけません。
今回はちょっと準備不足、、
- 50MHz、HB9が完治してない(先週の東京testでエレメント破断)
- フェーズシフターも間に合わなかった
HB9は部材だけ加工しておいて現場修理とした。。フェーズシフターは144/430/1200MHzのビームチルトをやろうと思ってたが、次回持ち越し、今回は物理的に人力でチルトることにした。
過去のコンテストは1200MHzが穴になっていてビームコントロールの重要さを痛感していた。
これはGP(X6000)を垂直設置のまま利用しているためで、1200MHzは垂直面のビーム幅が狭く、山岳からのビーム外ロストが発生している。。と考えている。
メーカーデータ(下図)によれば、1280MHzの半値幅は約6~8度くらい。これを超えると一気に強度が落ち、幅約20度点で両端が-20db近くなる。。メーカーデータはビームパターンが上下非対称で仰角ー5度でもー20dbとなる。ビームピークからたった-5度で20db弱くなる。。これは痛い!。長尺GPは数m/sの風で5度くらい平気で傾くし。
高利得GPの垂直面ビーム幅の狭さは、的を外すと、ホイップアンテナのほうが信号が強力だったり、同程度の利得の八木系アンテナの方が格段に強力だったりする。。あーあー・・こんなもんかと突き放す前に、今回は高利得GPの特徴をしっかり押さえコンテストに戦略的に生かすことを考えた。相手局がマイナス仰角になる山岳移動ではビームの有効範囲を知っておくことは極めて重要だ。
↓メーカーデータ(X6000)
仰角-5度を超えても、複数のサイドローブが有効に働く場合もあるが、基本的に、X6000の1200MHz帯のメインローブ動作利得(アンテナ利得(約8dbd)-ビームパターン値)がプラスになる範囲は、ビーム幅約10度以下しかないことがわかる。(空中線教科書の動作利得の意味ではありません)
今回、オール群馬コンテストでの利用に際し、事前に具体的な検討をしてみた。
理論計算(下のリンクにあり)は省くが、標高1400m、動作利得がプラスになる距離として次の指標を得た。
- チルト角-5度 ⇒ 距離10Km~∞Km(見通距離)。ビーム中心点=16Km
- チルト角-10度 ⇒ 距離5Km~16Km(前橋市内用)。ビーム中心点=8Km
※以下、チルトとは水平から下方仰角のダウンチルトの意味です。
つまり、通信距離によりチルト角を変えた運用が効果的と思われる。
垂直設置の場合、動作利得がマイナスになるチルト角は、パターン図から約̠̠−3度(パターン図曲線が8dbを超える点の仰角)。このときの距離は、
- 動作利得がマイナスになる距離(-3度) ⇒ 27Km(これより短いとマイナスゾーン)
- 動作利得がマイナス10dbになる距離(-5度) ⇒ 16km
つまり、垂直設置は、約30km以内はホイップアンテナ系にも劣る可能性がある。
また、ビーム中心を人口密集地に向ける場合のチルト角は、
- 70Km(埼玉中心部) ⇒ チルト角:-1.2度
- 100Km(東京、23区) ⇒ チルト角:-0.8度
つまり、半値幅に比べ小さいので、このくらいのレンジや更に遠方はチルトさせる必要がない。
ということで、狙うエリアに合わせ「チルト角0度~10度の範囲」で運用を目指した。
おまけにもうひとつ。。相手が固定局なのに常にQSBを伴う局をしばしば体験する。相手のアンテナ条件やマルチパスを除き、これは、ビーム変化が急峻な角度に位置する局で、X6000垂直設置の場合、仰角-3度~-5度(距離15km~27km)くらいに位置する局は、X6000が微風で2度揺れるだけで信号強度にMAX15db前後の変化が生じる。3dbステップSメータならMAXでSが5揺れることになる。信号強度が強ければ問題ないが、相手局がQRPや設備都合でRS59を切るような場合、モービル局のように感じることになる。
と、まあ、高利得GPの取り扱い上の注意、作法がいろいろ出てくるわけです。
チルト角による伝搬距離の関係はこっちの記事をご参考ください。(標高1000mにおけるビーム半値幅による伝搬距離の違い)。上記指標もこの計算式をベースに算出しています(半値幅は動作利得がプラスになる幅に置き換えます)。
実験:
↓画像のように、ポールに仰角制御用のラインを付け、ただ引っ張るだけ。。地面側の滑車で折り返し車中へ、運用しながらラインを出し入れします。
コンテスト前、リピータを距離別にアクセスし、チルト角の変化(0度~5度)による信号強度の違いを見てみた。
天候の影響でフジインダストリポールのフルアップが無理、短縮状態で固く、人力チルトは5度が精いっぱいだった。フルアップでアンテナの根本に引っ張りラインを付ければ、たぶんチルト10度くらいはいける。
はいこれ、
距離 | リピータ局 | リピータ仰角 | チルト0度 | チルト5度 | 信号強度差 |
10km | 前橋 | ‐8.0度 | 59+10db | 59+25db | 15db |
27km | 伊勢崎 | -3.0度 | 59+5db | 59+15db | 10db |
60km | 東松山 | -1.3度 | 58 | 59+5db | 8db |
100km | 調布 | -0.80度 | 56 | 56~58 | 6db |
120km | 横浜 | -0.67度 | 56 | 56~57 | 3db |
同じ地域にも複数のリピータ局があり、ロケの相性や信号強度も疎らなので、比較しやすいように強度順に並ぶよう選局した。
どうでしょう。。チルト5度でこれだけの信号強度変化を計測しました。。体験的に相手局信号が微弱な場合、6db以上の変化は解読可否に直結します。チルト0度でSが振らずバサバサで解読できない局も、チルト5度にするとR=5で取れることが期待できます。コンテストにおける動的チルトは受信品質を上げる武器になりそうです。
そして、コンテストに投入:
実験から、チルトは、聞こえない信号を聞こえるようにするNF最高のプリアンプのような使い方になった。
CQ後、誰かが呼んでる、、でも取れない、、。QRZを出し、人力チルト発動。。左手でログPC、右手で仰角制御のチルトラインを引っ張る。。フジのポールは固く結構力が必要。もー、体力スポーツの世界!
結果は、使えます!。過去はカスカスで放流するような局を、20局以上拾うことができました。。1200MHzだけの予定でしたが、430MHzでもトライしたら切れ味は落ちますが十分有効でした。
今回、人力チルトしたのは、大票田である南南東方向(埼玉、東京、神奈川、千葉)のみでした。。西方向に集中する群馬県内町村マルチは17エレループアンテナで狙いました。。QSO数はX6000で増やし、特定エリアマルチはビームで拾う。今後もこれでいけそうです。
最後に、1200MHz用17エレループもX6000下に設置してたので、チルト変化による両者を比較してみました。結果は、17エレループは垂直面チルト変化による信号強度変化はほぼゼロでした。当然ですが、当たり前を確認しました。
いやー、、2日間、疲れました。。山の天気に翻弄され、雨の隙間の実験枠、撤収は雲中の雨、またまたヘトヘト。。定番の100円カレーとゆめぴりかで打ち上げ。
↑これ以外に、おでんにトマトをぶっこんで見たら、、、激ウマでした。スープが高級料理に変身します。レギュラー化決定。
撤収後、天候回復し、赤城大沼に立ち寄り昔仕事でお世話になった湖畔の宿にご挨拶。。数十年ぶりの再会、しっかり覚えてくれていてあふれる昔話。ちょっと涙モノ、感動しちゃいました。。泊まっていきなさいよって言う若奥様、、だれだおめーわ?と聞くと、、当時散々面倒みた鼻タレ娘でしたw。ダンナがいなきゃ泊まりたいw
↓赤城神社にお参り。。前橋市内の日帰り温泉はコロナクローズ。吉岡町の温泉(400円)に浸かり帰路につきました。
境内の石碑には、白樺派の志賀直哉がここで詠んだ詩があり、情緒ある内容にジンとしました。小さな神社なのに巫女さんが多く、気持ちよく挨拶してくれます。境内は隅々綺麗で、お守りや御朱印も充実。。沼の鯉たちが異常にでかく人懐こい、全部メーターオーバー。。そういや、昔宿で鯉こくが良く出た。
てなわけで、いつものお口直し(^^♪。お疲れ様、、俺。
1200MHzの運用、難しさもあるようですね。試行錯誤のお話、とても興味深く読ませていただきました。
ノイズの少ない1200の交信は、深い静かな湖に潜む魚を探すような感じですねー。バンドスコープでは何も見えないけど、CQ出すと皆さん出てくるw。混信もないので落ち着いて話ができますね。FMでコンタクトしCW(得点2倍)へ移ってくれる親切な局が複数いらっしゃいました。