数学教師の書斎

自分が一番落ち着く時間、それは書斎の椅子に座って、机に向かう一時です。

新年に思ったこと2

2022-01-11 16:17:33 | 日記
 高校の進路情報を公開していない高校に関して、最近、神戸女学院高校がそうだということを知りました。そういえば、京大医学部にも進学者がいるようなので、それなりの実績があるように思っていましたが、昔のイメージではそのままお嬢さん学校の神戸女学院大学へエスカレートで進学する高校だと思っていましたが、そうではないのですね。昔のイメージで思い込んでいたのが恥ずかしい限りです。

 最近のネットでの受験情報やコメント見るにつけて思うことは、受験での模試の偏差値ランキングで大学を評価す得るような様子には首をかしげてしまいます。大学にはそれぞれ個性があり、その創設の校風などもあり、それを加味しての大学選択が今や絶滅危惧種的というのは言い過ぎかもしれませんが、少なくなりつつあるのが気になります。若い先生方の大学に関する評価基準も偏差値ランクになりつつあるのも一つの言だと思います。その先生方を指導した我々の責任も痛感しています。 

 先の部活の顧問問題でも、進学高校では、ある時から、遅くとも我々世代から以降は運動部だと受験に影響するから入部するのは控えようとか、そんな風潮がありました。特に進学高校ではそうかもしれません。そうした生徒が大学へ進学して、その後、教員を目指してきますが、中学高校でスポーツの経験だけでなく運動部の経験もない中で、そもそも指導もできないのは無理もありません。もっとも、あるスポーツばかりしていても、違う競技の顧問になったら、全くできないような、これこそスポーツバカのような人もいます。特に体育の先生では。

 昔、私が大学へ入学した直後に体育の時間にスポーツテストがあり(今は体育とかるのでしょうか?)、そこでボール投げの測定時で、円盤投のようなサークルから扇型のエリアに向かっ投げる時、そのエリアからそれて投げてしまう学生に驚きました。その彼が曰く、俺は高校時代、弓道部だったので、ボールを投げるのは苦手だと。私が開いた口が塞がりませんでした。はたまた、ソフトボールをしていて、キャッチボールの時、体の正面に受けやすいように投げたら、そのまま顔面で受けて痛がっていて、思わず投げた自分がすいません。右利きでグローブを左にはめて、打球が来たら、右手で取って、そのまま投げる学生が曰く、俺は右利きだから。今でも京大や東大ではそんな学生がいるのでしょうね。
推して知るべきかもしれないですが、教員になる学生の中には、全く経験がない学生達は、採用の面接時には合格したいから、一生懸命やりますと言いながら、実際に採用されたら、できない苦痛を感じるそんな先生が多いのも事実です。

 私学ではスポーツだけを専門にするようなクラスと進学に特化したクラスとを併設していて、スポーツで、例えば野球で甲子園出場などする等である程度、名前が売れてきた後に、今度は特別進学クラスを作って、進学実績を上げることで有名になってきた私学も多いです。大阪や京都などに多いですが、そこには私学が進学実績を伸ばせる要因があったと考えられます。

 振り返って、大きな要因として一つには学校群制度です。東京から始まって全国に広がって、20年以上も続いた制度で、その結果、公立の進学高校はその特徴をなくし、私学への流れがはじまります。さらに追い討ちをかけるのが、中学の学習指導要領の改定等で数学と英語の授業時間数を週3時間にするというものでした。最後の追い討ちをかけるのが週休二日制で土曜が休みになることで、基本的な教科である、数学と英語の授業時間数が減り、公立中学では不安になり私学の中学への流れができます。また私学も中高一貫にして中学時点から数学英語の授業時間数を公立より増やし、保護者を安心させてきました。気が付いたら、東大京大の合格者数も私学独占になってきたのです。一部国立の付属の高校では東京、大阪では合格数も維持していますが、京都や奈良はそうではありません。

 そんな状況も最近では、東京や大阪では公立の復権を目指しての努力?の甲斐があって、日比谷や北野も昔の状況に近づいてきていますが、北野はともかく、東京ではまだまだです。学校群や指導要領の影響で公立高校が地盤沈下してきたことの歴史的な認識は時が経っても心にと止めておきたいものです。

 共通一次やセンター試験、共通テストに関しても、その歴史的な認識は押さえておきたいものです。この試験の影響で、すなわち、1月中旬に入試があることで、それまでの学校行事も影響を受け、実際には11月下旬までに高校の内容を終えないと試験に間に合いません。公立は週休二日で私学は土曜日もあり、中高一貫の私学では中学から7限授業で、数学英語の時間数は公立の倍あり、中学で高校の教科書を学び始めますから、高校2年までで、高校の教科書は終えられます。ゴールの目標が同じでも時間数で全く公立と私学では比べようもないくらいの差があり、普通では太刀打ちできないのです。

 今でも、私は、この共通テストはなくした方が良いと思っています。2次試験のみで、記述式試験で、科目も多くして、試験は3月。昔の私の時代はそうでした。だから、文化祭も11月、体育祭は10月でも間に合いました。年が明けてから、理社の追い込みで間に合うかなと、ラストスパートの時期でした。今や体育祭も文化祭も前倒しして、いろいろな学校行事がこのセンター試験で影響を受けてきました。

 今年も今週末から共通テストです。もう20回以上受験会場に応援に行ったことが思い出されます。年中行事のような様相で、各高校の先生たちが「キットカット」チョコレートを袋から出して生徒に頑張れよという光景です。高校別にのぼりを立てて、お祭り騒ぎの感さえあります。ここまで来ると、善悪の判断も麻痺してくるというものです。そのくせ、2次試験では全く応援に行かないのですが。

 そして月曜日はセンターリサーチで、河合塾、ベネッセ、旺文社、代ゼミ等の得点用紙に自分の得点と志望校を5つほど記入して、その日の午後に来る宅配業者に渡す。水曜の夜にはその集められたデータの集計結果がネット上で検索できて、そこから志望校選択へとデータとにらめこしながらの作業が始まります。思うように点数が取れなかった生徒は、志望校変更を余儀なくされますが、そんなものだという感覚でいると、なんとも思いませんが、やはり異常な世界であることは否めません。この時期が高校の進路指導で一番忙しい時期で、予備校の営業部はこの時期はほとんど徹夜作業の連続です。今は、私はリタイヤしていますが、それでもこの実態は異様としか思えないところがあります。したがって、大学選択も偏差値等で決めてしまう風潮、あるいは大学そのものを偏差値で評価するような風潮も仕方ないかもしれません。

 しかし、やっぱり違うよなという想いは拭いきれない。


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