「盗み」について
小学校に入るか入らないかの頃の話である。
うちの長男が、近所のお友達の家から妖怪ウォッチのメダルだったかカードだったか忘れたが、盗んで来たことがあった。
私はとても驚いて、叱った覚えがある。
その後、A・ゲゼルの学童の心理学を読み、自分が間違えていたことがわかった。
ゲゼルの学童の心理学は、一般的に子供はどのように成長発達していくのかを、年齢別に細かく書かれている。
この本は、1970年代に日本語訳されたが、その頃より前のアメリカの子供達を対象とした研究だ。
しかし、読んでいて驚くことに、令和を生きる日本の子供達も当時のアメリカの子供達と変わらない成長を辿っているということだ。
話を「盗み」に戻すと
7歳
所有観念も同様に未発達である。
私たちが道徳的な正直で複雑な性質を理解していなかったら、びっくりするような無頓着さで、子供は鉛筆、消しゴム、音楽教師の笛など自分のものにする。その欠点を、盗みとしてレッテルを貼ってしまう事は早すぎる。
その笛が誰か他の人のものだということを理解できないとするなら、それはその笛を自分のものにすると言う満足感であまり夢中になってしまったせいである。
大きくなれば、やがては、その満足感を本当の持ち主のみになって考えてみることができるであろう。
そうなれば、人のものと自分のものと道徳にふさわしく区別できるようになる。「盗みをしてはならない」と言う教えを重んずるようにもなる。(A・ゲゼル 学童の心理学より)
つまり、7歳では、まだ「人のものを盗む」という意識がなく、自分のモノ、他人のモノ…の区別がはっきりされていない…ということだ。
私は、自分の子が盗みをするなんて…と怯えにも似た感覚に陥ったのを覚えている。
もちろん高校生になった息子は、今はそんなことはしていない。
幼稚園の頃にあんなに叱ってしまって悪かった…と、今更ながら後悔している。
みなさんも、是非子供を叱る前に「今の年齢と発達心理学」を照らし合わせ、何でもかんでも自分の物差しで叱るのではなく、
また、発達障害の色眼鏡で見るのではなく、一般的な成長発達を確認されてください。
もしかしたら「みんなそう」「まだ出来ない」「当たり前」かもしれません。