683『自然と人間の歴史・世界篇』スーマイル島原発事故(アメリカ、1979)
アメリカのペンシルバニア州スリーマイル島に立地する原子力発電所で、1979年3月28日、大規模な事故が起きた。同原発の2号炉の炉心がメルトダウン(溶融)した。同原発を所有する米電力大手エクセロンが、1974年に運転開始していた。
この事故の主な原因は、一口に「原子炉冷却材喪失事故」に分類されるとはいうものの、いくつもの要因が複合的に絡み合った原発事故として知られる。
具体的には、(1))補助給水系の出口弁を閉じた状態で稼働していた。(2)1次系の圧力が低下しても、加圧器逃がし弁が閉じなかった。(3)オペレータがECCSを早期に停止した。(4)格納容器が完全に隔離されていなかった。そのため、高放射性の水が外部に漏れた。(5)水位計の誤った表示をもとにECCSを作動させた。(6)1次冷却水ポンプを不用意に停止した。
だが、この2号機が廃炉となったのち、事故の後処理で燃料の取り出しを終えたのは、やっと1990年であったという。それほどに、原発はいったん事故が起きると、それからは途方もないマイナスの日々が続くものだといえよう。
(続く)
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